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無能な三十路ニートだけど異世界来た  作者: ガイアが俺輝けと囁いてる
~赤毛のネクロマンサー(エリー編)~
24/89

所詮は俺はニートと言う現実を思い出してほしい

心の弱い大人を心底嫌えるのは子供の特権だと思うのです。



前回のあらすじ。



エリーがシスさんの思考を学習した。


ニートは相変わらず当事者意識ゼロ


細身な体で壁役をこなすウォードは褒めてあげてほしい。



そんな感じだった

―なあ、知ってるか、最近出てきた理性あるゾンビなんだけど、裏に操っている奴がいるらしいぜ。


―まじかよ、ガセじゃねえの?


―いや、毎晩、複数のゾンビが荷物を持って移動してたりしてるのを見てるやつがいるし、ゾンビの商店を襲ったやつの話では、溜めこんでる筈の金が殆どなかったらしい。


―ふーん、ひょっとするとこの騒動はそいつの仕業かね?


―それは知らねえけどよ。とにかく、どのグループの連中も今はそいつを血眼になって探してるって話だ―







 ―俺がギルドでソルド達とあってから、さらに一週間が過ぎ、

 町で流れる噂が『ゾンビを操る黒幕』の話、それ一色となった頃。


 勢力の空白地帯である北東の住宅街、その最も外れの一角に位置する館では

 高級なソファーに座る2人の女の前で、男達が膝まづいて懇願をしていた―





 一週間前、お金に心を汚された2人を正気に戻すべく、町を歩き回っていた俺達。

 ギルドでゾンビを操る黒幕が居るという噂が流れている事をマギーから聞いてから家に戻った俺達は、必死にシスさんにゾンビを使った労働派遣を止めるべくお願いしていたのだが…





 「……と言う訳で、シスさんお小遣いをください。」

 「あ゛ー」


 一週間の間に、ダメ男2人組は、行方不明の女性を探し出すという使命も忘れ、もうすっかり骨抜きにされていた。





 「…お金お金って、アンタ等、毎日十分に渡してるでしょ?一体、何に使ってんのよ!」


 声を荒げて怒るシス。

 一週間ほど前までは、俺が金を無心しても『口うるさい男どもを厄介払いができる』とばかりに笑顔で渡してくれたのに、ひどい変わり様だ。



 「…いや、まあ……将来のためにスキル?とか…買ったりとか…」


 「…お兄ちゃん、絶対にスキルなんか買ってないよ。お姉ちゃん騙されちゃだめだよ」


 疑わしげな眼で俺を見つめるエリー。

 くっ…エリーめ、一緒にカニもどき先生を狩っていた昔は、俺を輝く目で見ていたのに、すっかりシスさんの味方になっちまいやがって…


 「…スジ夫のために防腐剤を毎日買っていますし…」


 「それ、酒よね。酒を買って2人で飲んでるだけだよね?」


 「……」

 「あ゛ー…」



 「大体さあ、最近アンタ等、アニャーナ達を探してもいないでしょ」

 「お兄ちゃん、嘘ばっかだよね。口だけだよね」


 「働くわけもなく。よーやく昼に起きてきたかと思えば。お金を貰って外出して夜中にご帰宅ですか……ドコの遊び人よ!」

 「お兄ちゃん、屑だよね。人間、いやゾンビも働いてるからゾンビ以下だよね」


 女性陣は床に正座する俺達を高級なソファーに座りながら冷ややかな目で見つめる。



 「…おっしゃる通り、俺はクズです。女にたかるゴミ虫です。」


 「ふうん、そこは認めるのね。……で?どうすんの?別にいいわよ。私はアンタ等がどこまで落ちぶれても」


 「……」


 一週間前までなら、彼女たちの氷の視線は俺とスジ夫を貫き、心臓をわしづかみにしたであろうが、すっかりぬるま湯につかりスポイルされた俺達には蚊に刺された程度にしか感じない。



