Living Dead ほらーないと
前回のあらすじ
ブラックバイトでヤバいサルに殺されかけた。
町に帰ってきたらなんか人がフラフラ徘徊しまくってた。
そんな感じだと思う。
あと、ガイアは変なインスパイア閃いて
同じ舞台の変身ネコヒーローもの書いてた。
結論としては、失敗だった。
意味不明な街の状態に混乱しつつ、俺は大通りを駆けていった。
途中で徘徊者が俺に掴みかかってきたが、テレビで見たラクビー選手のようにするすると避ける。どうやらハロウィーン的な奴らは動きはのろいらしく、囲まれなければ俺でも避けれる。途中で大きなアパートメントがある前を通ったのだが、そこには十数人の徘徊者がたむろしていた。そこはなるべく目立たぬようにこそこそと横を通ってやり過ごした。
そして俺は東門のそばのルネ姐さんの家まで何とかたどり着いた。家の周囲にはフラフラと歩きまわる奴らが2人ほど東門そばにいるだけで、比較的数は少ない。そういえば、さっきのツインテールは…と思って城壁を見上げたが、姿は見られない。見えないのは角度的な問題かそれともツインテールが移動したのかはわからないけど。
その場で立ち尽くして家の周囲の様子を見ていると、先ほどのアパートのゾンビが俺を追ってズルズルと来ていた。慌てて家に猛ダッシュで逃げる俺。
…ゾンビって言っちまったけど、奴らゾンビだよな?ゾンビで確定していいのかわからんが、もうゾンビでいい。はらわた引き摺ってるやついるし。
ほぼ日が沈み夕暮れに包まれた姐さんの家は扉が外開きに開きっぱなしになっていた。
その扉にすげえ嫌なフラグを感じながらも、縁石を乗り越え、カツカツと玄関から中に入ろうとした時、『ニ゛ャー』という鳴き声と共に、家から白い猫を先頭に黒服(?)のネコの集団が出てきて、俺の足元を抜けて東門の兵士の詰所に走り込んでいった。
……猫が服を着ていたように見えたのだが、俺は疲れているのだろうか…これは夢じゃないのか?猫を追いたくなったが、後ろからゾンビどもがワラワラと付いてきてるので、後回しにして即行で家の中に逃げた。
俺は、家の中に入ると、壁のスイッチをオンにして玄関の電気をつけた。
ルネ姐さんの家は、この町では珍しく電気がつくのだ。
俺が此処に来た時は、他の建物に入ったことがなかったので当たり前に思っていたのだが、この町では街灯の他は電気が通じている建物は少ない。俺の知る限りではギルドなんかの公共的な建物も電気が通じていた。
そういえばなんで高級レストランでも電気が通っていないのに、ルネ姐さんの家には電気が通ってるんだろう…。
姐さんと同じく現代的な格好をしていた男爵も迷彩の戦闘服着てアサルトライフル持ってたりしたので、一般的には単なるライフスタイル的な問題で電気の導入考えてるとか?
現実的な話をすれば一般的な家庭では日常生活用の【光魔法】や【火魔法】の方が長期コスト的に割安なのかもしれん。100テル(10万)ぐらいで買えるみたいだったし。
……うーん謎だな…。今まで気にも留めんかったけどよ…
そこまで考えた所で、俺は社会学者でもないので考えてもわからん事を考えるのは止めた。そういう事は浅野みたいなエリートがやればいい。重要なのは、電気のおかげで、魔法が使えない俺が暗闇の中で動かなくても済むことだ。さすがに暗闇にゾンビは怖すぎる。電気万歳。
話を家の中に戻すが、そんな文明の利器である電気に照らされた玄関の床は汚れきっており、何やら黒ずんだ液体が乾いた跡や土がついた猫の足跡がそこかしこについていた。俺が五日前に家を出た時とはえらい違いである。
不気味な玄関の様子に恐怖を感じつつも、家の中を探そうと思いキッチンに行ってみる。
すると、いつも目立つところに置いてある食材を保存する野菜かごがそっくりそのまま無くなっていた。昼から何も食べていないので野菜でも齧りたかったのだが残念だ。キッチンコンロの前にはエリーが料理の時に使っていた踏み台(背が低いからね)がひっくり返って転がっており、コンロには冷え切ったシチューが入った鍋がそのままになっている。鍋のふちにはシチューをよそった時にこぼれたんだろうな。シチューが垂れた後が付いていたが、触ってみるとそれは乾ききっていて『ざらざら』した。
その感触に、踏み台に乗って野菜の残りを使いシチューを煮込むエリーの姿がありありと目に浮かんで悲しくなってくる。
…エリーは無事なんだろうか…
キッチンを抜けてリビングに移動すると、俺は持っていたボストンバックと歪んだ鍋の蓋をその場に降ろした。さすがに家の中では邪魔になるのだ。バールだけは用心のために一応持ったままにしておく。
一息ついて、リビングを見渡すと、テーブルの上にはルネ姐さんが読んでいたんだろう地域の新聞が広げたままになっていた。
何となく新聞を見ると、隅の尋ね人の所に赤ペンで印がしてあり、
『探しています。戻ってきてください。アニャーナ』
と女神が俺を探して新聞広告を載せているのが見えた。
…二人ともここで俺の行方を心配してくれていたらしい。
俺が新聞なんて読むはずがないのに、それでも広告を出してしまうほど心配してくれてたんだな…
読んでいたら泣きそうになったが、3人の無事を確かめるのが先決と考え、そのままトイレとか風呂を回りつつ、ビビりながらも窓の戸締りを確かめたりなどしたのだが、1階には誰も居なかった。
そして、俺が玄関に戻ると、上の階から何か物音がした。
玄関の右手から始まる階段は、玄関を小さなロビーとするかのように吹き抜けを螺旋状に回って上に上がれるようになっていて、2階には俺の寝床と姐さんの寝室・書斎がある。
ひょっとしたらみんな上に逃げているのか?
