予定
この小説はオカルトが大の苦手の作者が書いた小説なのでホラー成分が非常に少ないです。
また、文章構成がまだしっかりとしていません
以上のことを予めご了承下さい
「そうです」
千歳の想像の斜め下を抜けるような回答で、少し呆れそうになりながらさらに聞いた。
「抜け出すって、普通に引っ越しすればいいんじゃ?」
「それが無理なんですよ」
「え?無理って何が?」
「千歳さん。あなたは一回ヒマタギに襲われてますよね」
「はい、確かに襲われました」
「ヒマタギは、日を跨いでも部屋に誰もいなかったらその部屋を滅茶苦茶にするのです」
「えっ、それじゃ、ヒマタギって、日を跨ぐって意味ですか?」
「はい、でも奴の厄介な点は、部屋を滅茶苦茶にした次の日も居なかったら、居ない人をを滅茶苦茶にするのです」
「そ、それってもしかして」
「はい。普通に引っ越しをすれば、その次の日は、死ぬ未来しかありません」
「それじゃ、どうやって逃げるんですか!?」
「ヒマタギは、日中は私達を空から観察しているのです」
「それが・・・あ!」
「もう気づいたと思いますが、そうです。ヒマタギに観察されないように、地下通路を通って抜け出せばいいのです」
「そんなのあるんですか?地下通路なんて」
「それがなあ、ヒマタギ直々に作ってくれてるんだよ」
石倉がゆっくりと花宮の右側に顔を出し、千歳の質問に答えてくれた。
「ああ、石倉。調整とか終わったのか?」
「何とかな。さあ嬢ちゃん、学校を休む覚悟は出来たか?」
「へ?」
石倉の言葉に計画性と言うものはまるで無く、言葉の内容が理解できなかった千歳は咄嗟に変な声が出た。
「いや、学校休めよ?明日から金曜まで」
どうやら石倉は間違えて言葉を言ったわけではないらしい。だが、あまりにも唐突で聞きたい欲求を押さえられなくなってしまう。
「えと、理由を聞いてもいいですか?」
「だから抜け出すんだよ、このハイツから」
「それになぜ一週間も?」
「お前なあ、一日二日で手続きとか新しい物件の選択とか出来るか?」
「えっ、でも」
そこまで言われると、気になる点が浮かんでくる。
「新しい物件の選択をしている間って、野宿ですか?」
このハイツから抜け出す以上、次の物件を探す間は宿無しになる。
それに、このハイツに暮らしながら不動産通いをしても、明確な日程を決めづらくなりそうだ。
「こんなか弱き乙女に野宿なんてさせるわけないだろ」
「石倉、その台詞、聞きようによっては気分を害するぞ」
花宮の台詞には珍しく棘がある物言いだが、これは相手を余程信頼しているのだろう。
だが、石倉の言葉には具体的なことは何一つない。喜ぶべきなのか、戸惑うべきなのか迷っていると、
「まあ、隣町に俺の家がある。新しい物件が決まるまで、俺が面倒見てやるよ」
と言ってくれた。まあ、隣町に自分の家があるならどうしてここに住んでいるのか気になったが、
「あ、ありがとうございます」
と素直に礼を述べた。