<反応>
後で気付いたことですが、同じ告発文は他に二カ所、講堂の入口と職員室脇の壁にも貼ってありました。それらは授業が始まる前に速やかに回収されましたが、その時には既に全ての教員、生徒が貼り紙の内容を知っていました。
その後の反応は様々でしたが、建設的な分析の意欲を見せたのは教師ではなく生徒の方でした。私の見た限りに於ては、職員室内では黙殺するかヒステリックに騒ぐかおろおろするか、三種の反応しか生じませんでした。
ところが妹の口から伝わってきた生徒たちの反応には、傾聴に値する冷静な推理が含まれていたのです。小百合は些か戯画的な大人口調で、三つの可能性が考えられる、と言いました。
一つは、告発文の内容が事実である可能性。一つは、シャロットの乙女であることを理由に交際を断わられた男子生徒の私怨による嫌がらせの可能性。急にグループから離れて孤立するようになった友人への、同性からの嫌がらせも含む。最後に、自分たちの本当の姿を衆目から匿すための、シャロットの乙女自身によるミスリーディングの可能性。
私はなるほどと納得し、どれが事実に近いと思うか、と小百合の意見を聞きました。すると妹は、二番目の可能性が強いと思う、但し犯人は男子ではない、何故なら薬で人工楽園をつくって快楽に耽る、なんて発想があの坊やたちの頭に浮かぶとは到底考えられないから、と断言して目だけで笑いました。
私はそうねぇ、と神妙な相槌を返したものの、妹の自信に満ちた指摘をちょっと滑稽にも思いました。あなただって、キャラクターグッズとアニメが大好きなお子さまじゃないの、と。




