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無能な三十路ニートだけど異世界来た  作者: ガイアが俺輝けと囁いてる
~レティルブルグの戦い (歴史の分水嶺編)~
27/89

命あっての物種


前回のあらすじ



冬にパンツ&シャツに上着だけで外を歩くと


チンコすげえ小さくなるよ!

これホント!



そんな感じだった。





― モトマノの油断―――――――――――――



頭部から血を撒き散らした縞スーツはゆっくりとシスさんにもたれ掛って、悲鳴をあげた彼女に突き飛ばされ、地面に『どっ』と倒れ伏した。


一瞬、彼女がやったのかと思ったけど、どうやら違うようだ。

俺と同じく、彼女じゃない事に気付いた縞スーツの部下は弾かれたように俺の方を向く。

俺もやってねえよ。縛られてるんだぞ。


そう思ってると俺の後ろからはしゃいだような声が響いた。

「すっげえぜコレ!あの偉そうなドドコが一撃だぜ!」

あっこいつの声、さっきの…


声に反応し振り向くと同時に、蹴り飛ばされて、床に倒れ込む俺。


受け身さえ取れずに、顔面から倒れ込んだ俺が、痛みに耐えながら首を回し扉の方を見ると、そこにはさっきのボッタクリバーのマネージャーがスター●ォーズに出てくるような金属製の銃を持って立ってた。


『お前…』と言いながら近くの縞スーツの部下が慌てて飛び掛かろうとしたが、マネージャーはヘラヘラ笑いのまま銃を男に向けて撃つ。銃からは何も音がしないが、いきなり『ぱんっ』て首が弾けると、男の頭は『ぽろりん』と落ちてそのまま『ゴロンゴロン』転がってきて、俺の肩に当たって止まった。


俺の肩に当たった男の頭はちょうど顔が此方側を向いており、まだ意識があるようで顔の筋肉がゆがんだりしてる。しかも運の悪い事に横向きになった俺と同じ向きで倒れてる。目もばっちり合って『こっち見んな…』な状態、つうか普通に怖いわ!


男の首を吹っ飛ばしたマネージャーは『すっげえすっげえ』と子供の様に叫んでいる。その間にマネージャーの後ろから鎧を着た騎士のような恰好をした奴らがぞろぞろと入ってきた。なんだ。どうなってんだ。ぼったくりの次はお前何やる気なんだよ。下っ端は下っ端らしく何もしないのが一番なんだよ。そう思ってると、俺と目と目で通じ合っていた生首は瞬きをしなくなった。目はまだこっち見てるけど。俺の目の前の首からだんだんと魂が抜けていくかのように生気が失われていくのが分かる。


首を凝視している俺がビビっている間、

仲間を殺された縞スーツの副官らしき男が何やら『お前、裏切ったか!』とマネージャーに問い詰めていた。


副官に問い詰められたマネージャーはヘラヘラ笑いを浮かべながら、バカにするように「裏切る?何言ってんだ。俺ら商売でやってるんだろ?俺、ちゃんと言われたように教えたし。教えた後で他の奴に教えるのも自由だろww」と言い放ち銃を男に向ける。男は焦らず体を傾けて避ける。と同時に男の後ろの壁が『ボシュッ』と音立てて、一部分が圧縮されたように中心に向け一瞬固まって弾けた。


そのまま男は左右に揺れながらマネージャーに向かって突撃していった。その後ろで、シスさんがエリーの手を掴んで慌ててソファーの後ろに隠れるのが見えた。俺も隠れたいが、バールが邪魔で立てん。後ろ手に縛られて、手を使わずに起き上がるのはムズいのだ。うつ伏せだし。せめてマネージャーから離れるべく、涙目で尺取虫の様に床をくねくねと進む。


俺が必死に逃げている間にも、副官の部下が援護すべく応接間のテーブルを回り込む様に左右から扉に突撃していく。右から行く男が俺の顔の横を走り抜けていく際にボサボサの髪の毛が踏まれミチミチっと根元から千切れる音がした。かなり前髪が抜けた気がするが気のせいだと思いたい。ただでさえ、最近女ゾンビに引っこ抜かれたばかりなのだ。



マネージャーは持っていた不思議な銃を連射し、『ポシュポシュ』とそこらじゅうを圧縮するが、副官には当たらない。真っ直ぐ近づいた副官が刀を抜き放ち、切りつけようとする。