そう思い、ゆっくりと2階に上がって俺の部屋のノブをまわしたのだが、カギがかかっていて入れない。なんでだろ?疑問に思いつつも姐さんの部屋に行ったが、こちらも同じく施錠されていた。
その時、かすかに『かりこり』と何かを引っ掻くような音が天井から聞こえてきた。どうやら、音は上からしていたらしい。俺は姐さんから2階より上に行く事は禁止されていたのでどうなっているかはわからんが、3階にはエリーと女神の部屋で、4階は姐さんしか入れない謎の部屋だ。
姐さんに怒られるかな…と一瞬ためらったが、今なら怒られることもないと思い、2階の電気をつけたままにしておいて、そのまま3階に行く事にする。
そして、階段を上がってみると、廊下にゾンビが1体いた。
奴は…3階を貫く廊下に面した5つある部屋の一番奥…(エリーが言った事によると3つは空部屋)の前でがりがり扉を引っ掻いてた
余りにも執拗に扉を引っ掻き続けるゾンビにビビって、灯りをつける事も忘れて立ちすくむ俺。服装は露出の多い白い派手な服で、どうも元は娼婦のようだ。奴はしばらくそのまま扉を引っ掻き続けていたが、2分もしない内に後ろで立ち尽くす俺に気付いたのか、こちらを振り返るとフラフラと歩み寄ってくる。顔が青白くて首が半分千切れているが、まあまあ美人だ。女神ほどではないけど。
一応、近づく娼婦ゾンビに後ずさりつつも『やめろ、殴るぞ!』と警告してみたが、娼婦ゾンビに反応は見られなかった。歩みを止める気配はないので、ためらいながらもバールを叩き込む。肩を狙ったのだが娼婦ゾンビは俺がバールを振りかぶると同時に、細い手で頭を守るかのように防御した。
バールからは枝が折れるような感覚が伝わってきた。どうやら左手の指を何本かへし折ったらしい。
そして俺達は揉みあいになった。揉みあううちに、体が近くの戸棚にぶち当たって上に置いてあったガラスの花瓶が落っこちた。ひっくり返った花瓶からは女神が客からもらったんだろう枯れかけた花が水ごと階段の手すりの隙間から一階に落ちていった。
俺は娼婦ゾンビに力負けして、吹き抜けの手すりに追い詰められた。娼婦ゾンビが大口を開けて俺に噛みつこうとしてきたので、とっさにバールを口の中に突っ込んで、噛まれないようにする。娼婦ゾンビはお返しとでも言う様に、両手で俺の頭髪をつかんで引き寄せようとする。
「髪は止めて!特に前髪は止めて!!」
俺は叫んだ。
しかし俺の魂からの懇願は無視され、娼婦ゾンビは俺の髪を力いっぱい引っ張った。
高校から薄くなっていた薄毛は耐えきれずに『ぶちぶち』と抜けた(´;ω;`)
俺の髪を掴んでも無駄だと悟った娼婦ゾンビは代わりに俺の服を掴んで引き寄せようとする。引っ張られて伸びる服。もう止めてと思ってタックルしたら娼婦ゾンビの体は予想より軽くて持ち上がった。
そのままの拍子で下から突き上げてゾンビを手すりの向こうに押し出して吹き抜けから落とそうとする。奴は落とされまいと必死になって俺の服に掴まってきて服が伸びる。
奴と俺は手すりを挟んでつかみ合う様になっていた。ぶら下がりながらも伸びる俺の襟首から見える肌に噛みつこうとする娼婦ゾンビ。
彼女のアップにした髪がほどけ、俺に纏わりつき、女特有の甘い匂いと、彼女が生前つけていたんだろういやらしい匂いの香水が混じり合い俺の鼻腔をくすぐる。…それに白い派手な服はおっぱいを強調する造りで、奴が暴れるたびにおっぱいが『ぷよんぷよん』脈打つ。
振動が余すところなく伝わるそのスライム乳を見ていたら、ケミーとマギーのおっぱいの感触を思い出して、こんな時なのに股間がカチンコチンになってくる。
いけない、俺は何を考えてるんだ。
踏み越えてはいけない限界というものがあるだろう。
そう自分に言い聞かせるものの、彼女のおっぱいはポヨンポヨンと跳ねまわり、その柔らかさを主張し続けている。そして俺の鼻腔をくすぐる甘い女の香り…
その匂いもあってどうにも我慢できずに、柵のようになっている手すりの隙間からそっと手を伸ばす。そして跳ねまわるぷるんぷるんのスライム生乳をいきなり『モミッ』っと触ってやったら、それまで『う゛ー』とうなり続けていた娼婦ゾンビは可愛く『キャッ』と叫び、嫌がって両手で胸を隠すように俺から手を離して…そのまま『すうっ』と吹き抜けを落ちて行った。
