Cランク
ーーーフォレスタニア王国ーーー
この国ができたのは大戦争後である。この国は国土の9割以上が森である。
100年程前、大戦争によりたくさんのエルフが死に、森は人間達に焼き払われた。人間だけではない。血の臭いを嗅ぎつけて来たドラゴンの群れがこの国を襲撃した。ドラゴンの炎により、森はさらに焼かれていった。
戦争は終結したが、森を完全に元に戻すには200年以上かかると言われていた。
そんな時、この国に1人のエルフの女が現れた。そのエルフは突然現れたという。そのエルフは不思議な力を使い、瞬く間に森を生き返らせた。
そのエルフは、自分は神から生まれた、と言う。
他のエルフはそのエルフを女王として崇めた。こうしてフォレスタニア王国が成立した。
ーーー
この国はとても平和だ。エルフ達が自由に生活している。彼らには寿命が存在しない。病気や怪我で死ぬ事があっても、老衰する事はない。見た目の若さは人それぞれである。寿命という概念がない為、エルフ達は時間に余裕を持っている。
彼らは自然をこよなく愛し、自然に手を加える事をあまり好まない。彼らは排他的であり、多種族とあまり交流したがらない。その為、この国には独自の文化が形成されている。
「ハハハ、待ってよぉ。」
「捕まえてみろよ!」
5人の子供達が遊んでいる。その様子を大人達は遠くから暖かく見守っている。この辺には危険な生物はいない。間違いない。数百年という年月を生きてきたんだ。経験上、間違いなく安全だ。
村の大人達はみんなそう思い、子供達が村から少し離れた所にいるのを気にしなかった。
子供達は森の奥に入っていった。
「あなた、子供達が見えない所に行ったわよ。」
「そうだな、一応、見てくるよ。」
ーーー
「あれ、はぐれちゃった。」
エルフの少女が歩きながら、友達を探していた。
ガサッ ガサッ
「あ!そこに居たのね!」
少女が音のした方向に行くとーーー
そこには、モンスターの集団がいた。オークやゴブリン 、他にも様々なモンスターが。
「友達」は獣っぽい、4足のモンスターに食べられている途中だった。肉や内臓が周りに散らばり、無残な姿になっている。
「え...」
ーーー
「どこに行ったんだ?」
エルフの男が子供達を探しに行っている途中。
「っ!」
優れたエルフの聴覚で足音を察知した男が後ろを振り向くと、そこには斧と少女の首を持ったオークが立っていた。
「ジェラ?...あああ...ジェラあぁぁぁ!」
オークが男に向かって斧で襲いかかる。男は弓でオークの頭を狙った。魔法を込めた矢はオークの頭を撃ち抜き、オークは絶命した。
ーーー
「ジェラ...お父さんを許してくれ...そういえば...みんなは...?こいつの仲間がいるかもしれない...」
エルフの男がジェラの首を持ちながら、他の友達を探しに行きーーー
結果、モンスターの集団を見つけた。みんなが死んだ事も分かった。だからと言って、1人でこの数は無理だ。
「早くみんなにしらせないと...!」
男は村に全速力で走っていった。
ーーー
ジョン・グレッグ D→C
エミリー・サイス D→C
ダニエル・イングラム D→C
クレア D→C
クエストをクリアしていき、私達は今日、Cランクに昇格した。これから更に難しいクエストを受ける事が出来る。
ちなみに、苗字は人間の文化だから基本的に亜人種に苗字は無い。孤児の私にも苗字は与えられなかった。
ジョン 「早くBランクに上がりてぇな。」
ジョンは早くBランクに上がりたいようだ。私も次に向かって頑張ろう。
ーーー
エミリー 「今後の計画はどうするの?」
エミリーの部屋で4人で今後の事を話し合う。Cランクの冒険者は1番数の多いDランクの次に多い。Cランクはごく普通の冒険者、という感じだろう。