しかし、後ろにいた騎士のような奴がマネージャーの前に出ると、副官の斬撃を受け止めた。そのまま剣を振りぬき、副官を弾いて距離とる騎士。

そして左右の男達も他の騎士に止められた。

マネージャーがへらへら笑って銃を撃つが、今度は何も起こらない。


「なんだ…もう使えねえのかよ!」

不満げに呟くマネージャー。


俺も不思議に思っていると、

「言い忘れたが、魔道具は込められた生命エネルギー分しか使えん。」

との綺麗な声。

奴の後ろから、騎士に守られて白い鎧着たブロンドの女性が入ってきた。


「姫様と違い、貴公の生命エネルギーでは充填も一日1発が限度だろうがな」

とブロンドのそばの鎧を着た爺さんがボソッと付け足した。


あれ、あの爺さん、白菜のジジイじゃねえか。姫ってブロンドの事か?

あの人、姫のお付だったのか…

あの時、持ってった俺の白菜はどうなったんだろう。

ひょっとして、姫様がお食べになったんだろうか。

でも…爺さん、白菜しか持ってかなかったぞ。

姫様のアーマー、白一色で白好きそうだし、白い食べ物しか食わんのかもしれん。

あれ、白菜って緑じゃね?



混迷する状況から現実逃避するため妄想にふけっている俺を尻目に

マネージャーは残念そうに肩をすくませると、『ふん、まあいいや。約束通り、さっさとこいつ等やってくれよ』と言い放った。


『じゃあかしい、やれるもんならやってみろ!』とマネージャーにスゴむヤクザ達。


そして身構える縞スーツ部下のヤクザたち。威勢は良いけど奇襲を食らって3人しかいねえ。外で待ってた連中もすでにやられてるんだろう。姫とか言われた方は部屋の中だけで6人近くいる。片や刃物持っただけの男三人に、片やフルアーマーの6人とマネージャー。



他に状況を変えれるものがないか、床からキョロキョロ見回すが、部屋の中には転がってる縞スーツとその部下。シスさんとエリーはソファーの後ろで隠れてるのか見えない。俺はと言えば、対峙する2勢力の脇で上着のみ羽織り、パンツのままケツを姫の方に見せてる。姫から見たら毛むくじゃらの両足と合わせてさぞかし滑稽だろう。なぜかまだ一度も見られてないけど。




そして、戦いが始まり、抜刀して切りかかるYAKUZAたち。腕は立つようで、数が少ないながらもうまく渡り合っている。互いに死角をカバーして、2人同時に切り付けたりなど屋内の戦いに慣れているようだ。逆に、騎士たちは重さと鎧の動きにくさもあって連携できないでいる。


そうこうするうちに、近くに来た騎士に踏まれそうになり、俺は焦って這いつくばって逃げた。しかし、逃げ切れず騎士は俺のケツに躓いて倒れた。鉄の靴の踵が俺のケツに当たって非常に痛い。騎士が倒れた拍子に放してしまったのか、俺の目の前に飛んできたロングソードが刺さる。ビビる間もなく、副官の部下が俺を踏みつけて倒れた騎士に迫り、鎧の隙間から首に刀を突き刺した。背中踏まれてむせる俺。もうヤダ。痛さのあまり涙目になる。なんでこんなことになってんだよ。せめて隠れさせてくれよ…



しかし、元々多勢に無勢。それでなくとも装備に圧倒的な差があるのだ。


騎士が1人やられたことで空いたスペースが出来たのがヤクザ達の運の尽きだった。

そのスペースを逃すことなく前に出る白菜ジジイ。

刀を横に構える男に向かい、引き抜いた大剣を振るい、刀ごと男を袈裟懸けに切り裂く。

血が俺のパンツに降りかかり、俺のパンツに生暖かい感触が付与された。

それも、肛門周辺。

…多分、今の俺は痔の患者みたいになってんだろう。


2人になった事で、陣形が乱れたヤクザグループ。

善戦していたものの、副官の胸に若い騎士のソードが突き刺さる。

もう片方は、傷だらけで、部屋の隅に追い詰められてしまった。


もう勝負がついたと見たのか、騎士達も無理に突っ込もうとはしない。



「確保を。」

『姫』の言葉に従い、2人の騎士がソファーの裏に回ろうとする。

しかし、ぶっ倒れたままの縞スーツの横を通ろうとしたところ、『かすんっ』という小気味いい音と共に、黒い刀が床から伸びて、ソファに近づいた若い騎士の鎧に刺さっていた。騎士達が反応する前に刀を伸ばした縞スーツがゆらりと立ち上がり、引き抜くと同時に、もう片方の騎士の首を刎ね飛ばす。


