天神
正樹「キッチンの荷解き終わったよ」
美鈴「ありがと!こっちもちょうど終わったとこ!」
正樹「もう1時かー……一旦お昼にする?」
美鈴「そうだね、お腹すいちゃったよ。買いに行くのも面倒だし、宅配ピザでも頼んじゃう?」
正樹「そうだねー」
正樹「……あのさ、ちょっと話があるんだけど、いい?」
美鈴「え?どうしたの?」
正樹「うん……苗字なんだけどさ……やっぱり一緒にしない?」
美鈴「……えっ?」
美鈴「いやいやいやいやいや……散々話し合って別にしよって決めたじゃん!」
正樹「うん……そうなんだけどさ、やっぱり一緒がいいかなって……」
美鈴「いや……それなら昨日言ってよ!届け出したの昨日なんだから!なんで昨日言わなかったの?」
正樹「昨日は別でいいかなと思ったんだけど今朝起きたら急に迷い始めて……」
美鈴「何その優柔不断!覆すタイプの優柔不断1番面倒臭いわ!」
美鈴「はー……そんなに変えたいならあなた1人で役所行ってよ?」
正樹「え?」
美鈴「ん?」
正樹「いや、苗字変えるのは本人がいないとダメでしょ笑」
美鈴「え、ちょっと待って、私があなたに合わせるの?」
正樹「いや、そりゃそうでしょ笑」
美鈴「そのスタンスやめて、腹立つから」
美鈴「いやいや、流石に!流石にそれはおかしい!貴方が変えてよ!私は一緒でも別でも良いって言ってんだからそこはそっちが譲れよ!」
正樹「えー??でも合わせるなら僕の苗字に合わせた方が良くない?」
天神林美鈴「林と天神林なら絶対天神林残すだろ!!」
林正樹「えー、そうかなあ?」
美鈴「当たり前だろ!どこの世界に天神捨てるやついるんだよ!」
正樹「いや、苗字の話だから。書きやすい方が良くない?」
美鈴「良くない!絶対天神も書きたい!」
正樹「えー?大変じゃん。僕今まで林だけだったのに、これから天神分丸々ロスするじゃん」
美鈴「いや有り難がれよ天神を!というか、それなら別姓のままでいいじゃん」
正樹「いや、将来のこととか考えたらさ、やっぱり子供が気にするんじゃないかと思ってさ、小学生になった時とか、周りの子見て……」
美鈴「気にしねーよ!今どんだけ夫婦別姓の家庭増えてると思ってたんだ!それに、それこそ天神捨てて林にした母の正気を疑うだろ!」
正樹「いやそんなことないよ。むしろ若い頃のお母さん尖ってんなーカッケーって思うでしょ」
美鈴「小学生の時点でその価値観持ってる子を育ててく自信ないよ私」
正樹「ああ言えばこう言うなあ……ちょっと埒明かないし、一回お昼食べてから考えよ」
美鈴「なんで私が分からずやみたいになってんの?
……まあ確かにお腹すいたし、早くピザ頼も。Lサイズのハーフ&ハーフでいい?」
正樹「そうだね。種類いっぱいあって迷っちゃうなあ」
美鈴「あ、私これにしよ。『デラックスクォーターチーズ』」
正樹「……ンフッ」
美鈴「!? ……何?」
正樹「いや、いかにもだなと思って」
美鈴「何が!?」
正樹「なんかとりあえずゴテゴテしたもの頼むの、天神林っぽいなーって」
美鈴「は!?!?!?今それ関係ないでしょ!!!てか意味わかんないし!!!」
正樹「苗字と一緒でゴテゴテしてるのに惹かれるんだなって笑」
美鈴「コイツ……じゃああんたは何頼むのよ!どーせ林みたいなシンプルで面白みのないやつでしょうけど!」
正樹「そんな子供みたいなこと言って笑
ま、美鈴にはまだシンプルイズベストっていう大人の美学が分からないかな」
美鈴「腹立つ〜〜!そんな言うならあんたこれにしなさいよ!『マリナーラ』!なんも乗ってないシンプルなやつ!」
正樹「ああいいよ!マリナーラ大好きさ!」
美鈴「カッコつけやがって……デラックスクォーターチーズとマリナーラのハーフアンドハーフって、実質マルゲリータみたいなもんだろ!」
正樹「いやそんなことはないでしょ」
美鈴「…………そんなことはないよ!」
1時間後
美鈴「……あっ、さっぱりしてて美味しいかも……
ねぇ、なんでチーズの方ばっかり食べんの??」




