表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ŪNDER WΦRLD  作者: 赤神裕
Scene 09:Despair ―絶望―
70/85

Episode 63:金色の光に包まれて

みなさんおはこんにちばんわ

第63話になります


それでは続きをお楽しみください!

 ガチリと音がして風が巻き起こる。風は騎士団総長含める騎士たちを吹き飛ばし、黒騎士をよろめかせた。


 男の子がゆっくりと目を開けて前を向く。そこには一匹の化物が立っていた。五尺ほどもある細刀を背負い、黒騎士の大剣を片腕で軽々と受け止めていた。


「お怪我はありませんか?」


 その化物はロヴェだった。もう片方の手を後ろにまわすとバシュッと音がして細刀が鞘から開放される。


 黒騎士の大剣を受け止めた腕を前へ突き出して弾くと同時に、細刀を持ったもう片方の手を肩から横なぶりに振るった。しかし、黒騎士は大剣でそれを受け止め鍔迫り合いになる。


「よく頑張ったわね坊や。聞こえているかしら?」


 突然声が聞こえてきた。その声はピースから聞こえた。イアノスの声だ。懐かしい声に男の子が涙目になる。


「何泣いてんのさ」


「相変わらず泣き虫だな、お前さんは」


「待たせてすまない。オレ様が来たからにはもう大丈夫だ」


 男の子の後ろから声がした。騎士団総長が壁にもたれ掛かりうなだれていた。その前に立つ三匹の化物がいる。ルフェルとアストロとドリウスだった。


 アストロはルフェルとドリウスに支えられていた。男の子がアストロに駆け寄る。アストロはルフェルの肩に回していた手を放し、男の子の頭を撫でた。


「心配させて、すまなかったな」


 男の子は首を横に振ってアストロに抱きついた。その視線をドリウスに移すと、ハッと何かに気付き急いでショルダーバックからドリウスの短剣を取り出した。


「それは、オレ様の短剣ではないか!!」


 男の子は力強く頷いて短剣をドリウスに渡すと、短剣はランスに姿を変えた。ピースから声が聞こえる。


「坊やの想いが強く伝わってきたわ。その想いが皆を目覚めさせたのよ」


 イアノスは嬉しそうに言った。ふと視線を扉の方へ移すとアルバがこっそりと顔を覗かせて、笑顔で手を振っていた。ルフェルとドリウスを看病し、ここへ運んでくれたのは彼女だった。


 男の子が笑顔で手を振り返すとアルバは顔を赤らめて両手で顔を覆った。そんな彼女に襲い掛かろうとする騎士たちだったが、アルバはチラリと手の隙間からその攻撃を見切ると、腰からキセルを取り出して攻撃をいなした。


「わっちがお相手しんす。一歩たりとも外へは、ましてやあの子供わっぱの所へは行かせんせん」


 アルバは笑っていた。いつの間にか糸を括りつけて騎士たちの身体の自由を奪っている。騎士たちは必死にもがいたが、もがけばもがくほど糸は絡みついていき、身動きを取れなくしていった。


 彼女はやはり悪い化物ではない。騎士団総長の元にいたのも、マトハに付いていたのも、ルフェルやドリウスを攫ったのも、すべては男の子を守り暴走したマトハや王を止めるため。男の子を陰から支えるちょっぴり一途な化物だったのだ。


「さぁ、ぬしの力を見せてくんなまし!」


 男の子がピースを強く握ると、光が強くなっていく。ガチンと音がしてロヴェが男の子のところまで吹っ飛んできた。空でクルリと回転し、手を地面につけて男の子に衝突しないように反動を抑える。


「おねがい。みんなを守って……!」


 金色の光がピースから飛び出しロヴェにルフェルにアストロにドリウスに飛んでいく。その光がこの四匹を優しく包んだ。王がゆっくりと近づいてくる。


「王よ。この子は沢山の化物と出会ってきた。だが、一度として俺たちを心から蔑み本気で刃を向けたことはない。この子なら世界を変えられる。俺はこの子に賭けてもいい」


 アストロが叫んだ。王がゆっくりと近づいてくる。


「この子はオレ様のライバルだ。オレ様はライバルであるこの子がいると不思議と力が沸いてくる。勇気が涌いてくる。優しさや間違いに気付くことができたのもこの子のおかげだ。オレ様が欲しかったものはモチモチでもムニムニでも騎士の地位でもない。共に笑い合える友達だったのだ!」


 ドリウスがランスを握り締めた。王がゆっくりと近づいてくる。


「アタシもこの子に大事なものを教えてもらった。人間の優しさ、愛情、友情、涙。アタシはこの子に出会って変われた。この子は敵であるアタシに優しくしてくれたんだ。こんなに優しい人間がアタシらを殺そうとしたなんて思えないんだ。最初は人間なんて憎かったけれど、それでも同じように生きてる。だからこの子には例えアンタが王であっても指一本触れさせやしないよ!」


 ルフェルが男の子の肩に手を置いて叫んだ。王がゆっくりと近づいてくる。


「私もかつてはこの子を捕まえるようにプログラムされたただのロボットでした。私は力に溺れアストロ様とドリウス様、この子を襲いました。そして大切なものを、お母さんを失ったのです。王様、あなたのしていることは理想郷を作るという名目でただ力に溺れ、欲に溺れ、人間の命を奪っているに過ぎません。失ったものはもう戻ってきませんが、失うことを防ぐことは可能です。王様。今一度お考え直し下さい」


 ロヴェは細刀を地面に突き立てて肩膝をついて言った。王がゆっくりと近づいてくる。後ろから声が聞こえた。壁にもたれ掛かりうなだれた騎士団総長だった。


「は、反逆者共め。そのガキを渡せ。そ、そいつは我ら騎士に戦を仕掛けた。牢獄で我々に刃を向け、我々騎士を、殺したのだ。ガキでも闇を宿すことがよーく解った瞬間だ。人間はやはり、やはり闇を抱えて生きている。我々とは違うのだ……!」


 騎士団総長が立ち上がろうとする。だが身体に力が入らない。騎士たちは騎士団総長を抱え上げようとしていたが、騎士団総長はそれを制す。まだ戦う意思のある騎士が幾匹かおり、震えながらも剣を構えていた。


 男の子が俯く。アストロが男の子の頭をぽんぽんと叩いた。王がピタリと歩みを止める。ロヴェはいつでも戦闘に入れるよう中腰になって構えていた。

読了お疲れ様でした

いかがでしたでしょうか


やっぱりアルバは悪い化物ではありませんでしたね!!

男の子を見て顔を赤らめちゃう蜘蛛娘アルバさんめっちゃ可愛くないですかっっっ!?

一方ドリウスさんはまだ克服できていないようで実は終始顔が引きつっていたという。。。(殴


さて、男の子がイアノスにもらったピースを握りしめると、その想いに呼応し金色の光を放ちました。その光は皆に力を与えます。それぞれの想いを王にぶつけたメンバーは再度、王に立ち向かっていきます。

彼らの想いは王に届くのか!?

続きは64話で!!


それではまた次回お会いしましょう!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