表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能な三十路ニートだけど異世界来た  作者: ガイアが俺輝けと囁いてる
~レティルブルグの戦い (歴史の分水嶺編)~
30/89

無能な三十路ニートだけど、元エリートが再び仕事くれた

前回のあらすじ



捕まったのに俺だけ無視された。


以上。











 「…それで、ゾンビマネーでキャバクラがボッタクリで家に連行されて」

 「そうか。」


 「シスさんが顔切られて、姫は俺にハイヒール。」

 「なるほどな。」


 「下着のまま捕まったんだ」

 「ああ、ホントだねえ。」


 浅野は俺の下半身をじろりと見ると、近くの洗濯籠から手ごろなズボンを取り出して俺に渡してくれた。俺は乾燥機にかけたばかりなのか妙に暖かいズボンを凍えた手で穿きながら、浅野に説明をし続ける。


 「それで、城に来たんだが、姫がエリーを地下で。シスさんは男が輪になって」

 「危ないな。」


 「でも俺はみんなが無視、バールに繋がって泣いてたら、縄解けて自由。でも無視。」

 「くっくっwwすごいな、お前www」


 「そのまま座ってたら、白菜が此処に投げたんだ。」

 「OK、全部つながった。」



 …説明しながらも、ずいぶんと自分がおかしな事を言っている気がしたが、

 どうやら、浅野は俺の状況を理解してくれたらしい。

 さすが浅野だ。




  ――この部屋に投げ込まれてから、30分。

 俺はここの世界に来てからの70日ほどの俺の行動を浅野に説明していた。


 あれから、心身ともにボロボロだった俺は声をかけてきた浅野に気付くと、迷子の幼児が母親を発見したみたいに狂ったように泣きじゃくった。そんな俺を浅野は多少『面白そうな』目で見ていたが、放っておいても埒が明かないと見たのか、ストーブの前に引き摺って、暖かい飲み物を飲ませて落ち着かせてくれた。そして、彼が開口一番に俺に聞いたのは、『今までどうしてたのか』という事だった。


 頭の中が混乱と嬉しさが交じり合った状態の俺は、そんなことはどうでもよくて、アホみたいに『会いたかった』『お前が居なくて死にかけた』など繰り返していたのだが、浅野が執拗に俺の行動を聞きたがったので、凍えた頭で説明したのである。…疲れのためか、多少説明があやふやだったような気もするが、浅野はわかったみたいなので良しとする。


 ちなみに、浅野に『お前はどうしてたんだ』と聞いたのだが、『まあ、いろいろだ』と返された。多分、俺以上にいろいろあったんだろう。浅野は行動的だし。





 「けどよ…俺の話なんか聞いても、面白くもないだろ…」


 そう言うと、浅野は苦笑いをした。


 「いや…『いつも通り』、予想以上の結果を出していて改めて見直したよ」


 そう答えた浅野は非常に楽しそうな目で俺を見ていた。


 そして、再度俺が会った人間について聞いてきたのだが、特に女神とエリー、姐さんの事を念入りに聞かれた。

 女神や姐さんについては最近見てないし、ここに連れてこられたシスさんについては何も聞かれないので『妙なことを聞くんだな』と思った。本来なら、連れてこられたエリーとシスさんの事を聞くと思うのだが…浅野の基準は昔からよくわからん。それでも、昔から浅野の言われた通りに動くと、浅野はテストの正確な出題内容や入手困難なゲームやコンサートチケットをどこからともなく手に入れてくるのだ。だから真面目に答えておいた。



 「ほー…」


 俺の話を聞いて、浅野はストーブの前の床に座ったまま、上体を後ろに倒して天井を見始めた。どうやら、何か思うところがあったのか考え事をしているらしい。


 俺も、対抗して天井を見て何か考えるふりをしたが、浅野と違って何も考えることがなかったのですぐ暇になった。当面の問題は、連れてかれたエリーとシスさんが大丈夫なのかどうかなのである。それは考えても解決しないのだ。気になるなら探すしかない。



