Episode 74:終末喰滅を止めるんだ!
みなさん、おはこんにちばんわ
第74話となります
それでは続きをお楽しみください
皆が安心したのも束の間、地面が大きく揺れた。
「洒落にならねぇな」
アストロが苦笑しながら言った。黒く渦巻くものが空に開いた穴に吸い込まれていく。
「アレは、デドロの塊ダ。終末喰滅が始まろウとしてイル」
カオスが俯きながら言った。カオスを止めてもデドロの塊は止まらなかった。不気味に蠢きながら穴の中へ、人間界に向けて侵攻を開始している。
「どうにかならないのか! オレ様たちにできることは。早く答えろ!」
ドリウスが早急な解答を求める。だがカオスは首を横に振った。
「デドロは元々不安定な化物ダ。それヲ操るなンて、無理だっタんダ。人間界に餌がアると教エ込んダ以上、もウ、止まらナイ。デドロの塊は、確実に人間界を破壊スる」
「そんな……。アンタ本当に余計なことをしてくれたね! このままアタシらは終末喰滅を迎えるのを待つってのかい!」
カオスのめちゃくちゃな回答にルフェルが憤りを露にする。すると、アストロが右手を前へ突き出して青い光線を放った。一直線にデドロの塊へと飛んで行く。青い光線はデドロに直撃した。だが、全く効いていないようだった。
「兄貴、何してるんだ! もし爆発でもしたら……」
「あの穴を通り過ぎたら手遅れだ。なら、まだ間に合う。終末喰滅の前にこいつを破壊しちまえばいいのさ」
アストロは得意げに言うと青い球体をいくつも出現させ、横一列に整列させた。順番に光が溜まっていき、その球体の中心から青い光線が放たれる。アストロ自身も青い光線を右手から放った。
「兄貴。一人でやろうとするな。オレ様も一緒だ。使ってくれ、オレ様の力を」
ドリウスがアストロの肩に手を置いた。球体から放たれていた青い光線に赤い光線が交じり合い螺旋状に飛んでいく。まだ足りなかった。
「アタシもいるよ。絶対に食い止めるんだよ!」
ルフェルがアストロのもう片方の肩に手を添えた。螺旋状に飛んでいる光線に赤紫色の光線が追加され、三重螺旋状に光線が飛んでいく。だがこれでもまだデドロの勢いは衰えなかった。
「責任ハ果タす!」
黒い光線が二本飛んでいく。カオスの手から放たれたものだ。三重螺旋状に飛んで行く光線の周りを包み込むように、外側で二重螺旋を形成して飛んで行く。それでもまだまだデドロは止まらない。
「私の力もお使い下さい」
ロヴェがカオスに力を渡す。銀色の光線が黒い螺旋状の光線に追加され三重螺旋状の光線になった。
「ぼくも、やる!」
男の子がアストロに触れる。金色の光線が飛んで行き、二層になった三重螺旋状の光線を包み込み大きな光線になった。計七本の光線が螺旋状にデドロの塊へと飛んでいき破壊を試みている。それでもデドロの塊は衰えを見せなかった。
「クソ! これじゃあ全然足りないぜ」
アストロが叫ぶ。皆はかなり体力を消耗しているようだ。光線の光が弱くなっていく。そのとき、後ろから声が聞こえた。そこには王が立っていた。騎士団総長と騎士に支えられてこの山を登ってきたのだ。
「いい考えがある。これを使ってオビリオンの皆に祈りを捧げるよう願うのだ。オビリオンに住む皆が終末喰滅の回避を望めば、あるいは止まるかも知れぬ!」
王の手には一つ目の箱型の化物が握られていた。これでオビリオン全域に通信を取ることができる。男の子は目玉に向かって叫んだ。
「みんな、お願い。力を貸して!」
「聞いてくれ。今オビリオンは危機に直面している。人間界で終末喰滅が起きようとしているのだ。もし人間界が滅びるようなことがあれば、その生き残りや同種の間でまた旧王時代レベルの戦争が起きかねん。どうか、力を貸して欲しい。強い祈りを捧げて欲しい!」
男の子が言うとすかさず王がフォローを入れる。オビリオンの皆は王の言葉を聞くと祈りを捧げた。
アラマ・マアマのもじゃもじゃ頭も、酒場にいたウシやトリも、テンも、牢屋の見張り騎士たちも、医療団の皆も、テステ・ペルテの見張り兵たちも、シャラボラもイポもベリスも、そしてイアノスも。終末喰滅を避けるために祈りを捧げていた。
その祈りが螺旋状の光線に混じり強い光を放つ。オビリオンの心が一つになった。一層強い光がデドロの塊に対して浴びせられる。
「止まってぇぇぇぇぇぇ!」
男の子が叫ぶとデドロの塊は強い光に包まれて空に開いた穴に三分の二ほどを埋めた状態で停止した。
「やったか!」
王が叫ぶ。デドロの塊は空に浮いたまま静止し、それ以上穴の中へ入って行こうとはしなかった。誰もが成功したと思い胸をなでおろす。塊の中で渦巻く小さなデドロの個体は一匹たりとも動かなくなっていた。
読了お疲れ様でした
いかがでしたでしょうか
デドロの塊は人間界へと迫りつつあった。
だが、皆は諦めなかった。
アストロの提案により見事デドロの塊を止めたのだった
まだまだ続きます。
続きは75話で!!
それではまた次回お会いしましょう!!