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ŪNDER WΦRLD  作者: 赤神裕
Scene 04:Rebel ―反逆者―
29/85

Episode 24:ドリウスは助けたいっ!

みなさん、おはこんにちばんわ。

第24話になります。


続きをお楽しみください!

 他の蠢いていた化物たちの動きが急に止まる。

 どうしたのかとその化物たちを見ていると廃品口の方から音が聞こえた。ドリウスたちが振り返る。そこには腕に女の子をお姫様抱っこしているスラリと背の高い男がいた。


「戦ったのね……。亡者たちと」


「ネビィ。何故ここに?」


 ドリウスが尋ねた。女の子――ネビィはまっすぐにドリウスを見て口を開いた。


「廃品置き場はあなたの管轄よねドリウスちゃん。でも、ここには来て欲しくなかった。この隠された廃品口には」


「何を言ってるんだネビィ。確かにオレ様の管轄だが、こんな所……。そう言えば知らない……」


 ドリウスが何かを思い出そうと頭を悩ませていた。廃品置き場の地図だ。だが、ドリウスの頭の中の地図にはこのような場所は載ってなかった。見覚えがなかった。そのことに今更ながら気づく。


「何故だ? 何故オレ様はここを知らない? うん?」


「隠されていたからよ。あの騎士団総長が開けたのね」


 ドリウスの頭の上にハテナが20個ほど浮かぶ。


「ドリウスちゃん、あなったって……。相当バカなのね」


「何だとッ!? このスーパーウルトラグレートフルなオレ様にバカと言うとは!」


 ネビィがジト目で素気なくドリウスに言うと、ドリウスが意味の分からないこと言い放った。だがネビィは笑いもせず、ただため息をついた。その態度にドリウスが足をバタつかせる。


「もういいわ。教えてあげる。ここは死んだ化物が投棄される場所よ。本来ならお墓に埋められるはずだけど。選ばれた者はここに投棄されるの」


「選ばれた者。すごいな。母上は選ばれたのか! えと、何に?」


 緊張感のない問いにネビィが段々イラついてくる。そのイラつきをなんとか抑えてネビィは口を開いた。


「デドロよ。デドロはここに閉じ込められる。いっぺんに浄化する技術がまだできていないからよ。その方法を模索したところ、死んだ化物や死ぬ直前の化物をここに閉じ込めてデドロに食べさせ結合させた『デドロ結合体』を浄化する方法が現状では最善策だったのよ」


「それはつまり……。なんでそんなことを知っているんだ……。ネビィ!」


 ドリウスが短剣を構える。ネビィはそっぽを向いた。とても悲しそうな顔をしていた。


「私が、考案したから……。私は一線を越えてしまった。本来死ぬはずのなかった化物を殺して、ここに閉じ込めて。でも、早くデドロを浄化したかった。それがこの世界のためになると思ったから!」


 ドリウスが短剣を振りかぶりネビィに斬りかかる。スラリと背の高い男――ロヴェが優しくネビィを下ろし、腕でそれを受け止めた。ドリウスの短剣にヒビが入る。ロヴェが後ろ回し蹴りでドリウスを蹴り飛ばした。


 ドリウスが吹っ飛び反対側の壁に激突した。ロヴェはドリウスに近づき、首を掴んでアストロのほうへと放り投げた。ドリウスが地面に叩きつけられる。


 ロヴェは強かった。まったく刃が立たなかった。刃どころか手も足も出なかった。ロヴェが今度は男の子を狙って突進していく。アストロが男の子を庇うために前へ出た。


「ロヴェやめて! その子は捕まえないで!」


「……その命令はプログラムによって拒否されました。任務を遂行します」


 ネビィはロヴェを説得しようとした。だが、ロヴェは男の子を捕まえようとドリウスやアストロを攻撃し続けた。ロヴェはロボットだった。組み込まれたプログラムどうりに命令を実行し続けるロボットだった。彼には失敗の二文字がなかった。許されなかった。故にネビィの声は届かない。


