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無能な三十路ニートだけど異世界来た  作者: ガイアが俺輝けと囁いてる
~レズセはおやつに入らない~
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猫の目騎士とクソレズのインタラプト

前回のあらすじ


火がないから生の食材を混ぜて食べさせた

文字数が1万を超えたから切り離した部分を載せた


ロマサガでタリアさんが出たからガイアは久しぶりにサガスカをやっていた。


そんな感じだった。



光点を追ってたどり着いた壁際は、少し広めの空き地だった。


一人しかいないと思ってたら、予想外な事に人影が集まっている。見つかってもここへの道中と同じく『わたくし警備隊長フリード様の女ですのよ。あなた如きが手を出してよろしいのですか?オーホッホ!』と言えば問題なさそうだけど、とりあえず猫たちと近くの家の生垣の裏に隠れる。距離にして30mぐらいだ。顔がわかるぐらいの距離。もう少し近ければ話し声もわかるのだけど。

と思ったところでさっき聞いた猫たちの能力を思い出した。


くるりと振り返り、一番後ろでちょこんと座っている黒に聞いてみる。


「ねえ透明になるのって、私も一緒になれるの?」

「それは無理だオルミア。透明になるのは俺が持てる範囲の物だけだ。」

「100m以内なら見える能力も自分が見えるだけだよね?」

「いかにも。隠してある扉も伏兵も手紙の文字でさえ読めるぞ」

黒はどうだとばかりに自慢してみせる。


ふーん。盗み食いやくじ引きやかくれんぼの時に役立ちそう。頭のいい人なら応用が利きそうだけど、私にはそれぐらいしか思いつかない。


「俺の濃霧も凄いんだぞ。俺には濃霧の中に何があるかわかるんだ。」

黒の能力に感心する私を見て、白が聞きもしないのにアピールしてくる。

白の能力は黒と違って、私でも使い方がいっぱい考えつく。何より私を隠せるのがいい。

しかし、どちらの能力も盗み聞きには役立たないので、近づくのは諦め、このまま生垣から様子をうかがうことにした。


広場にはゾンビたちが整列して膝立ちになっていた。その周りに槍や剣を持った骸骨やゾンビが数体立っており、まるで小学校の朝礼で生徒を管理する職員みたいだ。

さらに広場の奥に腹が空洞になってる禿げたおっさんのゾンビがいて、跪いている他のゾンビを円盤状の道具で殴っていた。その円盤は熱でも帯びているのか、ゾンビの手足に当たるたびに派手な蒸気を上げており、殴られたゾンビは地面に転がって、のたうち回っている。蒸気が晴れると、殴られた所の肉が無くなっていて、骨だけになっているのが恐ろしい。


ボードの光点からすると、あのハゲゾンビがデバイスの持ち主ぽい。デバイスはあの円盤だろうか。

ん、よく見たら今までは長距離で重なってたが、近くに来ると点が2つ確認できる。ハゲが2つ持ってるかと見直してみると、ハゲの後ろに長い黒髪の女が居て、偉そうに虐められてるゾンビに何か話している。

ふーん。これはあの女がここのボスだなと当たりをつけた。


どうしようかな。見た感じ、女はハゲみたいな欠損も無いし生身の人間みたいだ。少しでも強そうなら諦めて違う所に行こうと思ってたが、女はちっちゃいし、顔もいかにも売れ残りましたと言わんばかりの芋くさい娘。風俗ならおっさんから指名されてそうな地味清楚系って感じ。しわだらけのシャツにだらしないデニムだし。殴られてるのはここからでもわかるような女の体と可愛い格好をしたゾンビばかりで、顔も化粧してたり綺麗目なのが多い。自分より美人のゾンビを苦しめてるといった感じだ。


「許せないな。あのハゲと女、無抵抗の女のゾンビを虐めてる」

一緒に生垣からひょこっと首を出してみていた白にもそう見えるらしい。白は目の前で行われている非道に憤りを感じているようで、声に怒気が混ざっていた。


「モテない女の腹いせかね。やだね。ヒス女はだからモテないのよ。」

私も白に同調し、ハゲと女に対する嫌悪感をあらわにする。


そうやって怒っていてふと、思ったが、もし私の勘が当たってるなら、あんなに虐められてればあの女が襲われても座ってるゾンビ達は助けないんじゃないだろうか。


上手く行けば、ハゲゾンビと黒髪ロングだけを相手にすればいい。

これは前回のババアより、遥かに分がある戦いに思える。


何よりあの女なら私でも楽に勝てそう。

そう!私でも勝てそう!

