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ŪNDER WΦRLD  作者: 赤神裕
Scene 09:Despair ―絶望―
69/85

Episode 62:王の間

みなさん、おはこんにちばんわ

第62話になります


それでは続きをお楽しみください

 階段を上りきると大きな扉があった。今までとは違う禍々しい雰囲気の金の装飾が施された豪華な扉だ。男の子は扉に手をかけて勢いよく押した。


 ギギギィィ……。男の子にとってこの扉は重たかったが、全く開けられないというほどの重さではなかった。少しずつ少しずつ開いていく。


「わっ!」


 ある程度開くと扉は急に軽くなり、男の子は顔面からペシャンと倒れ込んだ。痛いのを我慢しながら鼻をさすって見上げると、壁も床も天井もそこら中ピカピカでとても豪華な空間が広がっていた。その空間の中心に大きな椅子が置いてある。


 椅子の上には、大きな身体を有し頭に角を生やして目のあたりに深い傷のあるオオカミの顔した化物が、装飾を施された服に身を包み椅子に座っていた。


 男の子はその姿を見るなりすくみあがった。それほどまでにこの化物は恐ろしかった。男の子に気付くと椅子から立ち上がり男の子のを見据える。


「人間の子よ。よくここまで来た。その勇気、認めよう」


 低く重々しく太い声だった。その言葉だけで空気が震えた。王の威厳という恐ろしいものを男の子は身体で感じていた。それでも目を背けることなく真直ぐと見ている。王はその目を見て笑った。男の子は辺りを見渡した。お兄ちゃんの姿はない。王の間には王しかいなかった。


「お兄ちゃんはどこにいるの!」


 男の子が叫ぶと王は後ろの扉に目をやった。


「この扉の向こう側にいる」


「お兄ちゃんを返して!」


 王の言葉に感情的になり叫ぶ男の子。王は鼻で笑った。男の子は王を睨みつけている。


「だが、そなたはまだ私と対峙する決心が欠けているようだ。出直してくるといい」


 王が言うと咄嗟に男の子の後ろの扉が開き騎士団総長と騎士団が入ってきた。


「王様ァ、お怪我はございませんか。クソガキめ、こんなところに入り込むとは!」


 騎士団総長がポイと黒い塊を投げた。


「アストロ!」


 男の子は駆け寄る。黒い塊はアストロだった。アストロは傷つき倒れていた。身体はひび割れ、ローブもボロボロだ。


 男の子はアストロをゆすって起こそうとする。だがアストロは唸るだけで身体はピクリとも動かなかった。


 騎士が男の子の両脇を抱えて持ち上げる。じたばたと暴れて抵抗したが騎士は全く動じることもなく騎士団総長の目の前に連れてきた。騎士団総長は下品に笑う。男の子は騎士団総長を睨んだ。


「なんだァ? 何か言いたげだなァ。だが、貴様の言い分など聞かんぞ。ガハハハハ」


 騎士団総長が部屋の外へ連れて行くように命じた。王が腰を下ろす。肩肘をつき、退屈そうにしている。男の子が振り返ると床に倒れたアストロが連れて行かれそうになっているのが目に入った。


「アストローーーーーーーーー!」


 男の子が叫んだ。その瞬間、ショルダーバックが金色に輝きだす。騎士は吃驚して男の子を掴む手を離した。


 男の子がショルダーバックを開けると中でピースが金色に光っていた。そのピースを手に持つと同時に騎士団総長がそちらを向いた。その横をサッと通り過ぎていく男の子。アストロを掴んでいた騎士もあまりの眩しさに目を覆いそのまま苦しむようにのた打ち回った。


 この様子を見ていた王が立ち上がる。目の色を変えて、まるで危険な物を見たかのような鋭い目で腰を上げて男の子の方を見ていた。


「王様、我々がすぐに……」


 王は両手にそれぞれ形の違う大剣を持っていた。男の子の前に立ちふさがる。


「人間の子よ、そなたは生かしておけなくなった。理想郷計画の一部となるがよい」


 王は少し焦っていた。その目の前に緑色の粒子が集まっていく。粒子の集まりは王の頭を包み込み、冑が姿を現す。漆黒の冑だった。


 粒子はそれだけにとどまらず、王の全身を包み込んだ。漆黒の鎧に漆黒のグリーブ、漆黒のガントレッド。王は黒騎士へと姿を変えた。空気が一気に重々しくなる。


「ええい、総員構え! あのガキを今すぐに捕まえろォ!」


 騎士団総長が叫ぶと騎士たちは男の子の元へ走っていく。男の子は黒騎士と騎士に挟み撃ちにされていた。


 男の子は身構える。武器などない。戦えるものなど何もない。唯一持っているのはドリウスのボロボロの短剣だ。だがこれではとても太刀打ちできない。そもそも男の子は短剣の扱い方を知らない。


 男の子は丸腰同然だった。だが、それでも逃げ出すようなことはしなかった。既に決心していたのだ。絶対に逃げ出さない決心をしていたのだ。それを再確認するため胸にピースを持った手を当てるとピースが強い光を放った。


 男の子はあたたかく包まれる感覚がした。騎士たちは光に弾かれ、苦しみながら地面にのた打ち回る。


「何をしておるのだ。もうこの際殺してでもいい! 捕まえろォ!」


 騎士団総長が叫ぶと騎士たちの士気が上昇した。一斉に男の子へと襲い掛かる。男の子はピースをギュッと握り締めた。


 男の子を中心に金色の波動が広がる。波動に包まれた騎士は弾け飛んだ。だが、黒騎士は怖気もせずに男の子に近づいていく。


 黒騎士は光に触れても弾け飛ばなかった。両手に持った大剣を十字に重ね合わせると、黒く禍々しく光りだし、ピースの光をかき消していく。男の子は後ずさりした。ピースの光がどんどん弱くなっていき、黒い禍々しい光が強さを増していく。


 黒騎士は十字に重ねた大剣を下へと振り払った。ピースの光が完全にかき消され、男の子は風圧で吹き飛ばされた。その風圧は騎士たちも騎士団総長も巻き込んでいた。


「終わりにしよう。そなたでは力不足だ」


 黒騎士が大剣を振りかぶる。男の子は目を背けた。

読了お疲れ様です

いかがでしたでしょうか


王と対面した男の子はお兄ちゃんの居場所を聞き出しました。

しかし、王は理想郷計画のために男の子に襲い掛かります。

どうなる男の子!?

続きは63話で!!


それではまた次回お会いしましょう!!

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