無能な三十路ニートだけどヤリチンに見られた
前回のあらすじ
前回浅野を出した当日、評価等の反応悪かった。
そうか、真面目は嫌いで
そんなにニートを苛めてほしいのか。
そう思ってちょっとプロット替えた。
今日見直したら、評価上がってた。
浅野みたいな真面目方向でよかったのかな…と思ったが
所詮ガイアは酒飲んでコレ書いてるので
見なかったことにして原稿を上げた。
迷ったけど。
「これ美味いわ」
シスさんは卓上の料理を一通りつまみ食いした後、レタスのようだが葉がより肉厚な葉野菜で巻かれた肉の皿を自分の手元に寄せた。肉に巻かれた野菜ごと酸味の効いたドレッシングに漬け込まれており、俺もさっき食ったが場にある料理の中でも段違いに美味かった。
「そうっスね。さっぱりした味わいで珍しい感じッスね」
俺はとられたメインディッシュを残念がる様子もなく、シスさんが遠ざけた肉厚のステーキを自分の手元に寄せる。何の肉かはわからんが、妙にやわらかく、ナイフを引くのではなく上からそっと力を込めるだけでズブズブと刃が沈んだ。肉汁がしたたり落ちるステーキは濃厚なソースと共に口に含むと肉がソースに溶けるように崩れて日本でも食ったことのないような味わいでとてもおいしい。ついでにワインとなんだかふわふわしたパンも引き寄せて肉の後味と合わせるように流し込む。
ちょうどその時、寝室の扉をコンコンと叩く音がしたので、シスさんは兜をかぶり俺は怠そうに椅子から立ち上った。扉を開けると、そこにはニヤニヤ笑う2人の護衛騎士が立っており、その鎧姿の手には不釣り合いなアイスクリームの薄皿をこちらに向けて差し出すところだった。
「お疲れ様ッス!」
地球での会社勤めでもだした事ないようないい返事を返しながら皿を受け取り、代わりに
俺たちが手を付けなかった料理を騎士たちに返しておいた。
「おお、すまんな」
騎士たちは心底嬉しそうに皿を受け取った。
「いや、姫も最近は食欲がなくなったようで、ずいぶん余るんで仕事中にでも食ってもらえると助かりますよ。」
ここ3日間ですっかり仲良くなった護衛騎士たちに余裕のできた笑いを返す俺。そんな俺に騎士たちは『まあその代わりに今まで見向きもしなかったソーセージをよく食べるようになったがな、ワハハハハ!』『それも下の口でな、ガハハハ!!』などとわざわざ『姫』に聞こえるようセクハラ的な冗談を言う。それにウンザリとでもいうように『姫』様は片手を軽く上げて『はよ出てけ』とばかりにシッシッと追い払うしぐさを見せると騎士たちは笑いながら軽く頭を下げて、少し冷えてしまったがまだ湯気がおぼろげに立つ料理の皿を持って出て行った。
…派手ではないが、一目で質が高いとわかる調度品に囲まれた寝室。俺たちはそこに書斎のテーブルを持ち込んで、料理をバクバクと食い散らかしていた。なんで寝室で飯食ってるかというと、騎士のいる廊下と隣り合わせであるリビングと殺人現場である書斎を避けた結果。いわゆる消去法。そこに何の意味もない。
でも騎士たち事情を知らない第三者から見ると、姫が珍しくも男を連れ込んで寝室に2人きりで籠ってると思われてるらしい。部屋の外で顔を突き合わせるたびにニヤニヤと笑われる。『正直、どんなプレイすんの?』とか『ずっと寝室に籠ってるけど、どんだけお前強いんだよwww』とか話しかけられる。
もちろん、俺たちは寝室でいちゃついてるわけじゃない。俺たちがもし、リビングで飯食ってて騎士が入ってきたらシスさんの顔をもろに見られるし、書斎は姫が死んだ場所だからなんか避けたかった。それに書斎は一応姫の執務室的な扱いなので、ノックもなしに急ぎの伝令が飛び込んでくることもあるのだ。一度、シスさんが備え付けの風呂場から出てきたときに伝令に遭遇。体に巻いたバスタオルに兜という特殊なスタイルを目撃され、あわてて『こういうプレイです!』と俺がフォローして何とかなった。
でも、そんなこんなをしている内に護衛騎士達は『姫』の意外な一面を見られたためか、俺たちに好意を持ったらしく、3日目には『姫』に恐る恐るながら冗談を言うようになったのだ。『姫』も油断させるためか護衛騎士に甘くしてるのもあるのだろう。部屋の外に簡素なテーブルと椅子を用意して姫の料理を分けたり、寒い廊下でも大丈夫なように毛布を配布するなどしている内に騎士達の中では『意外と話の分かる方だ』、『男ができると女は優しくなるものだな』等の評価が生まれつつある。
「しかし、姫ってどれだけ嫌われてたんすかね」
再び席に着き飯を食いながらも『姫』に話しかける。
「さあね。」
『姫』様は新しくやってきたアイスクリームをスプーンで掬い、ぺろりと飲み込む。
「まあ、シスさんが優しくしてやってるのもあるけど、態度かわりすぎっスよ…」
『姫』が交代して六日。最初はゴミの如く嫌われてたのに六日でここまで周りの態度が変わると逆にちょっと怖い。正直、苛められっこな俺の人間不信に磨きがかかりそうだ。
