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出来る社会人は嫌いな相手と仕事する方がパフォーマンスいい事ある不思議

前回のあらすじ


感想もらったからまた頑張った。

飄々としてるザナドゥさんにも何かがあった


「アタシさァ、大人しく待ってなよゥって言ったわねェ」


台風一過ならぬ、雷風を伴う竜巻が過ぎ去った青空の下、静かな空の下に女性にしては少しだけ低い声が響いた。


 「・・・」

 「大宮、お前、大人しく待てなかったのか?」


 黙り込む俺を察してか、落ち着きと自信に満ちた高らかに通る声が答えるように響く。


 「・・・」

 「四肢を千切られようが、首を落とされようが構わないって言ったわネェ>

 「・・・」

 「四肢ってのは手足の事だぞ?わかってた、よな?」


 がれきの山に乗り服を風にたなびかせて立つ二つの人影の下で俺は神妙に正座していた。


 「再生できるゥって今みたいに正座させて言い聞かせたンだよ?」

 「・・・これは掴んでいなきゃだめだって思ったんすよ・・・」

 「いやさ、大宮さ、四肢でも再生するって言ってるのに、それ要らんだろよ・・・」


 俺は握りしめた手を二人の前におずおずと開く。

 血が流れ落ち、すっかり縮んで黒く変色した肉片が、俺の手の平に現れた。


 「そンな使い道もないモンを握りしめて、体がどっか行っちまったら意味ないネェ。しかもそんなにスライスされてさァ・・・」


 俺の手の平に乗っていたのは、ズタズタに切り裂かれた貧相な男性器だった。そう、白菜爺に大剣の先でご丁寧にドスドスと突き刺されて、『スクランブルエッグ&スライスウインナー』になったあれだ。



―――――――――


 何から話したらいいだろうか?

 えっと、なぜそんなことになったのか分からないが、白菜爺は俺に何のうらみがあったのか、殺そうと追いかけていたソルドたちを追いかけるのもやめてまで、丁寧に丁寧に俺のチンコを3分クッキング。『スライスソーセージとスクランブルエッグのケチャップソース添え』にして去っていったのだ。

 あの後、もうろく爺の唐突で意味不明な事態に怒りを感じつつ、俺はチンコを拾い集め、元の形に戻そうとしていた。友達が殺されそうな時に何やってるんだと思う奴もいるだろうが、ちょっと待ってほしい。俺は童貞だった。スライスされたチンコを集めてながら、頭の中はポケットを叩くとビスケットが増える歌が再生されて回っていた。使いもしない内に切り裂かれたチンコにテンパっていたと言ってもいい。

 そうしてたら、そこにいきなり暴風と雷を伴う竜巻が発生し、通りにある物を吹き飛ばしながら無茶苦茶にしていった。


 最悪な事にその竜巻はこっちに来た。


 俺だって馬鹿じゃない。皆に馬鹿にされてるが、自分ではそれなりに馬鹿じゃないと思ってる。だから体を避難させようとしたわ。まずチンコ&金玉をポケットに入れて。ってな。ポケットの中のビスケットを叩く歌が頭の中に流れてたし。


 ポケットなかった。

 そういえば、俺は中間体という魂?の存在で真っ裸な幽霊みたいな感じだった。


 だから、当然スライスチンコは俺の拳が開かれるとパラパラと路上にまかれた。

 『あっ』と慌てて拾い集めてたら、今度は、腰から2つ重ねになり、路上に積み重ねられていた俺の体に飛んできたデカい木の板が突き刺さった。それは木の斧の様に二つ重ねの俺の体を両断し、4分割にしていた。


 『おっさんを叩ききると体がよっつ~』って空耳が聞こえた。


 我に返り、のおおおおお!と叫びながら木の板を抜こうとしたが、幽体である俺は、馴染んだものしか持てないため、木の板は抜けない。だから、慌てて俺は切断された自分の体の方を持ち上げた。クソ重い木の柱も飛ばすほどの暴風が吹いてるの忘れてな。幽体だから風感じなかったし。


