悪夢
この小説はオカルトが大の苦手の作者が書いた小説なのでホラー成分が非常に少ないです。
また、文章構成がまだしっかりとしていません
以上のことを予めご了承下さい
「よし、全員降りたか?」
と石倉が人数確認をする。
「よし、六人ちゃんといるな、それじゃ行くぞ。扉とかがあっても絶対に触るなよ、俺の後だけをついてこい」
と付け加え、抜け出し隊計六人は、地下通路を出発した。
地下通路を進んでいると、石倉は手元をチラチラと見ていることに気づいて、千歳は、石倉の隣に並んでみる。
石倉は、綺麗な水色の物体と千歳の部屋で見つけた物体の二つを重ねて見ていたようだ。
一応、「何してるんですか?」と聞いてみると、「こうすれば正しいルートで行けるんだよ」と答えてくれた。
ここまでヒマタギに詳しいことに疑問が沸いた千歳だが、聞いたら取り返しの付かないことになると思い、ぐっとこらえた。
すると、花宮が
「早川さん、先頭は危険ですので、下がっておいた方が良いと思います」
と言い、千歳の腕を掴んで自分の後ろに引っ張った。
それからしばらく歩き、安心感を覚え始めたとき、花宮がいきなり「おい、石倉!止まれ!!」
と叫んだ。
石倉は「あ?」と首だけ振り向いた。
だが、時すでに遅かった。ちょうど石倉が曲がり角を曲がった時、彼の頭が青い何かに包まれた。
その瞬間、グチャリという音がした。
「ひゃぁっ!」
その青い何かが口であることを認識したとき、千歳の頭は恐怖でいっぱいになった。
石倉の頭を口で包んだ生物は、顔が異常に巨大で、胴体の三倍近くある。
全長は、顔を合わせて2m位ある。
胴体には腕と脚が2本ずつあったが、顔とのバランスがとれておらず、腕や脚が異常に短く見えた。
目は顔の大きさに比例して非常に大きく、魚のように両側に一つずつ付いていた。
髪の毛は一本もなかったが、顔の形からして、ひれやエラがない魚のようだった。
その生物が石倉の頭から口を離すと、石倉の首から上は存在しなかった。その代わりに、突如現れた生物の口に石倉のものであろう血液がベットリと付いていた。
「くそ、ヒマタギ・・・」
花宮が呟いた。どうやらあの生物がヒマタギらしい。
ヒマタギはそのまま捕食を続け、最後は石倉が生々しい白骨遺体になっていた。
「石倉さん・・・石倉さん・・・」
千歳にとっても唐突すぎる最後だった。
千歳の後ろにいる家族はどんな表情になっているだろうか?
だが、千歳にとってはもうどうでもよかった
「もう・・・やだよ・・・こんなの・・・やだよ・・・」
千歳は立つ気力さえ一気に削がれ、地面にぺたりと座り込んでしまった。
ドゥン!!ドゥン!!
ふとすぐそばで銃の発砲音が鳴った。音の元を目で見ると、花宮が銃を持っており、その銃から煙が上がっていることから、彼が撃ったものだと察しが付いた。
「・・・よくも、よくも、よくも石倉を喰らってくれたなぁ!!!」
花宮がヒマタギに対して激昂しているのは、周りの誰もが分かった。
彼は、石倉を相手にするときは敬語を使わずに接していた、そこまで石倉を信頼していたのだ。
ヒマタギはそのまましばらくじっとしていたが、銃弾二発に耐えられなかったのか、そのまま血を流して倒れた。
そこからしばらくの間、石倉の遺体を見ていた花宮だったが、無言で立ち上がり、そのままどこかへ歩き始めた。
よく分からないが、千歳は自分の体に鞭を打って、ほとんど力の入らない足で花宮の後を歩いていった。
三人家族も着いてきているようで、千歳の後ろからも足音が聞こえる。
そこからまたしばらく歩き続け、どこかの行き止まりにたどり着いた。その奥の壁には凹凸があった。
すると花宮はその凹凸を使って壁を登り始めた。元から2,5m程度しかなかったのですぐに登りきった。
そして花宮は、そこで天井に向かっていきなり殴り始めた。
「ちょ、どうしました?大丈夫で・・・」
最初は錯乱したと思った千歳だったが、上の壁が殴られた衝撃に合わせて少し浮いていくのに気がついた。
少しの間花宮が殴っていると、その部分の壁が壊れきって無くなったようで、外に出られるようになった。
花宮は登りきり、千歳も早く出ようと急いで登った。
ただ、最後に千歳が振り返った時の光景は忘れることは出来ないだろう。
(「もう気づいたと思いますが、そうです。ヒマタギに観察されないように、地下通路を通って抜け出せばいいのです」)
メノマエニイタハズノカゾク、サンニンガゼンインアノヒマタギニナッテイタノダカラ