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「はい、如月くんとしたいです。だって・・・」
「だって・・・!?」
俺は生唾を飲みながら次に続く言葉を待った。その間わずか数秒。しかし、俺にはもっと長く感じられた。
心臓の鼓動が早まるにつれ、思考と時間がズレを生じさせ、激しい運動をしたかの様に酸欠した身体は酸素を求めて口をパクパクさせる。
そして、艶を帯びた委員長の唇が微かに動き、俺の思考と時間が再び重なった。
「だって、ネトゲはリア友とやった方が楽しいじゃないですか♪」
ですよねー・・・・。
予想はしていたさ、世の中そんなに甘くないって事くらい。神は人に絶望を与える前に一旦持ち上げる事くらい・・・。だがな、それを解ったふりして、分かった様に、別ってしまえば人は生きる意味を無くしてしまうんじゃないか?
なら俺は信じ続けたいと思う。人の可能性ってヤツを!!
硬く拳を握り締め、俺は密かにそう誓う。
「一人で何をしてるんですか?」
「委員長、俺解ったよ。世界は可能性に満ち溢れてるんだって!!」
「ほえ?」
「だから戦う。理不尽にも絶望にも屈せずに、俺は戦うよ!!」
「えっと・・・、が、頑張ってください」
流れに飲まれ何となく応援する委員長に敬礼し、帰る方向が別なのでそれを皮切りに、俺はうるうのバームクーヘンを買うためにコンビニへ向かった。