表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ŪNDER WΦRLD  作者: 赤神裕
Scene 04:Rebel ―反逆者―
18/85

Episode 18:狂乱の牢獄戦

みなさん、おはこんにちばんわ。

第18話になります。


それでは、続きをお楽しみください。

 男の子は走っていた。笑いながら、両手に短剣を持ちながら。騎士たちは男の子を捕まえようとしていた。しかし短剣で弾き飛ばされ、なかなか捕まえられなかった。


 一匹の騎士が長剣を振りかざす。すると男の子が一気にその騎士に間合いをつめる。騎士が長剣を振り下ろすと男の子はドリウスの短剣でそれを受け止めた。黒い短剣で騎士の鎧を叩き割る。すかさずそこにドリウスの短剣を入れる。騎士は血を流して倒れた。男の子は笑う。


「ぼ、ぼくを殺そうとする者は、み、皆、敵だ!」


 男の子は片っ端から騎士に斬りかかっていった。

 突然その短剣が弾かれ、男の子は後ろに倒れ込んだ。何事かと思い男の子は騎士の方を見た。そこにはスラリと背の高い男がとてつもなく長い五尺ほどもある細刀を背に斜めにかけていた。全身を鎧よりもシンプルだが鎧よりも硬い鉄の塊で包んでいた。


「あなたが例の人間ですね。デドロとの融合を検知。ロヴェ、戦闘態勢に入ります」

 

 背の高い男は自身のことをロヴェと呼んだ。

 男の子がロヴェの方を向いて短剣を向けるとロヴェの右目が赤く光った。そして男の子の方へ走り出し、右手を大きく振りかぶるとそのまま振り下ろした。男の子はそれを飛び退いてかわす。


 パンッ!


 ロヴェの腕から大きな破裂音が鳴ったかと思うと振り下ろした先に風が巻き起こり、射線上にいた騎士を貫いた。一撃で硬い鎧を砕き、身体を貫き、背をも貫く。貫かれた騎士は灰になった。


「な、なんだ今の……」


「巻き込まれたくなければ離れていてください」


 ロヴェがそう言って男の子の方を向くと、周りの騎士がその場から離れる。次の瞬間――


「ぎゃあぁああ!」


 離れた騎士の数匹が同時に背中から赤い光線で貫かれた。

 騎士たちが叫び声を上げながら灰になる。ロヴェが異変に気付き振り返ると、灰になった騎士たちの後ろから、こちらへ向かって歩いてくる足音が聞こえた。だがロヴェの目には何も見えなかった。姿がなかったのだ。形のようなものは何となくあるが、姿がない。

 

 一方、男の子にはその姿が見えていた。ヤギの頭骨を頭にくっつけて黒いローブをはためかせ、赤いケープを巻いた化物。アストロだった。


「あ、ああ、アストロ……」


 男の子がそうつぶやくとアストロは笑いながら大きく息を吸った。


「いいぞ。もっとだ。もっと俺に恐怖しろ!」


 アストロは笑いながら騎士たちから恐怖を吸い取っていた。


「邪魔をしないでください。近づけばあなたを……」


 ロヴェがそういった途端、その横をドリウスの短剣を右で逆手に、黒い短剣を左で順手に持った男の子が突っ込んでいく。男の子も笑っていた。男の子の笑いは狂気に満ちていた。

 

 アストロがひらりひらりと男の子の攻撃をかわし、左手に赤い光の槍を形成する。今度は複数の槍だった。男の子に向かってすさまじいスピードで飛んでいく。だが、男の子はアストロと同じようにそれをかわす。人間らしからぬ動きだった。

 

 男の子が躱した赤い光の槍はロヴェの方へと飛んできた。赤い光の槍はロヴェの目に見えていた。


「面倒ですね……」


 ロヴェが背に手を回す。すると、バシュッと音がして五尺ほどの細刀が鞘から排出され、その手に納まった。ロヴェがその細刀を一振りすると飛んできた赤い槍が一瞬にして両断されて消えていく。


