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アホー知恵袋

前回のあらすじ


若いうちはスポーツやろうね。




そんな感じだった。






―――~Oさん(30代無職)からの質問~―――


 あなたは・・・っと。


 いきなりの質問で悪いが、貴方はテレビの自然番組をよく見る方だろうか?

 それも、動物の生態の番組。


 なんだかよく分らんと思うが、真面目に答えてほしいんだ。


 内容はそうだな・・・草食動物とかが多いと思うんだが・・・

 ほら、草原のサバンナとかで。


 でかい肉食動物に追われて草食動物が木に登ったはいいけど、その下で肉食動物がワラワラといる感じっつうか・・・


 まあ、海洋生物でもシャチに囲まれたアザラシやクジラもいるし、昔、肉小動物でもチーターの子供とかの事例を見た気がするから草食動物限定ってわけじゃないんだけど・・・


 なんだ、まあ『明らかに強いのに囲まれてポツンって状態だけど、なんか微妙に安全な状態』になった時の事を考えてくれ。



 …そういう時、草食動物はどうしたらいい?



 …蹴散らして逃げる?

 ん~…無理でしょ…


 …おい、あきらめて死ぬとか言わんでくれよ。


 ふう…そうだよな。いいアイデアなんて浮かぶわけないよな。

 えっ、なんでそんなこと聞くかって?


 じゃあ、今からその経緯を簡単に説明するんで、その間にどうしたらいいか考えてくれよ。



――――――――――――



 あの荒れた軍議の後、白菜が正面の敵に当たる事に(半ばゴリ押しで)決まった。


 周りの騎士たちは完全に白けていたが、白菜を今までイジメていた罪悪感もあってか、姫も黒騎隊の面々も『しゃあないな』という感じで白菜の出撃を認めたのだ。


 空気の読めない白菜は、そんな事に気づきもせず、自分が姫に認められたとでも思ったのか異様に機嫌がよくなって、ザナドゥさんと握手していたりした。


 俺はそれを見てチャンスだと思った。

 最近、ギクシャクしていた俺と白菜との関係を改善するチャンスだと。


 だから、俺は白菜に『頼りにしてます!頑張ってください!!』と声をかけた。



 俺に激励された白菜は、先陣を任されてよっぽど機嫌を良くしてたんだろうな。

 珍しい笑顔で俺の相手をし始めたんだ。


 「うむ!任せろ!…そういえば貴様は今回が初陣か?」

 「えっと…そうっすね…(俺、関係ないけどね)」


 「初陣か…わしも初陣は不安であったな…(遠い目)」

 「はあ…(聞いてねえよ)」


 「まあ、儂に任せよ!」

 「ハイ!(頑張って敵を蹴散らしてください!)」



 そして、その10分後。


 俺は見た目より妙に軽いがサイズがあっておらずぶかぶかの鎧に身を包み、

 城門を目指して必死で走っていた。

 白菜部下の約10名の部隊に囲まれて。


 何をしているかって言えば、ぶっちゃけ、俺は戦争に駆り出されていた。


 もちろん俺は戦争に参加する気はなかった。



 結論から言えば、白菜に無理やり部隊に組み込まれた。どうやら激励が参加希望と取られたらしい。

 そばに立っていたザナドゥさんに助けを求める目をしたけど、『いい装備貸してあげるよ(笑顔)』で断れんかった。しかも白菜はなんか予定があるのか少し遅れらしく、俺達だけで黒騎隊への伝令で城門に走っていた。似合わない鎧を着せられて、必死で走ったから息切れ切れだった。


 そんな俺の目に、城門に打ち込まれるレーザーみたいな光が見えた。


 レーザーは城門を切り裂き、城壁を巻き込み、ゆっくりとその輝きを土ぼこりの中に消していった。



――――――――――――――



 必死で走る俺らが城門にたどり着くと、レーザーのような光が撃ち込まれた城門が崩れて、そばにいた防衛隊が崩壊に巻き込まれていた。どうやら、俺たちがたどり着く前にほぼ決着がついたらしい。


 

 白菜部下は苦々しげに傷だらけの黒騎隊を立たせて、「けが人を連れて逃げろ。」と命令して引かせようとしたが、逃げるボロボロの黒騎隊に追い打ちをかけるかのように冒険者たちが突っ込んできた。