 「……お金ください…」


 「……ハァ……?」


 「……シスさん、落ちぶれた俺達にお金ください…」


 「…ンッ…コノ糞ニート!!…好きにしなさいよッ!!」


 そう言って投げつけられた封筒は俺の額に直撃し、中に入っていた数百テルの金が辺りに光を煌めかせながら四散する。


 「あ゛!あ゛!」

 「スジ夫、そこの椅子の影に行ったぞ!」


 直撃した痛みを感じる暇もなく、散らばった硬貨をゴキブリのごとき素早さで拾い集める俺ら。

 シスさんは憤怒の表情。

 エリーは悲しみの表情。

 だが、今の俺達には彼女たちにどんな思われ方をしても、平気だ。

 正直、金持ちが大通りで金撒いて歩いてたら、ためらいなく真っ先に拾い集めに行ける。



 そうして、硬貨を拾い集めた俺らは、彼女らを一顧だにすることなくその部屋を去り、階段を駆け抜け、大通りをダッシュで南に直進していった……



――― 一週間前――――――――――――――――――――――――




 最初は女神を探しに行ったんだ。




 ソルド達が言ってたじゃないか。

 北西は冒険者の集まりで。

 城は謎の騎馬隊が占拠してて。

 市場の勢力は弱体化していて。

 南西の歓楽街は別のグループが支配してるって。



 で、家に帰ってシスさんを説得したんだよ。

 ゾンビ止めてください。

 噂になってますし、これこれこういう勢力がいますよって。


 そしたら、シスさんはうまく話をはぐらかして。

 『歓楽街にひょっとしたらアニャーナいるかもね』

 って言ったんだよ。真面目な顔で。


 何でも、『昔、アニャーナがそこの娼館で働いてて、支配人となんかすごい揉めたらしくて。普通ならあり得ないほど、そこの支配人がアニャーナに執着してたようだから、彼女が保護を求めてきたら喜んで保護するでしょうね。自由にはしないでしょうけど。』


 と教えてくれた…から。


 俺達は行ったんだ。南東の大通り沿いから小さい池を越えた向こう側にある歓楽街にな。




 で、行ったはいいけど、何処がその娼館かわからんかった。

 シスさんは知ってたのだろうが、俺達がすぐに帰ってくるとメンドイからわざと教えなかったんだろう。


 だから、俺達はそこら辺を歩いていたオッチャンに。


 「すんませーん。ここらへんに娼館ってないですか」


 って聞いたんだよ。

 まるで初めて吉原に来たおのぼりさんみたいにな。

 ああ、ちょうど池の裏手の葦が生えてるのが遠目に見えたから、そこを『葦原』とでも呼ぼうか。

 何時までも『池の向こうの歓楽街』じゃ言いにくいし。


 で、話を聞いたオッチャン。

 俺とスジ夫の格好をジロジロ見て、合点がいったとばかりに大きく頷いた。


 で、連れて行かれたのが、葦原の北側にある中ぐらいの建物。


 そして『ここなら坊ちゃんにも安心して遊んでもらえまさあ』というオッチャン。


 今にして思えば、ガタイのいいスジ夫と、恰好だけは高級な服を着させられてる俺を見て、金持ちのお坊ちゃんが親に内緒のお忍びで来たと思ったらしい。


 いやいや、違います。人探しです。

 分かってますよう。納得がいくまでお探しください。


 などとやり取りをしている内に、中に入れられて、カーテン越しに人影が見える部屋に通された。



 まあ、正直、俺も男だ。

 シスさん以外のエッチなお姉さん方に丸っきり興味がなかったと言えば嘘になる。


 だから、これも女神を探すため。

 そう思って、ワクワクしながらカーテンが開くのを待ってた。


 そして、シャッとカーテンが開いた後ろの椅子には


 金銀、黒赤、色とりどりの髪型と色彩の派手なドレスに身を包んだ女性たちが、ずらずらっと整列していた。


 『おおっ』と、興奮してお姉さん方を『じろじろ』見る俺とスジ夫。


 お姉さん方の服装は派手だけど何となく品があるようで、それでいて色っぽくて。

 髪型は乱れている所はなく、きれいに整えられていて。

 肌は生きているとは思えないほど青白く、巻いてある血が滲んだ包帯も気品があるように見え…っておかしくね?


