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ŪNDER WΦRLD  作者: 赤神裕
Scene 09:Despair ―絶望―
72/85

Episode 65:アストロとの約束

みなさんおはこんにちばんわ

第65話になります


それでは続きをお楽しみください!!

「くっ、これは……シャウトの力!! 何故そなたがこの力を?」


「この子はもうこっちの世界に順応しつつあるんだよ。早くしないと元の世界へ帰れなくなる。アタシらはこんなところで止まってられないんだよ!」


 王の問いにルフェルが答えた。すると王は怯むどころか小馬鹿にするように笑い出した。


「ハハハ、まったく面白いことを吐かす」


「何がおかしいんだい!」


 王の行動が許せず、ルフェルは頭にきて怒鳴った。王は笑うのをやめて大剣を下ろし、口を開く。


「人間がシャウトの力を使うだと。そんな事はあり得ぬ。決してあり得ぬ事なのだ。いや、あってはならぬ事なのだ」


「でも、現にこの子はシャウトの力を使っているじゃないか!」


 ルフェルが反論すると、王は大剣を投げ捨てた。予想していなかった動きに全員は身構えた。それを見て再度笑う王。完全に見下していた。


「実に面白い子だ。その力が本物のシャウトであれば、この私とも対等にやりあえるはずだ。前に出よ」


「傷つけさせはしません!」


 ロヴェが動いた。大剣を持っていない状態なら勝てると思ったのだろう。だが、それは計算違いだった。王はロヴェの振るった細刀を躱して肘、腰、脚の順に身体を使って崩し細刀を奪い取ると、柄でロヴェの肩へ強烈な一撃をお見舞いした。


「ロヴェ!」


 ロヴェは後方へ大きく吹っ飛びアストロとドリウスに支えられた。男の子はロヴェの傷つく姿を見てルフェルの腕の中で暴れる。


「暴れんじゃないよ、危ないだろ」


「下ろして、ルフェルお姉ちゃん」


 男の子はルフェルに対して自分を下ろすように願った。だがルフェルはそれを許さない。下ろせば次に彼が取る行動は分かり切っている。絶対にそれは避けなければならなかった。


「下ろして。お願いルフェルお姉ちゃん。王様とお話ししなきゃ。やめてって言うのっ!」


「バカ言ってんじゃないよ! 殺されるかもしれないんだよ!?」


 ルフェルは絶対に男の子を離そうとはしなかった。絶対に守り抜かなくてはならない。今のルフェルにはそれが一つの使命のようなものになっていた。


「おやめ、ください。王様の力は、想像以上でした。今まで手加減をしていたに過ぎません!」


 ロヴェが叫んだ。その身体は王の強力な一撃によって一時的に動かなくなっていた。


「早く前へ出よ。さもなくば、ここにいるそなたの仲間が倒れる羽目になるぞ」


 彼の言う通り、王は手加減していた。全く本気ではなかった。ロヴェの首を刎ねようと思えば、ドリウスのランスなどへし折ってでも実行できた。王がそれをやらなかったのは、本気で戦ってはいなかったからだった。


「ルフェルお姉ちゃん!」


「嫌だよ。アタシは、アンタに救われた。次はアタシが守る番だよ。アンタを守って、フレウだって助けないと。アタシは……」


 ルフェルは男の子をギュッと抱きしめた。彼女はすでに男の子を我が子のように大切な存在だと認識していた。もう手放したくない。誰も傷つけたくない。傷ついて欲しくない。ルフェルはそう思っている。だが、男の子にそのような思いが伝わる事はなく、ジッと顔を見ていた。


「お姉ちゃん……お願い。大丈夫だから」


 男の子はルフェルの頭を撫でた。男の子の決心は揺るがなかった。何をしても、どのような言葉をかけても、男の子は前へ前へ進もうとしている。それを引き止めるのも気が引けた。


「アンタは本当に最低な王だよ!!」


 そもそも、王がこの無意味な戦いを止めれば良い。そう思ったルフェルは王に向かって怒鳴った。そしてゆっくりと男の子を下ろす。


「ありがとう。それから、ごめんね。お姉ちゃん」


 男の子はそう言うと、トットットと前へ出た。アストロとドリウスがその進路を塞ぐ。絶対に通すまいと今度は男の子の前に立ち塞がった。


「お前さん。シャウトの力を使う気か?」


「分かんない。でもやめてって言うの」


 アストロが質問すると男の子は首を横に振って答えた。それを受けたアストロは両手を広げた。


「どいて、アストロ」


「聞け。お前さんは今まで俺との約束を何度破ってきた?」


 痛いところを突かれて男の子は俯いた。ドリウスはアストロが離したロヴェを一匹で支えたまま、男の子を見ている。おそらくドリウスはアストロが言っている事の意味を理解していない。だが、それっぽくそこに立っていた。


「次の約束は、守れるのか?」


 アストロが質問すると男の子は少し考えて、ぎこちなくも首を縦に振った。アストロも首を縦に振ると何かを耳打ちした。男の子が目を瞑る。


「守れそうか?」


「うん。大丈夫。今度は、守るよ」


 男の子は目を見開く。その目には新たな決心があった。アストロとの約束を今度こそちゃんと守るという決心だ。何があっても、この約束を守らなければまたアストロと喧嘩することになる。それだけは絶対に嫌だった。


「そうか。覚悟も決心もできている。なら後はお前さんの声を届けるだけさ。感情を爆発させず、落ち着いてな。さ、行きな」


「え、あ、兄貴!?」


 やはりドリウスは分かっていなかった。アストロが道を開け男の子を送り出そうとしたのを見て、焦りだす。


「おい、止まるのだ。オレ様は反対だぞ!」


「止めてやるなドリウス。あの子なら大丈夫さ」


 アストロはクカカと笑いながら言ったが、ドリウスにはその行動の意味が全く分からなかった。このまま男の子を王の前へ立たせたら間違いなく負けてしまう。器にされて計画の一部となってしまう。


「何が大丈夫なのだ。ロヴェでさえ適わない相手なんだぞ。おい、止まるのだ!」


「止めるなドリウス。あの子は既に戦ってる。今止めたら彼の声は届かなくなっちまう」


 アストロは今にも飛び出していきそうなドリウスの前に立ち塞がった。ますます意味が分からなかった。彼は、身体の自由が利かないロヴェをそっと地面に寝かせてアストロに向かってランスを構えた。一方のアストロはただただ笑うだけで身構えようともしない。


「反対といったら反対だ。オレ様はあの子を止める。邪魔をするなら例え兄貴でも……っ!」


 ドリウスがランスを突き出した。アストロは片手でそれを受け止めてため息をつく。反撃が来ると予測したドリウスはランスから手を放して身構えた。だが、アストロはランスの胴を持ったままそれを下に降ろし、地面へと転がせるだけだった。

読了お疲れ様です

いかがでしたでしょうか


アストロは王に立ち向かっていく男の子を止めなかった。

それを見て焦ったドリウスは男の子を止めるため、アストロに対して三度ランスを向けてしまう。

どうなるアストロ! 落ち着けドリウス!!

続きは第66話で!!


それではまた次回お会いしましょう!!

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