「あんまり優しくはしてないけどな…」
シスにとっては食事が余るから、寒い中、廊下で護衛してくれている騎士に食事を分けただけだし(それも姫の料理が軽く10人分はあるためだ。もったいない!)、それを食べるためにはテーブルぐらいいるじゃない?と思って用意しただけなのだ。
「あんまり、自分じゃわかんないんスね…」
そう言うと、シスさんは『そうかな…?』と困ったかのように小首を傾げ、アイスクリームを食べる手を止めた。
――――――――
「本隊がなぜか遅れております…」
居並ぶ騎士たちの見守る前で白菜は残念そうに呟いた。
「遅れるのはしょうがないわ。何かしら理由があるのでしょう。」
『姫』は堂々と玉座に座り、騎士たちの注目を浴びつつも『しれっ』と答えた。
実際は白菜に内緒で抱き込んだ護衛騎士の伝令を使い『進軍は非常にゆっくりでよいので1人の脱落もなきよう着実に安全に来るように』との命令を下したので本体の到着が遅れているのである。
「しかし、このヨーゼフ、悔しくて悔しくてたまりません。本体を搖動に使わざるを得なかったとはいえ、礼法も常識も知らない黒騎隊なんぞに城攻め第一功を与えてしまった上に、姫様の警護役まで取られてしまうとは…」
白菜の文句は悔しさのあまり声を震わせながらのモノだったが、周りを取り囲む護衛騎士達への憚りない意見は場の空気を悪くしたのか、所々から首を鳴らす音や舌打ちの音が聞こえてくる。
「いえ、最近ではザナドゥの隊の者も私によくしてくれます。仕事も十二分に行ってくれて感謝しております。現状で問題が起きてない以上、黒騎隊に問題はありませんよ、ヨーゼフ。」
フルフェイスな兜からわずかに見える口元を綻ばせ、『姫』は笑いかける。居並ぶ黒騎隊の面々からは最近自分たちに甘い『姫』に好意を持っていることもあり、また白菜との過去の確執もあっての事だろうが、『ひっこめジジイ!』『そうだそうだ!俺たちの姫が決めた事に文句言うな!』『さすが俺たちの姫様だ!』などの声が漏れ聞こえてくる。
そうやって孤立した白菜爺に『姫』が
「みなさんやめてください。ヨーゼフはもうあなた方ほど若くはありません。体力も落ち、あなた方を悪くいってしまうほどヨーゼフは気疲れしているのでしょう。ヨーゼフ、あなたはしばらく休んで私への報告は他の騎士を伝令にしてもらえれば十分ですよ。」
と無機質な声で告げると、白菜は大好きな『姫』に突き放されて感極まったのか目頭を押さえて踵を返しそのまま広間を退出していった。
白菜が出ていく際、広間の入り口でこそっと立っている俺の横を通り過ぎていった。
あまりにも気の毒だったので
「お疲れ様ッス…」
と言ったのだが、白菜は俺を憎々しげに睨み付け、何も言わずに去って行った。
どうやら孫娘のように思っていた純粋で可愛く愛らしい『姫』を穢して変えてしまった『スケコマシ』とでも思われているらしい。実際、小便ぶっかけて灰皿で殴り殺したから、敵という面ではあながち間違いではないけど。
まあ、このおかげでしばらく白菜は俺たちに近づかないだろう。計画通り。ザナドゥとかいう姫の弟はなんでか最初から姫に近づかない。ここにもいない。何やってるのかしらんが丁度いい。
あとはボロが出ないようにエリーを奪還して、上手くフェイドアウトするだけだ。
そう思い、俺は広間の入り口から奥に座るシスさんに軽く手を挙げて合図すると、シスさんは集会の終了を高らかに宣言し、俺のいる入り口の方へ颯爽と歩いてきたのであった。
⇒To Be Continued…
新しい職業を取得しました
――騎士見習い――
腕力↑精神↑敏捷↓↓
王家に仕える者のうち、騎士団に加わったばかりの者。
鍛錬も一般兵士に満たず、見習うだけなら意外と誰でもできるが昇格の方が難しい。
日本語で言う小姓に近い。
俺のステータス
【基本職】ニート 【サブ職業】英雄殺し(変えれん…)
腕力 31(やや弱い)
体力 25(弱い)
器用さ 16(貧弱)
敏捷 14(貧弱)
知力 66(やや高い)
精神 14(貧弱)
愛情 36(やや弱い)
魅力 19(貧弱)
生命 ――(リンク先が見つかりません接続を確…)
運 ――(計算を放棄します)
スキル
【高等教育】Lv.27
【不快様相】Lv.12
【鈍器術】 Lv.14
【盾術】Lv.13
【】←なんかかっこだけある。
称号スキル
【空気な存在】
持ち物
E金縁のブレスレット(これ着けてるんで姫の愛人扱いされた)
E騎士団の服一式…体力+5精神+1
毎日同じ服だったので、仲良くなった護衛騎士が
気を利かせてくれて、余ったのを譲ってもらった。
E【血染めの黒き世界を統べし灰皿『フィフティヌティア』】
…攻撃+87聖血+5障壁+2障壁貫通+1帰還
浅野からもらった服一式…体力+2敏捷+2