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無能な三十路ニートだけど異世界来た  作者: ガイアが俺輝けと囁いてる
~赤毛のネクロマンサー(エリー編)~
22/89

毒を食らわば皿まで

前回から今回までのあらすじ




色々あって、ガイアはフリーター/ニートじゃなくなった(マジで)

「ここはひっでえなあ…」

「…少しは何かないか期待してたんだけどね…」


 あれから市場に行った俺達。大通りはさすがにゾンビの数が多いためか、生存者の姿はなく、途中でゾンビの集団を路地に逃げる事でうまく避けたりしながら30分ほどで南西の市場に着いた。


 這う這うの体でたどり着いた市場には倒れたテントや、串焼きでも売ってたんだろう、焦げた七輪がいくつも置いてある燃えた屋台や、その延焼を食らった建物などがある。どうやら俺が帰って来た時に見た火事の火元はここっポイ。


 ちょっと見渡したところでは市場の東側、30パーほどが焦げてるようだ。東方面のテント群は大通りが近い事もあり、輸送の関係上生鮮食品が多い。よってそこら中から腐った魚のにおいなどが漂ってて気分が悪くなってくる。それに加えて、ところどころに火事から逃げ遅れたんだろうおっさんとかが黒焦げで転がってたりするので、衛生状態は最悪だ。


 それが理由なのかは知らんが、辺りには人気がなく、ゾンビさえいない。

 

 「何でか知らんけどゾンビいないな…」

 「生きてる人に掃除されたのかしら。」


 などといいながら、4人で歩いている内に、行きつけのおばさんの商店に着いたのだが…やっぱ燃えてた。予想はしていたが、おばさんの姿もない。ご臨終したのか、逃げたのかはわからんが…


 「おばさんの店が燃えてるよ・・・」


 と、呟いてるエリーを気にしつつも、おばさんの商店を見てみると、通り沿いの建物を拡張するように市場に向け張り出しているテントの部分は燃えきっているものの、そこから繋がってる、商店本体は比較的無事のようだ。


 そんで、興味本位で奥を覗くと、半身が焼けたおばさんが立ってた。

 ぶっちゃけ、最初は焦げている右半身しか見えず、ススだらけだったから一瞬黒人の人かと思ったけど、あの体型にドキツイ化粧は間違いない。このおばさん、名前なんだっけ?少しでも理性が残っているなら、交渉の余地があるかもしれん。俺達は平和主義なのだ。ゾンビとはいえ、人を殺すのは抵抗がある。ゾンビを見かけても、なるたけ交渉を試みる事が俺たちのスタンスなのだ。


 そんなこんなで俺が、話しかけるために名前を思い出そうとしている間に、おばさんは俺を見て、ススまみれの顔のままゆっくりと襲ってきた。距離は数メートル離れているのだが、横にエリーが居るため、テンパった俺は慌てて銃を取り出し、威嚇のため、ありったけの弾をぶっ放してしまった。


 焦っていたのが悪かったんだろうか。


 俺がぶっ放した弾の一発は、おばさんの頭に直撃。そして巨木が倒れる様にゆっくり倒れるおばさん。他の弾は近くの樽やらビンにバスビス当たり、そこからは甘ったるい匂いの液体がどぼどぼ出て、うつ伏せに倒れたおばさんにじゃぶじゃぶかかる。



 (;´Д`)「うわぁ…ごめんなさい…」


 酒まみれになったおばさんにそう俺は謝ったのだが、おばさんはもうピクリともしねえ…どうやらクリティカルヒットのようだ…


 「あーあ、どうやら交渉は決裂したみたいね。」

 「お兄ちゃんが、ビビるから…」

 「あ゛ー…」


 エリーを守ろうと撃っただけなのに…

 なぜかスジ夫にまで残念がられた。




 そんなこんなで俺達は、何となく嫌な気分になって、おばさんの店の物は取らないことにした。取ると、おばさんは化けて出る気がするし。近くの比較的無事な店で、米と酒をゲット。ついでに市場周辺の店舗で個人経営の小さい武器屋があったのでそこに向かう。