 飛んでったわw片腕ぶんぶん振り回して俺の体の右上半身w

 笑っちゃいかんけど、思わず笑った。予測不可能すぎて。


 ちょw待てよwって追いかけたが俺の右上半身は「さよーならー」とでもいうかのように右手を振って空、飛んでったw


 しばらく追いかけたが、見失って元の場所に戻ったら、他の3つの部分も木の板も飛んでってたw


 残ったのは、慌てて拾い集め、握りしめていたスライスチンコだけだった。

 それから暴風雷は三日三晩吹き続け、俺はせめてチンコだけでもとチンコを握り続けた、ようやく助けが来たのは竜巻が止んだ次の日だった。



――――――――

 


 「あの、チンコから体、再生できねえっすかね?」

 俺は目の前の背筋をピンと張った凛々しいエリートとそれよりも大きい体を同じように反らせてモデル立ちしている姐さんに救いを求めるかのように尋ねた。


 「ああ、どうなんです?できますか?」

 浅野は俺を叩いても無駄なだけだと既に切り替えてるようで、俺に同調するかのように姐さんに尋ねた。さすがエリート。ねちっこくしても問題の解決にならないとわかっているのだ。


 「チンコだけじゃ無理ネェ」

 本質的に仕事脳な姐さんも頭を切り替えて冷静に返した。


「チンコから再生すると、ほぼ全培養だろゥ?チンコも時間経って変色してるしねェ。そんな時間が無いよゥ。チンコ以外の部分の体がいる。合ってない体だと多少、魂と同期ズレでエネルギー伝達に滑りが出るンだが、それで欠けている部分を代用するしかないさ。」


 「それ、他人の体に大宮の霊体を入れる事と理解してよろしいですか?」

 「ああそうだよゥ。理解早くて助かるねェ。なるべく欠損の少ないンが欲しいね。」

 「よし、大宮。死体探すぞ」


 二人の会話はまるで打ち合わせしてきたかのように、俺を抜きでポンポンと進み、死体を探すことになった。


・・・・・・・・・・・・


 「死体がないっす・・・」


 俺たちはあたりに死体が落ちていないか探し回ったが、がれきをどけても、近場に死体は見つからなかった。あれだけの戦闘があって、殺し合いが行われていたのに少しおかしい。


 「死体はない、か。すでに回収されたんだな。」

 浅野が腕を組み右腕の指をトントンとリズムを取るかのように動かしながらそう言った。


 「理由までは調べられてないが、暴風雨が吹いている間に、ゾンビ達が城から出て、無事だった南町に集まっている、それらが欠損した自分たちの体を補修するのに落ちている死体を使っているため、めぼしいものは持ってかれたんだな。多分大宮の体も回収されたのだろう。」


 「へえ、そうなんだ。」

 「ああ。どうも城の中でなにかあったらしい」


 「ふーん。浅野は何でも知ってんね。」

 昔から浅野は不思議と顔が広くて、びっくりするような事を教えてくれる。友達も多いし、大学のテストの解答とかも当の教授から手に入れたりしてたのだ。今日だって、姐さんと連れ立って歩いてきてびっくりした。そういえば、いつの間に二人は知り合いになったんだろう?というか、なんで浅野、俺が見えるんだろう?白菜やソルドは俺を見えなかったのに。


 「そういや、なんで浅野と姐さんがいるの?」

 俺は気になって尋ねた。


 「まあ、話すと長いけど、ちょっと姉妹喧嘩して封じられてて、たすけてくれたのがこの子なのさァ」

 姐さんは、頭をポリポリと掻きながら、少し不本意そうにそう言った。いつもの砕けた口調が少しだけ整って聞こえた。


 「ただじゃないけどな。まあビジネスだ」

 浅野は視線を俺と姐さんから外しながらそっけなく姐さんに合わせた。

 