 はいつくばって逃げようとしたボロボロの騎士に馬乗りになり、鎧の隙間からナイフを入れる盗賊。


 仲間を連れた騎士を後ろから問答無用できりつけるでかい男。

 怒り狂った白菜部下の仲間が助けようとそこに突っ込んでいく。


 気づくと、城門の中に入ってきた奴らとそこらじゅうで切り合う黒騎隊。こちらは負傷兵が多く、混乱していたため不利なのだが、騎士たちは持ち前の勇猛で乱戦状態まで持ち込んでいた。


 彼らに対し、白菜部下の小隊長は『引け引け!』と命令しているが、全員が必死のため伝達が回らない。


 そうこうしていると、なぜか上半身裸のおっさんと同じように小ぶりなおっぱいを振り乱す両手にナイフの女が俺に向けて走ってきた。


 おっさんがハンマーを振りかぶって俺の頭を吹き飛ばそうとするのがわかったけど、俺は中庭にあるゾンビの演習用人形みたいに立ちすくんで何もできなかった。頭の中では危険なのがわかるのだが、彼らが半裸なのが現実感がなくて、まったく反応できなかった。


 次の瞬間、俺の前に白菜部下が割り込んで、奴らを止めた。


 それでも、俺は突っ込んできた女に蹴り飛ばされて派手に地面に転がった。

 ぶかぶかの兜がぐりんとまわって反対向きになって暗闇になった。周りの情報が遮断されて、あわてた俺はじたばたと兜を外そうと奮闘したが、後頭部が引っ掛かってるのだろうか。なかなか外れない。


 ハァーハァッ!・・・フッァ!

 そのままはずそうとしている間。耳に聞こえるのは俺の呼吸音だけ。

 剣戟の音も、悲鳴も、怒号も聞こえない。


 フハァ!ハヒャッ・・・フー…フー…

 兜の中に反射する呼吸音を聞いていて自分がパニックになっている事に気づいて呼吸を落ち着かせる。


 そのまま1分ぐらい転がって、ようやく兜が外れた。

 視界の開けた俺の周りは完全に地獄絵図だった。


 倒した冒険者の上にまたがって脳がはみ出てる彼の顔面を重層小手で殴り続ける騎士。


 足にロープをかけられて、ズルズルと引き摺られる騎士。彼に蟻のように群がる冒険者がつるはしや槍で突き刺しながら一緒に移動していく。


 白菜部下は10メートルほど向こうで左腕が肘から千切れてて、それでもハンマーを持った半裸の男と相対していた。その足元には腹を真一文字に切り裂かれた女盗賊が膝立ちして叫んでいた。どうやら、彼が俺を助けてくれたらしい。左腕を犠牲にして。


 彼女が膝立ちのまま動かないから気づいたんだが、彼女は今まで地球のエロビデオでも見たこともないような形のいい胸だった。乳首も薄桜色だったのが印象的だった。


 普通なら興奮する状況も、俺の周りはもうどうしようもない乱戦だ。

 だから気持ちが悪くなって、涙が出てきた。

 座り込んだまま涙を拭こうとした。

 俺に似合わない小手は固くて上手く涙を拭けない。

 金属が痛くて、

 それよりも重くて嫌だったのでその場で胡坐を掻いて小手を外して拭いた。

 倒れた時、口の中に土が入っていたようで、口を動かすとジャリジャリと音がして、もう嫌で家に帰りたくなった。

 左手の小手も重くて嫌だったので脱ぐ。


 俺は地獄絵図の中で鎧を脱ぎ捨てていた。

 胴も脱いだ。


 脱いでる最中に「イテェ・・・いてえよぅ」や「糞ども絶対に許さん!」などの声が聞こえてくる。

 中にはわざわざ負傷して動きの鈍くなった騎士を狙って離れた位置から石や弓でじわじわ削る冒険者たちもいる。そんな中で俺だけはなぜか冒険者にも狙われずに鎧を脱いでいる。


 俺は上半身の鎧を脱ぎ捨てて、下半身の具足だけ残る状態になった。その時、背後から騎士に追われた冒険者がぶつかってきて。俺は倒れた。逃げようとしたが、下半身の鎧が邪魔でなかなか起き上がれなかった。そうこうしていると、冒険者は俺を踏みつけながら逃げていく。あわてて起き上がった俺の頭からたらりと汗が垂れてきた。


 顔を流れる汗を自由になった左手で拭うとそれは血だった。最初は汗かと思ったけど、どうやらさっきの衝突で頭の皮膚が切れたらしい。鎧だと動きが制限されるし、危ないとわかったので腰回りも足回りも外す。かかった時間は多分2分ぐらいだった。周囲ではまだ乱戦が行われていた。明らかに倒れているのは騎士達が多くて、白菜の部下たちもどこに行ったのかわかんない。


