I'm...
私は何をしているのだろう。
この薄暗くじめじめとしたところに閉じ込められてから一体どのくらい経ったのだろう。
探そうとする。
だが、やめた。私がこの問いに何も意味がないことを知っていたからであろう。
では閉じ込められる前の事はどうだろう。
私はその時まで何をしていて、何をする予定だったのだろう。
探す、探す。
でも駄目だった。見落としているのではなく、きっともとからそんなものは無かったのだ。
ならば探すだけ無駄というもの。
そもそもこの暗がりで過去のことなど見つめても仕方がない。
私は開いていたかどうかさえわからないまぶたを閉じ、暗闇に身を委ねた。
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どれくらい経ったのだろう。
ふと、私の中に「光」がよぎった。
この暗闇の中だ。逃すはずはない。
それはきっと、キボウというものだった。
キボウ…。希望だと?
馬鹿なことを考えたものだ。
あんなものの一体何が希望だと言うのだ。
私は鈍っていた頭を止めた。
だが、一瞬感じた(考えた)あの「光」が私の胸をざわめかせる。
何だったんだ。あれは一体なんだったんだ。
答えなどとうに出ているくせに、目を瞑っている私はざわめきと共に暗闇を彷徨い続けた。
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あれからいくらでも経った。
私はざわめきなど忘れ、仕事を棄てた頭と別れ、この暗闇を漂っていた。
あれから「光」などとは顔を合わせていない。
当然だろう。そんなものはきっと無かったのだから。
どうでもいいことを考えるモノは無く、瞑りきったモノも失くし、私はすっかり暗闇になっていた。
ふと、残った胸に何かがよぎった。
光だった。あの、光だった。
でも、それだけだった。
なんだ。今までそんなことに悩んでいたのか。
私は無い体を馬鹿にする。
無くしてしまえば、瞑ってしまえば、あれに惹かれることはないじゃないか。
そして私は残った胸に別れを告げた。
暗闇にいる理由を胸が思い出したからだ。
全てを無くした私は暗闇に溶け込んでいく。
ああ、そうか。
こうしていれば私が私じゃないか。