ダニエル 「採取クエストを中心にするべきだと思う。無理に討伐クエストを受けなくても、Bランクには昇格できる。」
ジョン 「採取クエストでも、敵に遭遇した時の事を考えて、鍛錬は欠かせないな。」
いろいろと意見を出しながら、今後の計画を進めていった。
ーーー
クレア 「明日はお祭りだよね?」
ジョン 「ああ、この国の建国記念日だ。1日中大騒ぎになるぞ。屋台もたくさん出るんだ。食べ歩きするのも良いかもしれねぇな。」
私はこの国の祭りを経験した事がない。是非、どんな祭りなのかを身をもって味わいたい。
ジョン 「でも、パレードが見られるのはここから結構、遠いんだよな。パレードを見たいなら移動しないとな...そうだ!お前ら、俺の実家に来るか?多分、母ちゃんなら泊めてくれるはずだ。そこから、パレードが始まる場所まで馬車で2時間程移動すればパレードが始まる場所に着く。」
ーーー
私達はジョンに案内されて、集合住宅にやって来た。
ジョンがベルを鳴らすと、中年の女の人が出てきた。多分、ジョンのお母さんだろう。年齢よりも若そうな人だ。
「あら、久しぶりねぇ!元気だった?...隣にいる人達は誰?」
「俺の仲間達だよ。」
ジョンが事情を説明するとーーー
「いらっしゃい。いつも、ジョンがお世話になってます。さぁ、上がってちょうだい。」
ーーー
「ハッハッハ!さぁ、どんどん食え!食わんと強くなれんぞ!」
ジョンのお父さんにそう言われて、作られた料理を食べた。
「兄ちゃん!冒険の話、聞かせてよ!」
「飯の途中だろ?後でゆっくり聞かせてやるよ。」
「私にも聞かせて!」
「分かった分かった。」
ジョン 「次男のシド。そして、三女のスズだ。どっちも騒がしいが、まぁ、我慢してくれ。」
エミリー 「とても賑やかですね。」
クレア 「別に気にしないよ。元気がいいね。」
「ジョンは単細胞でキレやすいが、よろしく頼むぞ。」
「その言い方はねーだろ!」ガタッ!
シド 「兄ちゃんきれたー!」
スズ 「たんさいぼー!」
ーーー
寝る時は、男女別で寝る事になった。
ーーー男部屋ーーー
「ダニエル!お前、好きな子はいるのか?」
ダニエル 「いないな。女に興味はない。」
ジョン 「なんだよつまんねぇな。まっ、俺の女好きは親父から遺伝したんだろーが。」
「嘘だろ〜、女の子にあんな事やこんな事をしてみたい、とか思った事はあるだろ?」
ダニエル 「ないな。一度もない。」
「一度も?」
ダニエル 「一度も。」
ジョンがトーンを落とした声で
ジョン 「親父...こいつ...もしかして...」
「ああ...」
ダニエル 「?」
親子 「「ホモだったのか...」」
息の合った声でそう言った。
ダニエル 「はぁっ!?」
「ジョン、お前、ケツを警戒しとけよ。あいつに掘られ...」
ダニエル 「やめろおぉぉぉ!」
ーーー女部屋ーーー
「なんだ、騒がしいね。」
クレア 「ダニエルの声だ。何かあったんだろう?」
エミリー 「さあ。」
ーーー
「ところで、あんた達、彼氏はいるの?」
クレア 「いません。」
エミリー 「いないです。」
「そうかい、ウチはよく男にモテたもんだよ。ああ、若いっていうのはいいねぇ。」
あまり考えた事がないな。そういう経験もないから、よく分からない。
クレア 「今の旦那さんとはどうやって出会ったんですか?」
「話すと長くなるけどねぇ。主人とはーーー以下略」
話が1時間くらい?続いてやっと終わった...最初の方の話はあまり覚えていない。眠くなってきたから、目を瞑ろうとした時ーーー
「ジョンを頼んだよ。ちょっと不器用だけど、根はいい子なんだ。あの子の仲間でいてくれて、友達でいてくれて、本当にありがとう。」
感謝したいのは私の方だ。ジョンはムードメーカーで、リーダーシップがあって、私達を元気にしてくれる。これからも大切な仲間でありたい。友達でもありたい。