……スライム乳は落ちる際に2階の手すりに足をひっかけて頭から落ちた。
……それっきり、彼女は玄関の床に体を横たえて動かなくなった。
嗚呼…もったいねえ…と思いながら俺が手すりからスライム乳を見ていると、いきなり俺の真横から『あ゛ー』という声。いつの間にか忍び寄っていた新手の女ゾンビが襲いかかってきたのだ。どうやら4階にいたらしく、俺がスライム乳と揉みあっている内に降りて来たらしい。
彼女も派手な格好をしており、元娼婦のようだが腹からすごい血を流している事からするとやっぱり死んでるようだ。髪が茶髪だったのでもしや女神か…と思い顔を見ようとしたが、暗がりで揉みあってる中、階下からの明かりだけでは顔を見る事は出来ない。
とりあえず引き離そうと思い、腕で押しのけながら蹴りを入れたのだが離れる様子はない。バールのようなものでぶん殴ろうにもスライム乳と一緒に1階に落ちてしまい武器はない。
結局、俺は娼婦に再び力負けしてその場に押し倒された。両腕を体の横に張り付けるように伸ばされ、床に大の字になって組み伏せられた俺。生まれて初めて女に押し倒されたけどまったく感動しない。さっきまで『カチンコチン』にいきり勃っていたチンコも恐怖ですっかりしぼんでしまって、皮の中に深く頭を埋めている。
茶髪ゾンビはそのまま俺に噛みつこうとしてきたが、俺はとっさに奴と俺の体の間に足を挟み、右足で顔を蹴る様に踏ん張る。
顔面に土足を押し当てられた茶髪は怒り狂い、俺のスニーカーに『がじがじ』噛みついてきた。
そのまま揉みあっていると、さっきの花瓶が振動でこちらに『コロコロ』転がって俺の頭にコンッて当たった。茶髪ゾンビが俺の足を齧るべく、両手を離した隙に拾い上げて全力でぶん殴ってやる。
俺の花瓶フルスイングを受けた茶髪はそのまま崩れるようにその場に倒れ込んだ。
倒れた女の下から這いずる様に抜け出して、明かりをつけ女を見た所、頭から血を出して動く気配はない。そうっと女に近づき、足の先でひっくり返して顔を見たが女神ではなかった。
俺は倒れて動かなくなった女をほっといて、奥の扉に向かった。
扉をコンコンとノックし、話しかける俺。
しばらく反応はなかったものの、2・3度続けると、中から女の声でゾンビの事を聞かれた。俺が『倒しました』って答えたら、物を動かす音。
そして開いた扉から現れた女性を見て、俺は雷に打たれたかのような感覚を覚えた。
その髪の毛はカラスの濡れ羽のように黒いショートヘアー。
肌はきめ細かいシルクのような潤いをたたえ。
豊かな双丘は黒いナイトドレスで柔らかく包まれており
その肩に寒さを紛らわすための薄い赤色のラビッドファーケープ。
「ショートたん!会いたかったお!!」
俺は嬉しさのあまり、挨拶がてら彼女に抱き着こうと両腕を伸ばした。
黒髪ショートたんはそんな俺の姿を見ると、素早くそばに置いてあった木刀を引っ掴んで上段に振りかぶった。
かつて行ったセクハラを思い出し、『ごめんなさい!』と謝りながら尻から倒れるように彼女の足元に這いつくばる俺。
そんな俺の姿を無視するかの如く、黒髪ショートたんの木刀は勢いよく振り降ろされたのだった。
⇒To Be Continued…
ブラックタイガーたちはここで合流させる予定だったけど
人気なさ過ぎたのでエキストラレベルでしか出ません
(´・ω・`)
俺のステータス
【基本職】ニート 【サブ職業】川漁師
腕力 28(弱い)
体力 24(弱い)
器用さ 15(貧弱)
敏捷 14(貧弱)
知力 65(やや高い)
精神 11(貧弱)
愛情 31(やや弱い)
魅力 18(貧弱)
生命 9(不変)
運 ??(算定のための経験が不足しています)
スキル
【高等教育】Lv.26
【不快様相】Lv.2
【鈍器術】 Lv.10
【盾術】Lv.13
持ち物
Eたぶんバールのようなもの(命名:エクスカリバール)
…攻撃+95(使用者能力不足により過小評価です)
Eスニーカー …敏捷+3
E一般人の服一式…魅力+3・体力+3
携帯水入れ
レッドアイの毛皮(中)
トルテ金貨(現代物)×4
報酬袋のボストンバック?
歪んだ鍋の蓋…防御+2