「アニキ…?」

壁際から呟くヤクザ。

こんな時に気付いたが、どうやら部下と言うより舎弟だったらしい。



「ワリィ…ユージ…俺、いきなり死んじまったわ…」

自嘲して笑う縞スーツ。

生きてたかと思ったが、右頭が吹き飛んで、脳みそが垂れてきてる。

どうやらソファーの後ろでエリーが屍役術を発動したようだ。


「これは…本物か…」

騎士の中からざわめきが起こる。

俺の近くのヤクザと騎士の死体もゆっくりと立ち上がる。

そして並んで立ち入口に向け、武器を構えた。


「さっさと出て行って。死体が生まれれば、こっちが有利なのよ。」

震えた声と共にソファー影から出てくるシスさん。

…しかし、明らかに怯えている。

エリーと隠れてればいいのに、なんで出てくるんだよ。

シスさんだって強いわけじゃないだろ。

何で、そんな事するんだよ。



そんなシスさんの主張を無視した白菜ジジイが騎士ゾンビの首を刎ねるが騎士ゾンビは何事もないかのように首を拾うと、小脇に抱えて剣を構えた。どうやら、首を刎ねられてもゾンビからデュラハンにクラスアップするだけのようだ。


そして、扉周辺に集まる騎士とヤクザのエリゾン達。

騎士に切り付けられても、何事もないかのように斬撃を返している。


…これは、行けるかもしれん。

切られても殴られても何事もないかのように立ち上がるエリゾン。

それどころか、新たに敵を倒せばそれが此方の戦力になるのである。

エリゾンだって粉々にされれば動かなくなるだろうが、

エリゾンは敵にとって、今まで隣で共に過ごしてきた仲間だったりするのだ。

いきなり、粉々にまで叩き潰すなんてことは抵抗もあるだろう。

その甘さがさらなるエリゾンの生産に繋がり、

最終的には敵はすべてエリゾンに飲み込まれてしまうだろう。


ひょっとしたら、エリーがいれば世界だって…


「ヨーゼフ。下がりなさい。」

そんな俺の思考を妨げる、凛とした声。



見上げると、まっ白い鎧に身を包んだブロンドの『姫』さまが、

長いブロンドをアップにまとめ、薄い水色を帯びた刀身の細剣を抜いていた。





――― 姫騎士と仁義―――――――――――――――――




「なんでだッ!何でみんな立ち上がらねえんだ!」

部屋の隅で、傷だらけのヤクザが吠えた。


「ちょっと!術が解けてるッ!」

エリーに催促するかのように、ソファーの前で叫ぶシスさん。

おそらくソファーの裏ではエリーが何回も、何回も屍役術を試してるんだろう。



「ユージッお前、窓こじ開けて、そいつらボスのとこに連れてけェ!」


家具がひっくり返った、部屋の真ん中では『ドドコ』と言われた縞スーツが『姫』と切り合いながら傷だらけのヤクザに命令を下す。


その周辺には『姫』に切られ、なぜか動かなくなったエリゾンが3体。

残りの3体はドドコと『姫』の剣撃に巻き込まれるのを恐れ、遠巻きにして見ている。



ドドコと切り合う『姫』のまっ白い鎧は所々に傷跡が付いており、

しかも首筋は少しだけ血が滲んでいた。


素人の俺から見ても、ドドコと『姫』、どちらの技量が上かと言えば、明らかにドドコの方が上だ。

しかし、ドドコは攻められない。攻めきれない。

その理由が、ドドコにはあるのである。



そして、ドドコの刀が姫の細剣を大きく弾き飛ばしたとき、

チャンスと見たのか騎士のエリゾンが後ろから『姫』に突っ込んでいった。

「やめろ!」

エリゾンの突進を見て、叫ぶドドコ。


『姫』はすぐさま態勢を立て直すとドドコの斬撃をバックステップで躱し、


『ずぐん』と紙に千枚通しを通すように鎧ごと騎士エリゾンの『肩』を貫き。


そのまま引き抜くと、騎士エリゾンはゆっくりとその場に倒れ、動かなくなってしまった。



「肩を突いただけで何で…」

シスさんも俺もユージと言われたヤクザも呆然としてその光景を見ている。


「ユージィ…『オメエは窓こじ開ケロ』ッて言ってんだろォ!」

ドドコが黒刀を使い、『姫』に切り付ける。


黒刀の切っ先は姫の籠手を掠め、切り取られた金属片が少しだけ空中に散った。



「惜しいな…」