 ドリウスは激怒した。そのとき、ドリウスの左目が赤く光る。ドリウスが激痛に左目を押さえた。今まで経験したことのない激痛だった。ロヴェが刀を構えた。


「ネビィ監視官。ここは危険ですので退避を」


 ロヴェが静かに言うとアストロがドリウスの前にもう一歩を踏み出した。男の子は後ろでドリウスを心配して、その名を連呼していた。


「面倒ですね……。仕方がありません。まずはあなたからです」


 ロヴェが右目を赤く光らせる。刀を振るい、突っ込んでいった。アストロが右手でそれを受け止める。その左目は赤く染まっていた。身体からはギリギリと軋む音がしている。それでもロヴェはグイグイと追い詰めていく。アストロが徐々に後ろへと下がっていった。


 男の子はその後ろでドリウスの名を連呼し続けていた。だが、左目を押さえていたその手は力なく地面に落ちた。


「ドリウス……?」


 男の子が吃驚したような声を漏らした。アストロはその声に後ろを振り返ることができなかった。ドリウスが死んだ。いや、死ぬはずがない。だが、傷を負いすぎたとすればドリウスの治癒能力でもどうにもならないのではないか。不安が渦巻いていた。


 ドリウスの返事はない。そんな、まさか。そんなはずがない。ドリウスが死ぬはずがない。今までだってそうだった。死にそうになったっていつでも立ち上がってきた。しかし、今回は……。


「アストロ、ドリウスが!」


 男の子が叫んでいる。ドリウスがどうした。死んだのか。死んでしまったのか。こんなことがあるだろうか。アストロは自身を責めた。守ると誓い、未来を変えようとしたはずなのに。結果としてドリウスが死んでしまうなんてあまりにも残酷だ。


 アストロは声に出しはしないものの、心の中でドリウスの死を悲しんだ。ふいに肩をポンと叩かれる。


「あまり無理するなよ兄貴」


 その声を聞いてアストロは吃驚した。横目で後ろを見るとドリウスが立っていた。だがそこにいたのは今までのドリウスとは違った。手に短剣ではなく長いランスを持っていた。溶けた左手は元に戻っていた。さらに、頭には二本の大きな角が生えていた。悪魔化していた。


「ドリウス、お前……」


「ドリウスがアストロを助けたいって言ったの!」


 男の子がアストロに向かって叫んでいた。拳を握り締めていた。アストロがそれを見て笑う。男の子は笑わなかった。アストロが笑うのをやめる。ドリウスを見る。どうやら自分から悪魔化を受け入れたようだ。


 ドリウスの目には決心があった。アストロを支えるという決心だ。その決心は激しく燃えていた。その燃える決心に応えるように、ドリウスのランスは炎を帯びた。


 それを見たロヴェがアストロから離れてドリウスに向かって刀を振る。ドリウスがランスでそれを受け止めた。ロヴェの力は無限大だった。どんなものでも吹き飛ばして破壊する威力があった。だが、ドリウスのランスはその威力さえも打ち消しロヴェの刀を止めた。ロヴェが驚きの表情を見せる。


 ドリウスが刀を弾くとランスを横に振った。ロヴェが吹っ飛ぶ。すかさずドリウスがロヴェの身体を突く。ロヴェがぐぅと唸った。ランスがロヴェの身体を貫通することはなかったがそれでも十分なダメージを与えていた。ロヴェの身体のきしむ音が聞こえる。


「ロヴェ、もうやめて。争う必要なんて無い!」


 ネビィがロヴェを諭すように言う。ドリウスもその声に頷いた。

読了お疲れ様です。

いかがでしたでしょうか。


今回はドリウスが悪魔化しました。

ドリウスの中にも悪魔が棲んでいたんですね。

そしてその悪魔に身を委ねたドリウスは悪魔化し、武器が槍に変わります。

ドリウスのバカっぽさとカッコよさを一度に二度味わえる回になったと思います!


さて、悪魔化したドリウスがロヴェと対峙します。

一方ロヴェは執拗に男の子を狙おうとします。

三人の冒険はまだまだ続く。

第25話をお楽しみに~!!


それではまた次回お会いしましょう!!

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