 「…ねえ、気のせいかな?彼女たち身動きしないよ?」

 「訓練されたプロとはそういうものですよ」

 「…それにあの子たち息してる?胸が一ミリも上下してないんだけど…」


 「…どんな激しいプレイにも彼女たちは痛がりませんよ!」



 「……生きてる人いないの?」

 「……わかりました少々お待ちください。」


 はぁー。ネズミ算式に増えてるとはいえ、

 ここまで侵食してるのか。恐ろしいなエリゾン。

 そう言えば、左から2番目の女の子は館でちらっと見かけた事あったわ。



 そう思いながらしばらく待っていると、再びカーテンの向こう側に人影が。



 先ほどと違い、今度は1人だけのようだがちゃんと生きているようで、『はあふう』と激しい吐息が聞こえてくる。

 よっぽど急いで連れて来られたんだろう。

 それに『ジャラジャラ』と金属の飾りがぶつかり合うような音がする。

 衣装も急いで着たんだろうか。多少待ってもいいから、衣装ぐらいはちゃんとして欲しいものだ。


 そして、店員の兄さんの『どーぞー』の声と共にシャッと開くカーテン。


 そして開いたカーテンの向こうには、ザンバラで最先端を行く髪型とこの冬に流行するであろう最新のモードを意識した乱れた衣服。汚れてぐちゃぐちゃになった化粧も美しく、白目をぐりぐりと回しながら暴れる、鎖に繋がれた女性が…


 「…ねえ、まともな人間いないの?」


 久しぶりに見た普通ゾンビを『よく見つけて来たなぁ、今は逆にレアだぞ』と半ば感心しつつも俺が兄ちゃんに尋ねると


 「なにぶん、今はこのような状況下でございますので…」


 そう、申し訳なさそうに謝られた。




―――女神探して――――――――――――――





 それから、俺達は外で待っていたオッチャンの伝手で、娼館を回りに回った。

 その数11。



 大きい娼館から家みたいな小さい店まで。


 そして店で出てくる女の子の数はその大きさには比例しなかったけど、

 全員がエリゾンだった。




 「坊ちゃぁん…もう諦めましょうや…生きてる女性は上層部が占有してますからむりですぜぃ…」


 そう言って、俺を諭すオッチャン。

 行く先々でぺこぺこ頭を下げるオッチャンも、客を捕まえなければ食えないので必死になって店を探すのだが、生きてる女性にこだわり、店を変え続ける俺にもう食傷気味らしい。


 俺も浮浪者時代の食えなかった事を思い出して、オッチャンがかわいそうに思えてくる。

 あと、20年もしたら俺もああなってるかもしれないのだ。


 そう言う事もあって。

 「じゃあ、喉乾いたし飲み屋でいいから案内してよ」


 そう伝えると、オッチャンは葦原の南側に俺達を連れてってくれた。




―――シスの手のひらの上――――――――――――――――




 「初めましてーユリカと申しますー」

 「初めましてーライラでーす」


 胸元の強調された服を着た、美しい女性たちが青白い(・・・)顔をにこやかにほほ笑ませながら俺たちの間に座る。


 「あ…どうも…」


 そう言って、渡されたグラスから酒を飲む俺。

 ユリカという名の嬢は『あれー?緊張してるー?』と話しかけてくるが、もちろん俺は緊張してるわけじゃない。いくら美人とはいえ、隣に死体がいて、お酌をしてきたとしたらあなたは落ち着いて飲めるだろうか。いや飲めない。(反語)


 そう思って隣を見たら、スジ夫はライラ嬢と楽しそうにいちゃついていた…そういえば、こいつも死体だったわ。最近忘れてたけど。


 『お兄さん無口なのねー』と言われて、嬉しそうにライラ嬢にくっつくスジ夫。


 無口じゃねえよ。そいつ内臓から舌まで全部腐ってて喋れねえんだよ。


 俺の心の突っ込みを知らないスジ夫は、幸せそうにライラ嬢からグラスを受け取る。

 そーいえば、こいつ元リア充だったなぁ…と懐かしい思いでスジ夫を見ていると、スジ夫はグラスを持っていない手をライラ嬢の肩に抱くように回し、そのまま手に当たったライラ嬢の胸を『もんみもんみ』もんでいる。


 ゾンビでも胸揉むと興奮すんのかな…と考えていたら、何となくゾンビ同士のアレ想像してしまって…気持ち悪くなった。




 そうやってスジ夫を見ている俺に気付いたのか、ユリカが俺に体を寄せてきた。が、まったく嬉しくない。俺に死体を揉んで興奮する属性はあんまりない。この前のスライム乳は一応生きてたし揉みたくなったけど、基本は生きているのが好きだ。しいて言えば、黒髪のショートヘアーで少し元気な人が好きだ。はっきり言えば、シスさんが一番いい。この世界であった中では。