そう思ったら、私のヤル気は急上昇。

あの女とハゲには私とサカキさんの愛の礎の為に痛い目にあって貰おう。

そう思い、私は喜々として作戦を立て始めた。



―――――


「なるほど、あの女を狙うんだな」

猫たちは私の提案を聞くと、了解したとばかりに頷いた。

「うん。黒と白には少し危険な事かもしれないけど。ごめんね。手伝ってくれる?」


私が二匹の背中を撫でながら頼むと、二匹とも何が危険かとばかりに頷いてみせる。


「危険なことなどあるものかオルミア。俺たちはもっと危ない敵と戦ってたんだぜ」

「久しぶりに肉食獣の血が騒いできたぜ。」

二匹はそれぞれ伸びをして、ぐっと手を拳のように握りやる気を示して見せた。


「じゃあまず俺からだな。」

白がそういうと、ぴかっとあたりに水色の光が投射され、白の頭上に水色の金属片が出現する。形からすると、猫用のアーマーかな。と詳しく見ようと思ったのもつかの間、水色のアーマーはシュウシュウと空中に溶けていき、それに伴ってあたり一面が霧に覆われた。すぐ前にいる白は見えるものの、2mほど離れている黒の姿は灰色にぼやけてるほどの視界の悪さだ。ゾンビたちも急に出現した霧に視界を奪われて混乱してるのか、ぎゃあぎゃあと騒ぎ始めていた。


「それでは俺は見張りをヤってくる。」

黒がそういうと、ぼやけた姿が一瞬大きくなり、そのまま濃霧に消えていった。


「じゃあ、行こうかオルミア。離れるなよ。」

先導をする白について歩いていく。

時折カラカラと棒が転がるような音が響いてくる。たぶん黒が見張りを襲ったときに武器が転がったりしてるんだろう。混乱して騒ぎまくってるおかげで、悲鳴も紛れていい感じだ。


「ちょっと待て。ここから5m先にいる。今なら後ろを取れる。」

白の指示にドキドキする胸を押さえ、拳銃の弾を確認し、再びスカートの帯にはさむ。拳銃は最後の手段だ。銃撃音が響いては他の場所の奴らにも襲撃がバレてしまう。さっきの家から包丁の一つでも持ってこればよかったが、今更だ。


「すまないオルミア。霧を出している間はアーマーを纏えないから俺は人間と正面からの殴り合いは出来ない。」

白がすまなそうに言う。


「十分だよ。怪我しないように離れててね。」

私は子供に諭すように返す。


いくら喋っていても、猫と人間の体格差は覆らない、そもそもデバイスを奪うのは私の目的なのだ。猫にやらせることじゃないのだ。


手助けしてもらった分だけ、十分だよと思いながら私は真っ白な霧の先に進んでいった。


―――――


スニーカー。忍び寄るもの。

その名前の意味をこれほど実感したことはない。


スニーカーを履いて進む私の足音は自分にも聞こえないほど小さく、また周囲の混乱も相まって、霧の中から女の後ろ姿が浮かんでくるほど近くに来てもこちらに気づいている様子はなかった。


霧を出した時ハゲゾンビはゾンビ女たちを虐めている最中で離れていたから、完全に女は孤立して周囲に人影もない。女は不安なのか、「ロボ!おい何が起きてるんだ!」と可愛らしい声にドスを利かせて霧に向かって叫んでいた。