 中はもうすでに誰か来たのか、物は少なかった。店の中央でゾンビ化したんだろう親父が首を切られて死んでて、鎧も武器もごっそりとない。もともと南のギルドの真向かいにある量販チェーン店に押されて経営が圧迫されていたためか、品物が少なかったのもあるんだろう。


 「まあ、そんな事だろうと思ってたけどよ。」

 「残念だねー。」

 「ゲームとかだと、こういうところにいい武器あるんだけどな。」

 「そうそう、隠しボタンとかあるんだよね。」


 そうエリーと話していたら、つまんなそうに俺たちの話を聞いていたシスさんが

 ( \ω\)←こんな顔をしながら弾かれたようにカウンターに突撃。


 しばらく何か弄ってたと思うと、カコって言う音と共に、カウンターの後ろの壁が少しずれて金庫が出てきた…つうか、マジで隠しボタンがあんのかよww



 後ろから見ている俺とエリーも興味津々の中、シスさんは金庫を開けようとするものの、流石にうまく開かない。ダイヤルを弄ったり鍵穴にヘアピンらしきものを突っ込んだりなど頑張っているようだが開く気配もない。


 「ああ!もう、ちょっとあんたそれ貸して!」


 ついに、俺のバールを取り、スジ夫に振り降ろさせたりなどするが金庫に傷がつくだけで、まるで影響ナシ。


 それから、暇を持て余した俺が床に座り込み、さっき拾ったコメ粒を使ってエリーに算数を教えている2時間ほどの間にもシスさんはいろいろ試していたようだが、俺がエリーに九九と分数の割り算を教え終わっても彼女はまだ金庫に齧りついていた。


 「あの、もう諦めませんか?」

 「絶対に嫌!」

 「帰ろうよ…」

 「帰りたいなら包帯に送ってもらいなさい」

 「俺も帰っていいっスか?」

 「ハァ?何言ってんの?」

 「マジっすか…暗くなっちゃうっスよ…」


 ため息をつきながら店の窓をちょいと開けて外を見てみると、先ほどまで空高くあった太陽は西の空に向けてかなり傾いている。米と酒を持って帰ること考えると、時間的にはギリギリと言ったところだ。あんまり遅くなるようなら此処に泊まることになるだろうが、その場合、俺達もゾンビや、ひょっとしたら冒険者に襲われて床に転がっている親父の様に殺される危険もある。


 「シスさん…やっぱり帰らないと、俺達もそこの親父みたいに死んじゃうっすよ」


 俺がそう言って椅子に腰かけ、足をぶらぶら振っていると、しばらくして金庫をヒールで蹴り続けていたシスさんがぴたりと動きを止めた。


 そして、そのままこちらを振り返り、優しそうにエリーの横に座ると


 「ねーえ、エリーちゃんはもう帰りたいよね?」


 猫なで声で話しかける。


 「うん、もう帰ろうよ…」

 先ほどとは豹変した態度に薄気味悪い物を感じて警戒しながらも、シスの顔色を窺うエリー。


 「でもね…お姉ちゃんは、ここで帰るのは良くないと思うの。エリーちゃんはまだ子供だからわかんないかも知れないけど、人が生きていくためには、お金が必要なの」


 ―彼女は何を言ってるんだろう。

 この状況で8歳の幼女にお金の話してもしゃーない気がするが…


 「いい?お金がないと人は食べていけないし、病気になってもお医者さんにかかることもできないの。学校だって諦めなきゃいけなくなるし、住むとこだってなくなっちゃうかもしれないの。エリーちゃんは食べ物がなくて病気になって死んじゃっても平気?」


 イヤイヤという様に頭を横に振るエリー。

 ―そりゃそーっすね。つうか学校なんてあるんスね。


 「もちろん、私はお金が全てだとは思わないわよ。でもね、お金が有ると無いとでは遥かにあった方がいい人生が送れるの。学校も行けるし、おいしいもの食べれるし、いい服だって着れるのよ。エリーちゃんここまでは良い?」


 なるほど、と思ったのかコクコク頷くエリー。

 ―相変わらず真面目で頭いいな。算数もすぐ覚えたし、脳細胞が若いわ。


 「だから、お姉ちゃんはどうしても、あの金庫を開けたいの。それは私だけのためじゃなくて、エリーちゃんのためでもあるのよ。エリーちゃんの将来のこと考えると、お金の蓄えがあった方がいいじゃない!」