 「ビジネスだね。」

 姐さんがいつもの間延びする口調とは違う、鋭い声で浅野に合わせた。


 「ふん」と姐さんがプイと横を向き、それっきり喋らない二人。

 浅野がなんで俺の姿が見えるのかも聞きそびれる。なんか友好的な雰囲気じゃない。


 「あ、でもさー俺さー。二人が知り合いで来てくれてよかったよー。寂しかったしさー」

 何か地雷を踏んだ気がして、なるべくピエロじみた行動で気を引こうとする。


 ああ喜んでくれてよかったよ。と浅野が笑顔で言い、険悪な雰囲気はそれっきり消えた。

 でも、俺はなんか怖くて、馬鹿なピエロを演じ続けることにした。だってあんな姐さんの声初めて聞いたし。


 「でさ、これからどうするっすかね?死体見つかるまでしばらくこのままっすか?」

 「それも一つの手だな。幽体なら、また大宮が襲われて死ぬこともないし、どこかに偵察に行ってもらう事も出来る。」

 「駄目。オーマのエネルギーが持たない。今はアタシも本体に戻ったからハニャ様とリンクを繋ぎ続けてないから。」


 「え?僕、ひょっとしてヤバかったりするっすか?」

 「やばい。もってあと2日。」

 「二日過ぎると?」

 「魂になって吹っ飛ぶ。」

 「マジっすか・・・」


 「いっそのこと、魂になってもらって蘇生まで何らかの方法で捕まえておくというのは?」

 「駄目。その場合、蘇生してもオーマが盤上から消される。」

 「なるほど」

 「盤上?盤上って何?二人とも何言ってるの?」


 「俺の体にオーマの霊体を入れて、体が見つかるまで二人で使うのは?」

 「駄目。アンタがアシャージャヤとリンクしてるから、アンタのエネルギーに焼かれてオーマの精神が焼き切れる。アンタがやって無きゃできたけど。」

 「……(二人とも何言ってんだ?つうかまた姐さん怒りだした?)」


 姐さんの怒りを感じた俺は慌てて再びピエロ的な冗談を出したが、浅野はきびきびと俺の冗談に真面目に反論し、代案を次々と出す。姐さんが即それを理由をつけては否定。


 俺はニートとエリートの違いを痛感していた。仕事ができる奴らって、頭がそっちに特化してて、仕事のメリハリつけるんだって。出来る奴らが集まるとあらかじめ打ち合わせしたかのように、話や物事が進むんだなって。無駄話でノロノロやらねえんだなって。


 すごく仕事がはかどるが、精神的な遊びやサボれる暇がなくて居心地悪い。

 シスさんも売れっ子娼婦でできる人だけど、こんなすっすっと物事を進めてくタイプじゃなくて、迷いながらもなんとか進めていく感じだった。あ、シスさん出来る子だったけど、エリートじゃなく俺側だったんだなって思った。


 出来るエリートはなんかもう文化が違う。


 すっかり二人のブレインストーミングからはじき出されたニートな俺は所在なく、話にも加われず、なにか死体がないかなーと一人最初に戻って考えてた。


 最初に見た死体はスジオか。あいつどこ行ったんだろーな。まだぼったくりバーかな?あいつの体には入りたくねーな。その前にゾンビでも入れるのかな?入れたら浅野たちが気づいてもう捕まえに行ってるか。


 ボズに襲われて死んだ彼氏の墓を見てたねーちゃんがいたな。死体は何十体かあるけど、あそこ馬車でいったから場所わかんねーや。場所わかっても着くのに時間切れだし。


 ボズの巣から戻ってきたらもうゾンビだらけだったからなー。ゾンビ無理っぽいし。


 そうやって順々に考えてる俺の頭に、あの死体が思い浮かんだのは、エリートたちが俺をドブネズミや魔物の体に放り込む事を真剣に検討している段階の事だった。


この小説はフィクションですが

作者は嫌いだから仕事に全神経使うのかとみてて思ったような気がする

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