「あ、あぁ、ああ、アストロぉぉ!」


 ロヴェが視線を上げると、男の子は既にアストロの目の前に到達していた。

 男の子はドリウスの短剣を振り下ろした。アストロが笑いながらそれをかわす。横から黒い短剣が迫ってくる。アストロはそれもかわす。短剣が空を斬った。


 さらに男の子は右手を斜め上から斬り下ろす。アストロはそれもかわす。次に左手が腹部を狙って横に振られる。アストロは後ろに飛び退き、それをもかわした。


「当たらねぇな。そんなへなちょこな構えじゃ俺を倒せないぜ」


 アストロが左手を突き出す。その手中から赤い光線が発射される。一瞬の閃光。直撃だった。男の子は後ろに吹っ飛び倒れこむ。


「よ、よし、捕まえろ!」


 騎士が男の子を取り囲んだ。捕まえようとしている。アストロが目の前にいた騎士を吹っ飛ばした。騎士は壁にぶち当たり燃えて灰になる。騎士たちがアストロに剣を向けた。騎士たちは震えていた。アストロに恐怖していた。アストロが大声で笑う。


「止めてみろ。お前らに止められればの話だがなぁ?」


 騎士たちは恐怖に支配されていた。剣は構えているもののへっぴり腰である。

 アストロの背後に巨大な影が映った。その影は恐ろしい姿だった。太くてうねりあげた二本の角が頭の上に生え、ヤギの頭骨、黒いローブに身を包んだ影だった。影の左目が赤く光っていた。男の子が出会った頃のアストロの姿をさらに恐ろしくした姿をしていた。


「死にてぇ奴から前に出ろ。死にたくなかったら失せろ!」


 アストロが笑いながら言った。アストロは狂っていた。

 騎士たちはパニックになっていた。剣を捨てて逃げ出す者。剣を構えたまま硬直する者。その場で倒れる者。


 アストロが歩みを進める。目の前にいる騎士を片端から吹っ飛ばす。吹っ飛ばされた騎士は燃えて灰になる。それを見てさらに恐怖する騎士たち、それを笑いながら吸い取っていくアストロ。まさに悪魔だった。


「上から、こ、殺すなといわれている人間だ。通さねぇぞ」


 騎士が五人ほど男の子の前で剣を構えていた。アストロは笑いながら左手を前に突き出した。その手中に赤い光が溜まっていく。そして無数の赤い光線を射出した。騎士は誰一人逃げなかった。逃げられなかった。恐怖で足がすくみ、光線の餌食となった。燃えて灰になる。


 残ったのは砕け散った鎧と剣と、男の子と、アストロ。そして片膝をついて冷静に攻撃のチャンスをうかがっているロヴェだけだった。


「お前さん、俺に恐怖していないな?」


 アストロが男の子を見下ろしながらロヴェに問うた。ロヴェは黙り込んだまま機会をうかがっていた。アストロは横目でそれを見て確信した。ロヴェには自身の姿が見えていないことを。しきりに右目をあちらこちらへと泳がせていたからだ。見えているならばそのまま攻撃してくるはずだ。

 

 アストロは男の子に左手を向けて笑った。


「お前さんは、やはり生かしておくべきじゃなかった。お前さんに何かあると思い込んだ俺の……。いや、そうじゃない。はぁ。まったく嫌になる……」


 アストロはため息をついた。そして足元に落ちているドリウスの短剣を拾い上げた。刃こぼれして使い物にならない短剣。ギザギザのついていない短剣。それはまさしくドリウスの短剣だった。


 ふいに後ろから何かが飛んできた。それはアストロの背を貫いた。アストロは左手を後ろに向けて赤い光線を放った。だがそこにはもう何もいなかった。アストロはロヴェがどこに行ったのか必死に姿を探す。


「そこに、いますね?」


 ロヴェの声が頭上から聞こえた。アストロが上を向くとロヴェは右目に何かの機械をくっつけてアストロを見ていた。アストロが左手を構えようとするが、もう遅い。ロヴェの右フックがアストロの胸に当たり――

 パンッ!

 大きな破裂音と共にアストロは仰向けに倒れた。アストロの視界が天地逆さになっている。その視界の先にほっそりした足が見えた気がしたが、アストロは気を失ってしまった。

読了お疲れ様です

いかがでしたでしょうか。


今回初登場のロヴェさん。五尺の細刀を振り回すってなかなかの狂人ですよね。

ヤバい、今回の戦い「狂人VS狂人VS狂人」だわ……。

刀だけでも五尺あるのでロヴェさんはかなり背が高いです。仮にアストロ様にフォーカスあてるとほとんど見切れますよねこれ。

もし仮にアニメ化したらどう表現するんじゃ。毎回見切れるぞロヴェさん……。

何とも可哀そうなロヴェさんでした。

「面倒ですね……」


さて、男の子はアストロに、アストロはロヴェに倒されてしまったわけですが、アストロは最後に何か見てますね~

一体何なのか、男の子は無事なのか、アストロは無事なのか!?

続きは19話で!!


それではまた次回お会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