 そんなこんなで一人げんなりしていると、ユリカ嬢は新しく来た客に指名を受けたのか俺のそばから離れ、違うテーブルに行ってしまった。



 それから、俺は楽しむスジ夫をほっておいて、一人寂しく、手酌で酒を飲み続けていた。


 隣のスジ夫はとても楽しそうでイライラする。

 『いやんえっちぃ』とかいうゾンビの『きゃぴきゃぴ』声がフロアに響いてなんだか俺だけが一人ぼっち。仲間外れ。人間なのに仲間外れ。


 


 もう、酒でも飲まんとやってられん。



 そうやって、酒をがぶ飲みしていると、いつの間にかうたた寝してしまっていたのか。


 夕方を過ぎたのかフロアの客も嬢も入れ替わっており、俺の隣には新しい嬢が座っていた。





 「あっ、起きられましたか?」


 そう俺に話しかけてきた女は長い黒髪に地味な服。

 顔つきも平凡で、いかにも『売れ残りました』って感じ。


 とはいえ、シスさんや女神など数々の美人の中で過ごしてきた俺の目が肥えてしまっただけで、俺の見た目から考えれば十分すぎる程釣り合いが取れてるが…まあ、どうせエリゾンなんだから無視することにした。


 そして、女からひったくる様にグラスを奪う俺。


 グラスを奪う際に、俺の伸びていた爪が割れていたらしく、女の指に引っかかる感触があったが、気にせずにグラスを奪う。


 「痛っ…」


 思わず漏れた女の呟きを俺は華麗にスル―。

 グラスに酒を注ぎ始めた所で女の呟きの意味を理解。


 「あれ…君、生きてる人?」


 「…はい…ごめんなさい…」


 オドオドと怯える女。

 びくびくとこちらを窺う様子は他の嬢とは違って、純粋で素朴な様子で…


 「…ごめんなさい。すぐに代わりの者を呼んできます…」


 そう言って、逃げようとする彼女を押しとどめ、俺は嬉しさのあまり泣き出してしまい、その日は夜中の閉店時刻まで彼女と一緒に酒を飲んでいたのだった。





――そんで舞台は今日に戻って――――――――――――――――――――――――







 「…でさー。俺って超強いからさー。今日も仕事のできない女どもが『助けてー』とか言ってたから軽くゾンビどもをなぎ倒したら、涙を流して感謝して持ってる金を渡してきてさー」



 オルタは今日も俺の話を嬉しそうに聞いている。

 シスさんやエリーにどれだけ家で馬鹿にされようが、蔑まれようが、オルタが嬉しそうに俺の話を嬉しそうに聞いてくれるなら気にならない。


 思えば、シスさんや姐さんには乱暴に扱われて。

 女神やエリーには軽んじられていたけど。


 女性ってのはやっぱり、男を立てて、ナンボだよな。


 いやー目が覚めた思いだわ。

 なんで姐さんやシスさんなんかの言う事聞いてたのやら。


 これは、アレだな。

 もう俺が彼女を養って守って行かないと、いけないよな!


 オルタが店長に呼ばれて席を立った隙に、スジ夫にそう話しかけると


 スジ夫は3人のエリゾンを侍らせながら、ウンウンと満面の笑みで頷いていた。







   ⇒To Be Continued…








新しい職業を入手しました

―女のヒモ―


器用さ↑↑魅力↓精神↓愛情↑↑


俺のステータス


【基本職】ニート 【サブ職業】女のヒモ




腕力  29(弱い) 

体力  24(弱い) 

器用さ 16(貧弱) 

敏捷  14(貧弱)  

知力  66(やや高い) 

精神  14(貧弱)   

愛情  36(やや弱い) ↑↑

魅力  19(貧弱)  

生命   9(不変)

運   ??(算定経験値がまだ不足:平均より上?)


スキル

【高等教育】Lv.26

【不快様相】Lv.9(純愛なのに何で上がるんだおかしいだろ)

【鈍器術】 Lv.11

【盾術】Lv.13


称号スキル

【空気な存在】



持ち物

Eもう姐さんのバールでいいや(命名:エクスカリバール)

        …攻撃+95(使用者能力不足により過小評価です)

E高級ブーツ  …敏捷+1・魅力+3

E高級な服一式…魅力+6・体力+5



一般人の服一式…魅力+3・体力+3

スニーカー


       

無くなったの


トルテ金貨(現代物)×5…超高級なボトルいれまくりやがった

シスさんからのお小遣い…無心分も含めて1800テル…


  計.約、680万 現在増加中…


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