そのまま後ろに忍び寄り、両手を左右から近づけ、一気に捕まえる。右手は声を出さないように口をつかみ、左手は腰に巻き付け、思いっきり引き寄せる。

私より15㎝程低い女の体は予想以上に貧相で拍子抜けするほど簡単に動かすことが出来た。


やった!やれた!このまま頑張れ私!と鼻息荒く興奮しながら、もごもごと声にならない叫び声をあげる女をそのまま引きずって、広場を抜け、路地に入る。一軒めは避け更に奥の二軒めの家の陰にむかい、そのまま地面に放り出し、すかさず馬乗りになった。


女は馬乗りになったのが女性だった事わかると、少し安心したみたいだったが、私がデバイスを探して体をまさぐり始めると、『なによ。気持ち悪い!いやらしく触らないで!』と下からこちらに掴みかかってきた。

暴れまわり、引っ掻く手を掴んで馬乗りになる足の下に挟み動きを止める。女は必死でバタバタしてるけど、私だって、最近成長してるんだ。

最近は受けばかりじゃなくて、こっちからも攻めようってかんばってる。へたくそで一分ももたずに逆転されちゃうけど、それでも動き回る人を押さえつけるのには少しは経験あるんだ。


謎の自信を糧に女の体をまさぐり続けるが、女が持つデバイスは見つからない。あ、なんかズボンのポケットに小さなバタフライナイフ入ってた。あっぶね。とりあえず後ろに投げ捨てておく。

そのまま探し続けるが、ババアが持ってたようなリングはない。

腕輪も私の付けているような綺麗な装飾付きで一回り大きいタイプじゃなく、普通の人も付けてるブレスだ。頼まれた時もどういう形か博士は教えてくれなかった。『みたら模様でわかるのです。』と自信満々で博士は私を送り出したのだ。あいまいでふざけた指示しかくれなかったのだ。


これは困った。と思いながら、柔らかいが貧相な女の体を撫でるようにまさぐっていると、胸の谷間で明らかにブラジャーとは違うゴツゴツした感触がある。ん、これはと思い、襟の隙間からシャツの中に手を突っ込む。

「ギャー!何してんの、この変態レズ!助けて!ロボ!」

騒ぐ女が暴れるので、奥まで手を突っ込めない。仕方なしに両手を使い、女のシャツのボタンをはずし、開けてやると、ブラの谷間の所に金属のブローチが引っ掻けてあった。


見た瞬間、あ、これデバイスだってわかった。腕輪と同じ模様だもの。

あいまいでふざけた指示と文句を言ってごめんなさい博士。

私はやったとばかりにブローチをブラからもぎ取った。

勢いでぷるんとまあ平均よりやや下サイズの大きさの胸がブラから飛び出たが、サカキさんの形のいい白くてすべすべの胸と比べる価値もない。最近は私も一緒に教えてもらってるが、朝夕の湯あみの時の丁寧な手入れが魅力の維持には不可欠で、それを怠る女は2流どころか3流4流なのだ。内面の努力が外面に出るのだ。


そばかすだらけで明らかに毎朝の手入れもしてない胸に用はありませんよとそのまますっくと立ちあがり、ブローチを手に歩き出す。女はブラを整えるのに一生懸命なようだ、シャツも直すだろうしすぐに追ってこないだろう。広場に行って、黒白を呼んで帰ろう。


そう思って、路地から出た時、タタタタッと走り寄る音が聞こえ、後ろを見る。

女がシャツの前をはだけたままナイフを持って突撃してきてるところだった。


刃物はダメ!とケープコートに手を引っ込め、身をよじって突きを交わす。

流石に初撃の突きは躱せたが、返すナイフの斬撃がコートを撫で、線を引いたようにコートの毛皮が逆立つ。コート越しに剣でたたかれた時のようなダメージはないけど、もし顔や首を狙われたりしたら、一発アウト。


