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無能な三十路ニートだけど異世界来た  作者: ガイアが俺輝けと囁いてる
~レティルブルグの戦い (歴史の分水嶺編)~
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嵐の前に…

『今回』のあらすじ


ガイアは思った。

浅野パートが当初より少なくなったなあ。



そんな感じだと思う




 城の中庭では相変わらずゾンビが体のメンテナンスをしていた。向かいに互い合わせになりアルコールを塗り合うなどの防腐処理をする者もいれば、肉など不要とばかりに手持ちの刃物でガリゴリと肉を削る者。何もせず太陽の日を浴びて水気を飛ばそうとする者など方法は様々だ。


 観察していると、どうにもゾンビの中にも性別や生前の職業などによって傾向があるらしく、女性は複数でなるべく生前の姿を維持しようとする傾向があり、男性は一人で作業する上に、思い切りがよく肉を落とす者が多いようだ。それに休憩中は私語を禁止されてはいないようで、所々で談笑している声も聞こえ、特に女性などは『誰それの肌の手入れがすごい』、『油の質により内臓の腐敗防止と匂いの元を残さずキャッチ』などどこかで聞いたような話題を話しているのが二階の廊下にまで聞こえてくる。そのまま歩きながら様子を見ていると、そこに昼食を終えた兵士がやってきてゾンビ達にここ五日ほど代わり映えのしない訓練を行い始めた。


 そんな様子を眺めているうちに自分の頭の中に書き留めていた情報が、さまざまに結びつき全体の状況を形作る。その像は形は明らかであるにもかかわらず、何かしっくりこないうえ、所々が霞がかったようにおぼろげだった。


 どうにも妙だった。


 フィフティヌティアが死者を操ることでシステムを起動しようとはしていない事が。


 それに、まるですべての人間が思考停止したかのように同じ行動を続けている事も。騎士たちは相変わらず、城外を警戒しつつも特に対策を行う事もなく日々の業務と宴会をかわるがわるに続けているし、モトマノの部下たちも成果の上がらない無駄なスパイ活動を延々と続けている。ゾンビの操り手を確保したことで他のプレイヤーが動くかとも思ったのだが、まるで動く様子が見られない。どうにも手を出しかねているかのように、こちらを様子見しているだけなのだ。


 それもこれも、フィフティヌティアが何もしない事が原因だ。


 兵士たちに指示が出ていないので、兵士たちは同じことしかしない。指示が出ないので俺たちがスパイをしても新しい情報が出てこない。軍が動かないので他のプレイヤーもタイミングがわからず様子見をしている。


 すべてフィフティヌティアが何もしない事がすべての動きを止めているのである。


 『ヌティア』姫が何を考えているのか。俺にはどうにも読みかねた。しばらくあいつの立場に自分を置いて考えてみたが何もわからない。この状況で足踏みする理由が俺にはみつからない。


 女性特有の考えなのかもしれないな。


 俺はゾンビ達の男女の違いを思い出しながらそう結論付けた。男勝りの『姫騎士』と言ってっも結局は女性だ。考え方の根本が俺とは違っているのだろう。


 しかし、おかげで『一手』を『二手』にする事ができた。


 俺は階段を下りるとゆっくりと城の裏手に回り、カートを裏口の横に止めて北の堀を渡る跳ね橋を渡る。裏口にはもうすでに業者が騎士の荷物検査を受けて待っていた。


 元から詰んだ盤面だからこそと思い、渾身で放った俺の『一手』は『なんだかよく分らない』内に俺の手を離れてしまった。


 俺の『数多い』友人の中で俺が信用する『数少ない』友人であるあいつ。


 くだらない女に執着しているようだったので、逃走防止の保険の意味も含め女と一緒に『ヌティア』姫に放った。


 上手くいけば姫の立場を極端に悪くするか、少なくとも片腕である老臣と仲違いでもさせるかと思ってたのだが。二日ほど前に急に俺のもとに伝令が来て、女は姫に無礼討ちされたうえ城外に遺棄され、あいつはなぜか姫の部屋住みになったというそっけない連絡を残していった。


 どうも何かの成果を上げたようだが、接触が一切できず、全く見当がつかない。まあ、大宮の事だ予想の斜め上の成果を上げているんだろう。ひょっとしたら『姫と出来た』のかもしれない。もしそうならとても面白いが。


 ――まあ、それはないか。


 あいつの周囲は昔から荒れる。

 本人に悪気はないし、落ち度もない。

 ただ、そういう生き物なのだ。大宮という男は。


 小学校の頃、俺は体育で大宮とペアになった。

 やる事は跳び箱か何かだったかと思った。

 それで俺は『一人で』用具室に入った。

 俺の左手の小指は未だに第一関節が上手く曲がらない。


 中学の頃、俺は大宮を避けていた。

 当時、同じクラスにどうしても敵わない双子の兄弟がいた。

 二人は大宮と席が近く、不良に苛められている大宮とよく一緒にいた。

 ある時から、二人は学校に来なくなり俺は首席で中学を卒業した。

 不良も事故を起こした。双子と違ってこちらは死んでしまった。


 高校の時、気になる女の子がいた。

 その女の子は彼氏がいてそいつは俺の親友だった。

 親友は『いい』奴だったので俺はそいつと一緒に遊ぶとき孤立しがちな大宮をよく誘って遊んでいた。

 俺はまさかなと思いながら期待していた。

 『親友』がいなくなってくれたらいいと思ってたのだが、結果は女の子が先生の子を孕んで退学していくというどちらにとっても笑えないものだった。


 幼馴染の過去を思い出し、業者の荷物をチェックする最中にもかかわらず苦笑してしまう。商品に瑕疵があったかと思ったのか業者が覗き込んできたので、『問題はない』と答えて作業を続ける。



 大宮は現象なのだ。環境に存在する『因子』なのだ。何も知らない奴らは気味が悪いとも思うだろう。見た目も気に食わない、縁起が悪いと怒る者もいるだろう。


 ――だがそんなものは自分の手に負えないものに対する怖れだ



 人は自分の理解できないものを怖れる。

 理解できないから避けるのだ。

 しかし、その避けているモノは

 よく観察してみれば案外と他愛もない

 環境の『因子』にすぎない事に気づく。


 ――環境変数を怖がるバカがいるか


 そう、俺ならうまく使いこなせる。

 そう思って放った『一手』だった。のだが…やはり『なんだかよく分らない』という結果に終わったのだ。やはり、たった五日ではそれ程の効果も出なかったのだろうか?


 ――まあ過ぎたことはもういい



 俺には今できることを最大限にやっておくべきだ。

 そう思い業者のチェックを終えると品物を場内に引き入れ、俺は『上司』に会うため兵士の許可を得て城外に出て行った。





    ⇒To Be Continued…






浅野はバランス崩れるなあ…



浅野のステータス


【基本職】エリート 【サブ職業】apostle




腕力  72(強い) 

体力  80(強靭) 

器用さ 62(やや強い) 

敏捷  76(強い)  

知力  82(強靭) 

精神  75(強い)   

愛情  50(普通) 

魅力  77(強い)  

生命  ――(接続済み)

運   92(超強)


スキル(一部)

【高等教育】Lv.32

【神文字】 Lv.20

【総合格闘】Lv.11

【交渉】Lv.40

【乗馬】Lv.9

【礼法・商】Lv.26


…etc.


称号スキル

【ジェネラリスト】

【繋げる者】



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