<告発>
ところが柊薔子との面談から一週間も経たないうちに、再び『シャロットの乙女』と向き合わざるを得ない状況が出来してしまいました。下駄箱脇の掲示板に大きな貼り紙が、バザーと吹奏楽コンクールのお知らせを覆うように貼られていて、登校したばかりの生徒たちを集めていたのです。
それはある種の告発文で、当然ながら無記名でした。太字ゴチックで<謎の秘密結社『シャロットの乙女』を追放せよ>との煽情的な見出しが掲げられ、続いて、結社の“恐るべき実体”が挙げられていました。
告発文曰く、彼女たちは集団で怪しげな薬物を用いて、といってもそれは繁華街の裏通りなどで容易く入手できるものであるが、人工的な楽園を拵えて、時には裸になり時には猥らな言葉を叫びながらあらゆる種類の快楽に耽っている。
その楽園の管理者及び指南役を務めているのは、嘗てはシャロットの乙女であり今は退会している高等部の生徒である。彼女らは中等部の、主に一年生の中から自分の好みの少女を選び、言葉巧みに勧誘して引き込み、堕落させるのだ───
そして驚くべきことに、この告発者は自分の正体を明かしました。実は私も『シャロットの乙女』である。にも拘わらずこのような告発をするに到ったのは、自分の意志と力ではもうどうすることもできないことを悟ったからである。
私は何度も脱会を試みたけれど、脳の快楽中枢に刻み込まれた“あの時”の悦びと恍惚がどうしても忘れられず、また引き摺られるようにして戻ってしまう。
だからどうかこのいかがわしくも甘美な組織を外圧で、権力で潰して欲しい。早急に手を打たないと、この蒼星学院はいずれシャロットの乙女に喰い荒らされ、学院の伝統を支えていた数々の美徳は醜く壊死してしまうに違いない───