「返せこの変態レズ!」

「誰が変態レズだ!お前の体なんて触る価値もなかったわ!」

「嘘つけ!お前、触り方が体目当てのスケベおやじと同じだった!しつこいし、触る必要のないとこまで何回も触ってた!」

「言いがかりも甚だしい!身だしなみも整えられない4流女のくせに!」

「4流だって?冗談でしょ?私、店の売り上げトップだったのよ!お前みたいな変態女は切り刻んで火だるまにしてやるから!」

女が叫ぶとともに、女の後ろにサッカーボールサイズの火球が浮かんだ。


なんで地味系ブスに限ってヒス持ち自信過剰なんだ。

こんな地味子に夢中になるのは学生時代にモテなかった禿げた中年おやじぐらいだ。

そう、こんな感じのいかにも冴えないやつが青春を取り戻そうと地味子に…


「オルミア!危ない!」

白の声で目の前のハゲが円盤を振りかぶっているのに気付いた。

やばっ

袈裟懸けに振られた円盤を左の二の腕で受け止める。

どすっとゾンビの剣を受け止めた時よりはるかに強い衝撃が響いてくる。

まるでコートなんて意味がないような威力で、思わず持っていたブローチを取り落としてしまった。


「ナイスロボ!このまま一気にぶっ殺すよ!」

ひるんだ私に女がナイフを振りかざして向かってくる。火球もすでに放たれ、女の後ろから迫ってきていた。


女の全体重をかけた刺突にコートは耐えてくれるの?いや、ナイフに耐えたとしても、毛皮だし火だるまになるんじゃ?

死の危険を感じ、脳が覚醒物質を大量放出しているのか、ゆっくりと流れる時間の中で私は考える。避けようとするけど、ハゲに殴られた衝撃で態勢が崩れてて、動かない。ゆっくりと女と火の玉が迫ってくるのを見てるしかできない。そのナイフを持つ手が私に振り下ろされる瞬間、霧の中から白が飛び出てきた。


「シューティング・カトゥース!」

「タイガー・コメットォ!」

白の全速力の体当たりが女にあたり、ナイフの軌道をずらし、白は女とともに私の横を滑って霧の中に消えていく。

飛んできていた火球は霧の中から振り下ろされた異常に大きな黒い猫の手に打ち砕かれ霧散していった。


白と黒なの?

考える暇もなく、ハゲが円盤を振り上げて迫ってくる。左腕の痛みに耐えながら、後ろに下がって逃げる。

なにか、武器はないかと地面を見ながら追われていると、ゾンビのバラバラ死体と折れた槍があったので、拾い上げて、ハゲと相対する。ハゲは私が武器を持ったのを確認し、警戒してやや距離を取り、下がっていく。霧の中からぼんやりした影が見える位置で私の様子をうかがっているようだ。



「オルミア!この女、強いぞ!」

「手助けに行けそうもない!」

二匹の声がする方では霧がぼわっと明るくなったり閃光がピカピカしてたりして、激しい戦闘が行われているようだった。どうやら女は魔法使いだったようで、接近戦から解き放たれて本領発揮し、二匹を追い詰めているようだ。


「すぐ行くから、持ちこたえてて!」

もう、こうなったら、殺るしかない。

使う気はなかったけど、時間かけたら猫たちが焼き殺されちゃう。

私はスカートの帯から拳銃を引き抜くと、霧の中で佇む影に狙いを定め、引き金を一回引く。

かちりと音を立てて撃鉄が落ちる。一発目はもみ合っている中で暴発するのが怖くて空砲。

次は出る。


相手はゾンビでも、会話ができる人型を撃つのはちょっと躊躇いがあった。

でも、私が撃たないと白たちが危ない。だから時間もかけられない。


ゆっくり近づいて、薄い灰色だった影がハッキリしてくる。2m以内なら私でも外さない。

「おやすみゾンビおじさん。」


私の放った弾丸が、禿頭に吸い込まれパグっという音とともに彼の後ろに脳漿を巻き散らす。

明らかに自然界に存在しない音が、町に響く。


ハゲが倒れて、円盤が転がる。

そういえば、これもデバイスだったと拾い上げて、私は稲光と赤い光が断続的に放たれる方向に踏み出していった。



戦ってる途中で1万文字を越えたので(後略



サガスカのインタラプト技いいよね。

レオナルドが囲まれて集中攻撃されてるときにリサが『私が最初でしょ』と割り込んで助けて形勢逆転するのみると一戦一戦にドラマを感じる。


ガイアのこんな小説読んでる奇特な方はサガスカを買ってやってください

完成度に比べて売れてないんです。お願いします。steamならお安いです。

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