 そう思った俺は、エリーたちを探しに行こうと、立ち上がって部屋を出ようとした。


 途端に、俺たちの横で話を聞いていた男が、俺の腕を取って外出を止めた。

 曰く、『勝手に出歩かれては困る。お前は奴隷として俺たちに預けられて、俺たちの管理下にあるんだぞ』とのことで、いつの間にか俺はこの城の奴隷になっていたらしい。


 マジかと思ってスキルブレスレットをポチると、サブ職業が本当に『奴隷』になっていた。…身売りした覚えはないのだが…奴隷って、本人の意思表示や契約等のイベントもなく勝手にできるもんなんだろうか。地球ではかつて借金や契約で奴隷になったり、人身売買や人さらいで奴隷を確保していたのだ。俺は攫われるどころか置いてかれかけてたし、身売りもしてないし、奴隷の定義上おかしくねえか?


 そう男に質問すると、男は困ってた。今までそんなこと聞かれた事なかったんだろうな。正直、俺だって定義なんてどうでもいい。


 だから男が困っているうちに、外に出ようとしたら、今度は浅野に止められた。




――――――――――――――――――――――




 「まあ、大宮ちょっと待てよ。」


 浅野はストーブの前に座ったまま、俺を手招きしていた。


 迷いつつもストーブの前に移動する。


 「何かあるのか?俺、シスさんたちを助けたいんだけど。」

 「シス…ああ、一緒に連れてこられた娼婦?だっけ」


 浅野はあまり興味がなさそうに呟いた。

 特に娼婦の部分を強調して。

 これにはさすがの俺も軽くイラッとしたが、浅野に怒るのは全くの筋違いなので黙って頷く。


 「まあ…俺ならそのシスとかいう女の子は、すぐに何とかできると思う。」

 「マジか!!!」


 浅野は妙にやさしそうな目で俺に告げた。

 それに、どうやら俺が少しイラついたのを察知したらしく、シスさんの呼び方が女の子に変わっていた。ここで女性でなく、女の子と直した辺りが浅野の優秀さを示している。元商社勤務だけあって、場の人間関係が達人レベルで読めるのだ。


 「おう、こっちもかなりの対価を出すことにはなるとは思うがな…まあお前の為なら安いものだ」


 浅野はまるで、春先にスーパーでミカンを買ってくるかのように軽く言った。


 そして、『だがエリーとかいう少女は、無理だ』とも。



 まあ、俺はそこらへんは覚悟していた。

 もともとエリー目的で騎士たちは俺たちを捕まえに来たんだから。

 俺もいきなり助け出せるとは思ってないし、向こうだってエリーの周囲を固めているだろう。そう考えると、シスさんがすぐ戻ってくるだけ、浅野のいう事を聞いた方が『得』ではないだろうか。俺には何も他にアイデアないし。



 そう思った俺は、ストーブの前の床に座り込んだ。


 その俺の無言の了解を見て取った浅野は。



 「その代わりと言ってはなんなんだが、大宮に一つ仕事をお願いしたいんだがな…」




 と、昔ながらの爽やかな笑顔を向けたのであった。





   ⇒To Be Continued…









新しい職業を取得しました


――奴隷――


腕力↑↑体力↑精神↓↓魅力↓↓


【説明】人生の底辺。底辺仲間に社畜・ニートがある。

 そういえば、高橋是清も元奴隷だった。

 まあ、奴隷から有名になった人がいる分だけニートより上かも



俺のステータス


【基本職】ニート 【サブ職業】奴隷




腕力  29(弱い) 

体力  24(弱い) 

器用さ 16(貧弱) 

敏捷  14(貧弱)  

知力  66(やや高い) 

精神  14(貧弱)   

愛情  36(やや弱い) 

魅力  19(貧弱)  

生命   9(不変)

運   ??(計算途中で異常値が発生しました:再計算中)


スキル

【高等教育】Lv.27 ↑(浅野と話してたらなぜか上がった)

【不快様相】Lv.9

【鈍器術】 Lv.11

【盾術】Lv.13


称号スキル

【空気な存在】



持ち物


E浅野からもらった服一式…体力+2敏捷+2




なくしたもの

姐さんのバール(えっ…無くしたの…)

        …攻撃+95(使用者能力不足により過小評価です)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