Extra 03:理解不能
みなさん、おはこんにちばんわ
それでは続きをお楽しみください
二階、廊下、寝室前にて。扉をノックし続けても返事がない。寝ているのだろうか。諦めて一階へ降りようとすると扉の向こう側から声がする。このような行為は個人のプライバシーを侵害する行為であることは重々承知だが、聞き耳を立てて内容を把握する。
誰かと話している。怒ったような口調で、しかし時折笑いながら。誰かと話している。一体誰だろうか。微かに聞こえるその声から男性であることは間違いない。仕事の話? プライベートな話? それとももっと違う何か?
その話が何であるのかは分からないが、その声を聞くたびに変な感覚がする。心が満たされていくような感覚とは別の物。逆に失われていくような、そんな感覚がする。胸のあたりにぽっかりと穴が開いてしまいそうな、そんな感覚がする。
初めて味わうこの感覚は物凄く嫌な感じだ。噎せ返るようで、体内に入れたものを全部吐き出してしまいそうなドロドロとした、モヤモヤとした、嫌な感じだ。これは知りたくない。理解不能。
『酷くない?』という言葉が扉越しに聞こえてくる。何がどう『酷い』のか分からない。しかしそれはこの現状を代替する最も近しい言葉である。この感覚は『酷い』のだ。とにかく、その一言でしか言い表せない。
視界も何だか揺らいでいるような感じだ。どうにもできなくなり、その場を去った。
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