 白菜から撤退しろって言われてるのに、戦い続ける騎士たちに俺は困っていた。自分だけ逃げようかとも思った。その時、俺の前に仲間を担いだ騎士が倒れ込んできた。彼は俺に「こいつを見てやってくれ頼む!」と言ってまた乱戦に突っ込んでいった。声を聴いて気付いたけど、彼はシスさんの部屋の前にいつもいる護衛騎士の片割れだった。俺は彼に「撤退だよ!撤退!!」と言ったが、聞こえてないのか逃げてくれない。もうレーザーからの乱戦で指揮系統がおかしくなって、みんなが混乱状態なんだ。全員が自分の判断で動いてしまっているんだ。


 そう思った俺が周りを見渡すと櫓があった。櫓は騎士たちが作ったのか、周りの石造りの建物とは違って、木を組んだだけの簡素なもので、10メートルほどの高さの上に半鐘がつりさげられていた。どうやら連絡用の物らしい。


 俺はさっきの知り合いの騎士を呼び戻そうと思い、乱戦の中を小走りに半鐘に向かって走る。そのままヒイヒイ言いながら梯子を上ると、半鐘の隣に下げられえているトンカチで鐘を打ちまくる。


 「撤退だよ!撤退命令だよ!!撤退!撤退!!」


 叫び続けながら半鐘を打ち鳴らす俺。血が再び顔を伝って流れていくけど、拭いてる時間がないのでそのまま叩いていると、周りの騎士たちが気づいて撤退し始めた。


 それでも遠くの騎士は戦い続けており、聞こえてないみたい。

 どうやら、後ろを見ながら鐘を叩いているため、鐘を上手く打てず、音があんまり出てないようだ。


 やり方がまずいとわかったので、鐘を見ながら叩き方を考える。

 どうやら鐘の真ん中に当たってなかった為、籠った音になってるようだ。

 梯子にぶら下がりながら後ろを見て打ってると上手く鳴らないんだな。


 だから鐘をまっすぐに見ながら狙い澄まして鐘を打ってみると、辺りに響く音が出た。その音に合わせるかのように「撤退!撤退!!」と叫び続ける。慣れてくると、タイミングを合わせるのが面白く、夢中で叩きまくった。



 …ふと気づくと、俺の耳には鐘の音と俺の叫び声しか聞こえなくなっていた。


 あれ?と思い後ろを振り返ると、いつの間にか戦闘は終了していた。

 騎士たちはとっくに撤退して、倒れているのしか残ってない。

 そんで、冒険者は戦場に騒音をまき散らす櫓の周りにゾロゾロと集まって、普段着で櫓の半鐘を叩き続ける俺を訝しそうに見ていた。



―――――――――――



 あれから多分15分は経ってると思う。

 奴らは俺がぶら下がる櫓の下であろうことか陣地を築き始めた。


 どうやら、俺が無防備なうえ、俺を捕まえるため上がろうとした戦士が足を踏み外して梯子の下半分を踏み割ってしまったためなんだろう。


 奴らは数人で俺を見張り続けるのみで特に弓で射殺そうともしない。

 時折、遊び半分で石を投げられるぐらいだが、その石も特に当てるつもりがないようで、俺が我慢できずに降りていくのを待ち続けるつもりのようだ。



 さて、状況を説明したところで質問の答えをお聞きしたい。


 俺は一体どうしたらいいんでしょうか?





    ⇒To Be Continued…





俺のステータス


【基本職】ニート 【サブ職業】英雄殺し(変えれん…)




腕力  31(やや弱い)

体力  25(弱い) 

器用さ 16(貧弱) 

敏捷  14(貧弱)  

知力  66(やや高い) 

精神  14(貧弱)   

愛情  36(やや弱い) 

魅力  19(貧弱)  

生命  ――(再度接続を確認して…)

運   ――(計算を放棄します)



スキル

【高等教育】Lv.27

【不快様相】Lv.12

【鈍器術】 Lv.14

【盾術】Lv.13

【】←なんかかっこだけある。


称号スキル

【空気な存在】←あ…役に立った…



持ち物


E金縁のブレスレット

E浅野からもらった服一式…体力+2敏捷+2

E【血染めの黒き世界を統べし灰皿『フィフティヌティア』】

  …攻撃+87聖血+5障壁+2障壁貫通+1帰還



騎士団の服一式…体力+5精神+1

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