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ŪNDER WΦRLD  作者: 赤神裕
Scene 09:Despair ―絶望―
71/85

Episode 64:男の子の闇

みなさんおはこんにちばんわ


第64話になります

続きをお楽しみください

「それは仕方のないことだ。人間は元より闇を抱くもの。それはそのように生まれたからだ。そうでもしないと人間は自分で自分をコントロールできなくなる。そして、自分自らに殺されるからだ」


 アストロが言った。騎士団総長が笑う。


「ガハハ、そうだろうなァ。それほ……」


「だが、この子が闇を抱える原因を作ったのはお前さんたち、騎士だぜ?」


 騎士団総長の言葉を遮りアストロが言った。騎士団総長は目を見開く。


「な、何だと! 我々が人間の闇を引き出したとでも言うのかァ!」


 騎士団総長が叫び噎せた。口から血を吐き、苦しそうにした。アストロが笑う。


「そうさ。この子は俺やドリウス。それだけじゃない。ここに住む多くの化物が傷つくことを恐れている。恐怖している。俺たちが戦い、誰かが傷つくのを見て、そうやって蓄積されたの感情が闇となって引き出されたのさ」


「そ、そんなことが。人間が? バカな。人間が我々を案じているとでも言うのか。とんだ夢物語だなァ! 人間が我々を案じることなどあり得ないィ!」


 騎士団総長は嘲笑うように叫んだ。アストロが嘲笑い返した。男の子をヒョイと抱きかかえる。男の子はアストロに抱きかかえられたまま何が起きたのか解らずにいた。


「夢物語じゃない。こうして触れ合うことができるのも、この子が俺たちを信用している証拠だ。この子ならお前さんたちとも仲良くなれるはずさ」


 アストロは男の子の頭を撫でた。男の子は少し嬉しそうだった。ドリウスが男の子の頭を力強く撫でた。髪の毛が乱れる。男の子はぷくーっと頬を膨らませ笑いながらドリウスに怒った。ルフェルがアストロから男の子を受け取り抱えた。


「笑わせるなァ! そんな奴が何故騎士を殺した、えぇ? 何故だァ!」


 騎士団総長は怒りまくっていた。握っている折れた刀を地面に叩きつけて叫んだ。男の子がビクッと身体を震わせてルフェルに抱きついた。ルフェルは男の子の頭を撫でた。


「闇が芽生えたからさ」


 アストロの答えに騎士団総長はイライラする。アストロが続けた。


「俺たちが傷つき、闇が芽生えたということはそれだけ俺たちが傷つくことを恐れているからだ。それこそが信頼の証でもあるのさ。俺たちが戦いを止めればこの子が脅威になることは無いだろう」


「バカめ! 騎士を殺したのも事実。闇を抱えていたのも事実。ならばそいつの命もいつまで持つか解らんだろう。なぜそんな危険な奴を貴様は庇うのだァ!」


 アストロが笑い出す。騎士団総長はイライラしながら何がおかしいか問うた。


「それなら何故この子は生きているんだ? 闇を抱えた大人はここで形を留めておく事もできずに死んだ。だが、闇を抱えた子供は生きている。何故だと思う」


 騎士団総長は答えられなかった。アストロが笑う。


「この子の闇は清いからだ。自分のためではなく他人のための憎しみや悲しみだからさ」


 騎士団総長は我慢の限界だった。地面を殴り気合を入れてグンと立ち上がった。


「訳の解らぬことを抜かすなァ! ここで生きているならばその身体を使うまでだァ!」


 騎士団総長はフラフラしながらも腰に携えたもう一本の刀を構えた。


「総長、手出しは無用だ」


「王様……?」


 王は騎士団総長の前に背を向けて立ち、彼が突っ込んで行くのを制した。アストロが身構える。ロヴェは構えたまま王の動きを伺っていた。


「面白い。そなたらはそなたらの正義を以ってここにおるということか。では、その決心を私に存分に見せつけるが良い」


 王はそう言うと、それぞれの手に持った形の違う大剣を構えて大きく振るった。すかさずロヴェが細刀を地面から引き抜き、縦に構えて鍔ぜり合う。もう一本の大剣がロヴェの首を刎ねようと横嬲りに振るわれた。そこにドリウスがランスを構えて受け止めた。


「ありがとうございます!」


「オレ様の超ウルトラハイパーグレートなフォローを見たか、これが連携ってやつだ!」


 ドリウスはよく分からないことを言った。だが、タイミングはぴったりだった。王はそのまま大剣を力強く薙ぎ抜こうとするも、ロヴェとドリウスの力は想像以上だった。彼らは王の大剣を弾き返すと、構え直して絶対に通すまいと男の子の盾になるかのように立ち塞がった。


「うぬぅ……見事だ。だが、まだ終わらぬ」


 王は二本の大剣を十字にクロスさせて構え直すと、真横と真下に思い切り大剣を弾いた。衝撃波が生まれ物凄い勢いで飛んでくる。ロヴェとドリウスはその衝撃波を受け止めようと構えたが、あまりにも力強くズルズルと後方へ下がっていった。アストロが右手を構えて青い光の槍を形成する。


「ルフェル、その子を頼む」


 アストロはそう言うと、その槍を構えてロヴェとドリウスの間に入り衝撃波を受け止める。徐々に威力が弱まっていき、彼ら同時に押し返すと衝撃波はかき消えた。だが、その時すでに王は走り出しており、次の攻撃に転じていた。


「ダメー!!」


 男の子が叫んだ。その口から渦を巻いて空気砲のように衝撃弾が飛び出る。シャウトの力だ。そのシャウトはアストロの頭上を超えて、走り出していた王の前へ飛んでいった。

読了お疲れ様です

いかがでしたでしょうか


男の子は闇を抱えていました。

しかし、その闇は強い負の感情ではなく、他人を思いやる清き闇でした。

それを見た王様はそれが本物かどうか確かめるために男の子へと襲い掛かります

決心を見せつけられるか!

続きは第65話で!!


それではまた次回お会いしましょう!!

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