 ウンウンと頷くエリー。自分の事になったので、話しかけるシスさんを熱心に見つめている。

 ―そう言えば、俺達、姐さんに借金返さなきゃいけねえんだった。すっかり忘れてたわ。


 「だから、ね。お姉さんは金庫を開けたいの。お金が有れば、エリーちゃんも幸せになれると思うかな?エリーちゃんも開けたくなったかな?」


 首を縦にブンブン振るエリー。

 ―だけど、金庫開けれないじゃないっすか。振出しに戻ったッスよ。


 「じゃあ、お姉ちゃんにちょっと協力してくれるかなー?あそこに倒れている可哀そうなおじさんなんだけどー…………」





――――――――――――――――――――――





 「じゃあ、これはあなたが持って、ああっと貴方たちは周りのゾンビたちを追い払ってね。他の人はここに残って好きにしてていいわ」


 号令と共に彼らはそれぞれ割り振られた荷物を手に持つと、姐さんの家に向けてえっちらおっちらと歩き始めた。もうすっかり夕暮れ時となった町の通りはポツポツと街灯が点き始めており、空気も冷え込み始め、吹き抜けた風が首筋の体温を奪って行った。


 彼らに遅れまいと俺も荷物を持とうとしたのだが、振り返ると頭に銃創を開けた酒まみれのおばさんが俺の荷物をちょうど持ち上げるところだった。


 ('A`)「あ…さっきはスンマセン」


 謝る俺を無視しておばさんはエリーの手を引くスジ夫の後ろをてくてくと付いて行く。


 吹き抜ける風に首を竦めながら、ポツンと取り残された俺の背を叩いて『行くわよ!』と声を掛けるシスさん。


 「…こんなに人が必要だったんですか?」


 前を行く十人近い人の背を見つめながら俺が尋ねる。


 「・・・毒を食らわば皿まで・・・よ!」


 そう言いながらまっすぐ前を見ながら歩いて行くシスさん。


 ゾロゾロと連れ立って家に帰る俺たちの後ろでは、

 エリーに魂を戻された数十人の元死人たちがにぎやかに荒れ果てた市場の後始末を始めていた…






   ⇒To Be Continued…






 P.S.ちなみに、金庫の中には桐の箱とトルテ金貨が数枚、それに3000テル程が入っていた。桐の箱を開けると、小さな刀が入ってた。鞘の下の方から蔓のような象嵌細工が施されていて、鍔はなく、30センチほどの儀礼用みたいな感じ。金庫に入ってたし貴族にでも頼まれたんだろうか。抜いてみると、刃に規則正しい刃紋が付いていて、非常に高価そうだった。



特殊称号スキルを取得しました



俺のステータス


【基本職】ニート 【サブ職業】川漁師


特記:軽傷(体力↓)


腕力  28(弱い) 

体力  24(弱い) 

器用さ 15(貧弱)

敏捷  14(貧弱)  

知力  65(やや高い) 

精神  13(貧弱)  

愛情  31(やや弱い) 

魅力  19(貧弱)  

生命   9(不変)

運   ??(算定経験値がまだ不足:平均より上?)


スキル

【高等教育】Lv.26

【不快様相】Lv.2 

【鈍器術】 Lv.10

【盾術】Lv.13

【空気な存在】:称号スキル

  10人以上のPTでメンバー平均から能力が著しく

  劣っている場合かつその他の複数条件を満たすと取得できます


  乱戦で格上の存在から認識されにくくなります


持ち物

Eひょっとして姐さんのバール?(命名:エクスカリバール)

        …攻撃+95(使用者能力不足により過小評価です)

Eスニーカー  …敏捷+3

E一般人の服一式…魅力+3・体力+3

E回転式拳銃  …攻撃200(固定)命中等は器用さ依存。



トルテ金貨(現代物)×5(一枚もらった)

整備してない弾 ×6(手持ち)



無くなったの


報酬袋のボストンバック…おばさんが持ってった

整備した弾…×12 おばさんとか(・・)を射殺しました

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