Extra 05:茶色の湯
みなさん、おはこんにちばんわ
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生まれて初めて触るそれは落としてしまったら二度と元には戻らない貴重な物だった。缶の中から葉を取り出して、銀色の網に入れる。熱源に水が入った金属の入れ物を置き、しばらくすると沸騰してお湯になる。
先ほどの葉を入れた銀色の網を専用の入れ物にセットして、上からお湯をゆっくりと注いでいくと葉が開き香りが立ち込める。爽快感の混じった、ほんのり甘い香りが鼻から頭へと抜けて行き、モヤモヤとした感覚が少しだけ晴れたような感じがした。
しばらくすると、専用の入れ物の下に茶色の湯ができあがる。これをカップに注いで出来上がりだ。この網や専用の入れ物は生まれて初めて触ったものだ。いつもは触らないようにと釘を刺されていたからだ。
しかし、この香りと茶色の湯にはリラックスの効果があると聞いている。飲めばきっと機嫌を直してくれるだろう。カップに移した茶色の湯を、零さないよう慎重に二階へと運ぶと、扉が開かれて唇を噛んだ女性の顔が現れた。
カップをまじまじと見つめて一口。そして、泣き出してしまった。カップを受け取って傍らに置き、頭をポンポンとすると、こちらを向いてニッコリと微笑みながら『ちょっと渋いよ』と言った。茶色の湯はどうやら活躍したようだ。
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