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妹が引きこもりなもので…  作者: 名無し
第1章、キャラ設定のお話
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9ページ

小学校3年に上がったくらいだったか?


隣の部屋に誰かが引っ越してきた。


当時住んでいたマンションは今とは違い少しショボくれた造りの2LDKだった。


親父は小さな会社の経営者で、一応は社長なんだろうが、特に変わったところのない一般家庭だ。


だから、隣に引っ越してきた家族も何の変鉄もない一般的な家族だった。


家族構成は父親に母親、今年から小学生になる娘がいる至ってシンプルな、今のご時世に少なくない一人っ子家庭な分かりやすい家族だ。


両親とも歳が近く、俺もそこの娘と同じ小学校だったので家族間の付き合いはかなり多かった。


これが、俺とうるうの馴れ初めだ。


引っ込み思案で挙動不審、いつもぬいぐるみを抱いて、顔を隠すように下を向く。


口下手でトロくて何をやってもどんくさい。そんなうるうを俺はほっては置けず、何かと世話を妬いてやったものだ。


これじゃ今と変わらないと思うかもしれないが、今と圧倒的に違うのは努力は惜しまなかった所。


何事にも挑戦し、出来るまでやる。時間は掛かるが、ミスはするが、絶対に諦めない。


そんなうるうはいつしか何でもできる子になっていた。相変わらず引っ込み思案で口下手なのは変わらなかったが、笑顔が増えた。よく笑うようになった―――、なのに・・・。


うるうの両親が事故で亡くなった。


うるうは昔の―――


いや、それよりも暗く、何も言わない、笑わない、だからといって泣くこともない。


何にもない脱け殻のように、深く心を閉ざしてしまった。


他に身寄りのなかったうるうを家で引き取り、家族として生活する日々が始まったものの、うるうが話す言葉は挨拶程度。それも他人行儀に、遠慮深く綴られた言葉のみ。


そして次は俺の番だった。


会社が軌道にのり始め、仕事が忙しくなった所で、親父が死んだ。


飛行機事故に巻き込まれたたのだ。


悲しいか悲しく無いかで聞かれれば、悲しかったに違いはない。けど、俺は表向きは明るいままで過ごした。


母さんは親父の代わりに会社を経営する事になり、俺がうるうを守ってやらなくちゃならないから、泣いてる暇なんてなかった。


中学に入学し、できた友人達と馬鹿をやり、それをうるうに面白おかしく話す日々が続いた。


少しずつ笑顔を取り戻していったうるうはようやく元気な姿を見せてくれるようになり、俺が中学を卒業する頃には学年トップの成績を修めるくらい頑張っていた。


これなら心配ないと、俺がこれ以上うるうに何かしてやる必要はない、かえってうるうの邪魔になってしまうのではないか?と、俺は実家から離れた高校に通う事にした。






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