禍福はあざなえる縄のごとし その1
職場でパソコン打ちながら小説のプロットを脳内構成してる
俺みたいな屑を雇ってくれた所長すいません…
前回のあらすじ。
今までのすべての行動を思い出すと
シスさんは優しい。
誰に対しても
俺に対しても
女神と同じぐらい優しい。
ただ、その表現は随分と方向性が違うけれども
そんな感じだった
―自治なしと言う事―――――――――――――――――
―お客様、そろそろお会計の方ですが…
店長と話をしに行ったまま帰らないオルタを待っていると、俺の元ににこやかな笑顔を張りつかせたフロアマネージャーがやってきた。
「あー、もうそんな時間だった?」
そう言って、フロアを見渡してみると、いつも俺達が帰るころにはガラガラなはずの客席は未だ客が張り付いており、どう見ても今は書き入れ時。なんでだよ。なんで帰らなきゃならないんだよ。そう思って、マネージャーを振り向くと、奴は黒い板に乗った伝票を俺に突き付けてきた。
今まで慇懃だったマネージャーの態度が豹変したことに、いら立ちを覚えつつも、『払えばいいんだろ』と財布を取り出す俺。で、いくらだよ。いち、じゅう、ひゃく・・・
……百四十…トルテ(・・・)…だと…
「なあ…スジ夫…俺の目がおかしくなったみたいなんだが…」
さすがに酔いすぎたかと思い、スジ夫に払ってもらおうとするが、伝票を渡されたスジ夫は伝票の数字を読むと、体を凍りつかせ、渡された財布をその場にポトリと落とした。そしてスジ夫から俺に戻される伝票。半分血の気が引いたせいか、はっきりしてきた頭で再び伝票を読むが…伝票には140トルテ(日本円にして1億4000万)と間違いなく記載がしてある。
「あのさぁ…」
脂汗で飲んだ酒の水分をそのまま体から放出しつつ、マネージャーに間違いじゃないか問いただすが
「テルの間違いではありません。トルテでございます。(ニコニコ)」
と顔だけで笑い、目を異様にギラつかせながらマネージャーは俺の指摘を否定した。
そして奴が話すには、俺達が今日此処に来てから飲んでた酒は、神様御用達のギンレイ何とかというもので非常に高額だとか、生きている女性が少ないためにオルタに希少価値が付いて日に日に指名料が上がったのだ…とか、とってつけたような理由。
「こんなん、ボッタクリバーじゃねえか…」
思わずそう言う俺。
引き籠りから東京に出た時に浅野に『飲み屋に行くときは気をつけろ。特にお前みたいな見た目だと…な』と言われたことを思い出す。
「ぼったくりバーとは心外ですね~(ニコニコ)」
そう、悪びれる様子もないマネージャー。
こうなれば、騒ぎを起こして、
警察を呼んでもらうしかない
「こんなのボッタクリバーじゃねえか!」
客を味方につけようとそう大声で、叫ぶ俺。
その声を聞いた周りの席の客が一斉に立ち上がり、
一斉に出口に向かったかと思うと、
そのまま出口をふさぐかのように立ちふさがった…
「…こんなん…ボッタクリバー…じゃねえか…」
唖然としつつも『ぼそぼそ』と主張を続ける俺…
隣のスジ夫も驚いたのか、口をあんぐり開けたまま立ち尽くしている。
「ぼったくりバーとは心外ですね~(ニコニコ)」
壊れた機械の様に同じ主張を呟く俺に合わせて、
マネージャーは笑顔のまま、同じ文句を返答してきたのだった…
―無力と言う罪―――――――――――――――――
「…でもさ、思ったより金持ってたじゃーん、あのオッサンww」
「だな、見た目から下級貴族の次男坊ぐらいかと思ったけど、一週間ふっかけまくっても支払えてたしな」
「そのせいで、アタシがどんだけいやな目にあったと思ってるのよ。自慢話は嘘っぽいわ。ニマニマ顔で見つめてくるわ。思い出すだけでキモイ!あいつ弱かったし、最初からこの額ふっかけておけばよかったのよ」
「いや…俺も最初の500テル要求した時に、すでにあいつが払えるとは思ってなかったんだよw」
「それで、上りに上がって、結局140トルテの借用書にサインさせられてんの?キャハハヒドーイwww」
…扉の隙間から差し込んでくる淡い光と共に、オルタと店長、マネージャーの三人の話し声が聞こえてくる。
俺の隣ではフルボッコにされて両腕が外されたスジ夫が転がっており、ブルって抵抗さえせず袋叩きに遭わなかった俺は真っ暗な部屋の真ん中に倒れた椅子に縛られて転がされていた。
薄暗い室内ではスジ夫がどうなっているかもわからないし、床に密着させられているせいで、体温もどんどん奪われていっている。
先ほどまで飲んでいたお酒のせいもあってトイレに行きたい気分だが、奴らは俺をこの部屋に放り込んでから、一切俺の前に姿を見せてこない。
これから俺はどうなるんだろうか?
ヒマになった俺がさっきから考えているのはただ一点、この事である。
奴らはこの俺からどうやって金を搾り取るんだろうか?
女だったら風呂にでも沈められるのだろうが…俺は男だ。
ジャニー●のようなイケメンでもないのでホモに売られることもないだろう。
だとすれば、奴隷として売り払うしかなさそうだが、思い出してほしい。
俺はこの世界に呼び出されてすぐ、無能すぎて役立たずとして捨てられたのである。
コミュ障だから下手に知的労働をさせようものなら、他人の足を引っ張って仕事を遅らせる自信があるし、力が無いから単純労働さえできないだろう。
最悪のケースとして考え付くのは、『なんかの動物のえさにする』だろうが、運ぶのが面倒なうえ、今でも町にはエリゾン化していない死体が探せばある程度見つかるだろうし。
かといって、そのまま生かしておくとすれば食費やらいろいろ金がかかる。
殺してしまったら、それはそれで後始末の必要が出てくる…
いわば俺は不良債権なのだ。
それも三十路まで持ち越してるという、
バブルがはじけた後も延々と処理されなかったようなどうしようもないレベルの。
どう考えても奴らにとって一番いいのはこのまま『身ぐるみ剥いで放逐する』だと思うのだが…
そうやって、俺がうーんうーんとうなっていると。
コツコツという足音と共に半開きだった扉が『ぎいっ』と音を立てて開き。
薄暗かった部屋が光で満たされたのであった。
⇒To Be Continued…
俺のステータス
【基本職】ニート 【サブ職業】女のヒモ
特記:冷え症(体力↓…ってなあ、それ体質じゃね?)
腕力 29(弱い)
体力 24(弱い)
器用さ 16(貧弱)
敏捷 14(貧弱)
知力 66(やや高い)
精神 14(貧弱)
愛情 36(やや弱い)
魅力 19(貧弱)
生命 9(不変)
運 ??(算定経験値がまだ不足:平均より上?)
スキル
【高等教育】Lv.26
【不快様相】Lv.9(あー内心嫌がられたりしてるとあがるのね)
【鈍器術】 Lv.11
【盾術】Lv.13
称号スキル
【空気な存在】
持ち物
Eバールだからって差別せずに奪えよ…(命名:エクスカリバール)
…攻撃+95(使用者能力不足により過小評価です)
Eパンツとシャツ…体力+1
剥がれた身ぐるみ
高級ブーツ …敏捷+1・魅力+3
高級な服一式…魅力+6・体力+5
家に置いてある物
一般人の服一式…魅力+3・体力+3
スニーカー