異変
この小説はオカルトが大の苦手の作者が書いた小説です。なのでホラー要素が非常に少ないです。
また、文章構成がまだしっかりとしていません
以上のことを予めご了承下さい
「え!?」
(なにこれ、どうなってるの!?)
千歳の部屋の中は、まるで空き巣にでも入られたようにぐちゃぐちゃに物が散乱していた。
半ばパニック状態になりながら、何かを盗られたかどうかの確認をしていったが、荒らした人物にとって目ぼしい物は無かったのか、千歳の思い出した限りでは何も盗られてなかった。
(何も盗られてなかったから良かったけど・・・どうやって中に入ってきたの?)
千歳がこの部屋に入ったときは、しっかりと施錠されていた。それに、今朝は余裕をもって家を出たので、施錠をし忘れたということは可能性としては非常に低い。だが、現状は好き放題に暴れ倒されているのだ。
では、どうやって?
どうすれば対策できる?
考えれば考えるほど、疲れきった脳が悲鳴をあげる。
一日の活動限界をとっくに越えている脳は情報の整理をするために、必死に睡眠を要求している。
幸運にも明日は土曜日で抱えているアルバイトも休みだ、ならば今日はもう休んで、明日にじっくりと考えた方が得策ではないか?と考えたら、何をするにも無気力になり、仕方ないので適当なスペースを空け、そこに布団を出してそのまま意識を手離した。
次の日の朝9時頃、千歳の姿は201号室にあった。
その部屋には『裏野ハイツ』に住み始めて20年経つらしい70代のおばあちゃんが暮らしている。
「・・・・・・という事があったんですけど、いまだに信じられません」
千歳は昨日の事について、細かく説明した。
「ふむ、なるほど。確かそれに似た事がこの部屋にも起きたような・・・断言は出来ないんじゃが、それはこのハイツに住んでいる妖怪の仕業じゃと思うのぉ」
「よ、妖怪・・・?」
千歳も言葉だけならよく耳にしているが、実際に自分のこととして言われるのは初めてだった。
「そうじゃ、わしよりも長くここに住み着いておるんじゃよ、名前は・・・確か・・・えーと」
「ヒマタギ・・・ですか?」
「ひゃ!」
千歳は後ろからの声に驚いて、短く声をあげてしまった。
「あ、すみません。いきなり声を出してしまって」
その声の元の人物は、短い髪に所々浅いシワがあり、どこか落ち着きを感じさせる顔立ち、身長は150後半位で全体的にスラッとしており、服装は青と白の横縞のTシャツに、ズボンは黒色のジーパンを履いていた。
「えーと・・・?」
「花宮です。早川さんとこうやって顔を会わせて会話するのは初めてですかね。あと、先日はありがとうございました」
先日、と言われてもいつの事か分からずに
「え、先日…ですか?」
と聞くと、
「あっ、ここに引っ越された時の挨拶の品のことです。まさか、私の部屋にまで配って下さるとは思いませんでした」
確か、ネットで調べると上下左右の住人のみで大丈夫とは書かれていたものの、一応全ての住人に粗品を配って回ったのだった。
「あっ、いや、別に大したものじゃなくてすみません」
「やはり全員に配って回っておったのか、人情深いというか何というか・・・」
千歳が今いる部屋に住んでいるおばあちゃんは、呟くように言った。
「あ、話をかき乱してすいません。それで、二人はなぜ、ヒマタギの話を?」
「そうじゃった。実は・・・留守中にヒマタギにやられたらしい」
情報量に欠けていると思わせるような説明だったが、花宮にはそれなりに伝わったらしい。
「・・・なるほど。とりあえず、現場を見るのが一番ですね。早川さん、今からあなたの部屋に行ってもよろしいですか?」
話が数段飛ばしで速くなり戸惑っていたが、
「は、はい」
と、返事だけはできた。