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け・ん・か☆!

前回のあらすじ

あれが浅野にバレた


そんな感じだったと思う


 「大宮さ。ガキじゃないんだから。さ。報告しようぜ。やった事に対してよ。常識だろ?今まで怒らなかった俺も悪かったさ。社会経験ないから大目に見てくれって下請けに俺が言ったりしたこともあるけどよ。でもよ。流石にないぞ。これ。ホウレンソウって聞いたことあるだろ?報告・連絡・相談。すればさ。対処できるんだよ。周りがさ。それをしねえからよ。状況が分からずに、揉めまくって、みんなやらなくていい事して、迷惑かけてるんだよ。お前さ。一人で生きてるんじゃねえんだぞ。周りの迷惑考えろよ。それが大人ってもんだぞ。ガキじゃねえんだから。いまいくつだよ。俺と同じ年だろ?」


 浅野は初めて見るぐらいにブチ切れてた。


 「な。お前さ。これ誰かわかってる?」

 「・・・浅野の、取引先の。姫です・・・」

 「今さ、なんで戦争起きてるか、わかってる?」

 「すみません。わからないっす」

 「ですな。です!言葉遣いから直せよ」

 「分からないです。」


 「みんなさ。この姫が原因で戦ってるんだよ。南のヤクザも。冒険者も。ゾンビ連中も、騎士団も。この姫の命を取るために攻めて、殺し合ってるんだよ。守るために命張って止めてるんだよ。そうでなければ攻めないのは分かるだろ?」

 「すみません。わかりませんでした。」


 「分からないか?そうか。わからないか。大宮にはわからないか。まあ、向こうにいるときは引き籠って親の金で暮らしてる生活だったし、こっち来てからも、女に食わせてもらって、ぼったくりバーに引っかかったとか言ってたしな。未来に向き合おうともしてない、その日任せの生活してれば、わからないだろうな。」


 「・・・・・・」

 「ダンマリか。いいわ。もう。」


 浅野はよほど腹が立っているのか、説教をやめて姫の死体にも俺にも背を向けて城を睨んでいた。


 「・・・あの、浅野。」

 「・・・・・いつ死んだんだ?」

 「え?」

 「いつ、姫は死んだんだ?」

 「城に、敵がくる、9日ぐらい。前・・・」

 「・・・ふざけるなよ!どれだけ隠してたんだ!」


 「ごめんって!怖かったんだよ。浅野。俺、人殺したの初めてだったし、バレたら間違いなく殺されるじゃん!浅野に言っても助かる保証ないし。正直、俺、全部ほっぽり出して逃げようと思ったぐらいなんだよ!お前に後任せて逃げようと思ったんだよ。一瞬!でもおれ逃げなかったんだよ!頑張って隠して、誤魔化してたんだよ!そこは評価しろよ!」


 「・・・え?今なんて言った?お前が姫殺したの?」

 「あ、いや、殺そうと思ったわけじゃない!」

 「事故死や内紛でもなく、お前が殺したの?」

 「違う、ほとんど事故だよ!俺はただ姫のパンツを履こうとしただけだ。そうしたら成り行きで姫が死んだんだ!」

 「は?女のパンツ履いて、相手が死ぬわけないだろう!お前いい加減にしろよ!きちんと報告しろ!」

 「ちょっと待ってくれよ。怒鳴らんでくれよ」

 「きちんと報告をしろと言ってるんだ!」

 「・・・・」

 「怒らないから、詳細を報告しろ!」

 「うううう・・・俺は、姫の入浴中に洗面所でパンツを発見して我慢できずにそれを頭に被りました!そして、それを直に穿いてみようと下半身裸になったところで姫に見つかりました!姫は怒って俺に飛び蹴りをしたけど、シャワー後で濡れてたうえ、床に落ちてた溶けたチョコを踏んで転倒し、頭を打って気絶しました!その隙に部屋の外に出たけど、すぐ気が付いた姫が真っ裸で追っかけて来て、捕まって押し倒されました!首絞めて来て、俺が死にかけました!とっさに机の上の灰皿でなぐり続けてたら、いつの間にか死んでました!報告が遅くなり、申し訳ございませんでした!以後気を付けます!」


 俺は怒り狂う浅野の気迫に押され、顔を真っ赤にして俺の恥部を叫んだ。半分やけだった。報告しろとか、大人になれという浅野への当てつけで、社会人ぽくいってやった。


 浅野は俺の報告を聞いて、力のない顔でこちらを見ていた。パンツを穿こうとして下半身裸になったのくだりから、怒りとは違う嫌悪するような目になっていた。多分、気持ち悪がってるんだろうと思った。


 「・・・今いる姫は?」

 「シスさんです!」

 「一緒に掃除婦として送った女か」

 「そうです!報告が遅くなり、申し訳ございませんでした!以後気を付けます!」


 「そうか。」

 「以上!何かお聞きしたい事はございますでしょうか!」

 怒られまくって逆ギレした俺は頭に血が上った状態でそう叫んだ。


 「いや、もう結構。報告ありがとう。しばらく考えさせてくれ。」

 浅野は姫の死体を背にして、空を見上げたまま、力なくその場に座り込んだ。


 俺は浅野に逆ギレしていたので、俺を無視して無表情で空を見続けるエリートに嫌がらせしたくなり、城でやった事をどんな些細な事でも、思い出しては、大声で『報告します!』などのワードをくっつけては叫び続けてやった。



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