流石に、身の危険を感じたのだろう。

『姫』はそう呟くと、バックステップでドドコから離れ、扉まで下がった。



「全然、惜しくねえよ…」

頭から血を吹き出しながらドドコが答える。


「貴公の腕、生きているのならば私の首を簡単に刎ねていたのだろうな」

やや、残念そうに『姫』は呟く。


「…なんなんだよ、アンタの剣は。なんでゾンビを切れる?」

話に乗るドドコ。

あれほど怒り狂っていたのに、おとなしく話に乗るのは、

ユージがゾンビ対策で補強されている窓を破るまでの時間稼ぎだろうか。



『姫』は微かに笑うと、胸元から『じゃらり』と鎖に繋がれた何かを出してそれを眺めた。


「ゾンビと言えども、無敵なわけではない。所詮は術によって魂を無理やり肉体に結び付けているだけの偽物の命。」


話す『姫』を守るかのように白菜ジジイが前に出る。


ジジイなら大丈夫だと踏んだのか、遠巻きに見ていた副官のエリゾンがジジイと剣を打ち合い始めた。


「そんな偽物の命を解き放つ方法など、いくらでもある。」


ジジイは副官と数回、切り合うとめんどくさそうに大剣を横なぎに振るう。

折れた刀で戦っていた副官のゾンビは防御さえできず、下半身を切り飛ばされ、だるま落としのようにその場に落ちた。


「たとえば、破壊。」


その言葉を実行するかのように白菜ジジイは大剣を何度も振りかぶり、

副官の体をミンチにする。

ぐちゃぐちゃに体を砕かれた副官は、最後にピクリと指を動かすと、

そのまま二度と動かなくなってしまった。


その姿を見て、残った最後の騎士のエリゾンが時間を稼ごうとジジイに向かっていく。


「もしくは浄化」


何かの呟きと共に、『姫』は持っていたペンダントをジジイと打ち合うエリゾンに向けるとペンダントはやや緑がかった光を騎士エリゾンに浴びせかける。


光を浴びた騎士エリゾンはそのままゆっくりと眠る様に倒れ込み、『姫』は倒れた騎士エリゾンに近づくと、その顔に手を置き、ゆっくりと瞼を閉じさせた。



「テメエ……」


黒刀をぶらりと下げたまま、ドドコはそれを眺めていた。


「貴公は本当に強かった。あのモトマノが遣わしただけはある。それだけに、技で勝てず、こういう方法を使わざるを得ないのが本当に惜しい」


『姫』は困ったように微笑みながら、

ゆっくりとペンダントを握った左手をドドコに向ける。


「あの細剣も…そういう事かい?」


ドドコの問いに『似たようなものだ』と答える『姫』。






「なぁ、アンタの名前教えてくれよ」


床に血だらけのパンツを出し、アホの様に横たわる俺の目の前、

緑色の光の中で薄れていくヤクザの気配に向けて


天使のように微笑む『姫』は


『フィフテヌティア』


とだけ、答えた。






   ⇒To Be Continued…





主人公は今回何もやってません。

転がされてただけです。


こんなカッコいい人たちは多分もう出ないと思います。

そうじゃないとガイアが困ります。






俺のステータス


【基本職】ニート 【サブ職業】女のヒモ




腕力  29(弱い) 

体力  24(弱い) 

器用さ 16(貧弱) 

敏捷  14(貧弱)  

知力  66(やや高い) 

精神  14(貧弱)   

愛情  36(やや弱い) 

魅力  19(貧弱)  

生命   9(不変)

運   ??(算定経験値がまだ不足:平均より上?)


スキル

【高等教育】Lv.26

【不快様相】Lv.9

【鈍器術】 Lv.11

【盾術】Lv.13


称号スキル

【空気な存在】



持ち物

E姐バール(あーなんかしくっと来るネーミングねーかな)

        …攻撃+95(使用者能力不足により過小評価です)

E血だらけのパンツとシャツ…体力+1

Eなんかの上着…(あったかいだけちなみに下はパンツだけ)






家に置いてある物



一般人の服一式…魅力+3・体力+3

スニーカー

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