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禁書庫の模倣者~最強の力を抽出してみた~  作者: 鳥木野 望


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司書の日常と禁断の書

シルヒ王国は長い歴史を誇る大国だ、そんな国の首都には世界一巨大な知識の魔窟、シルヒ王立図書館が存在していた。

メメア・リカル、18歳。若くして国家一級司書の資格を取得し、この国で最も静謐で厳格な王立図書館の司書をしていた。

トサッ・・・小さな音が鳴り、書籍の整理をしていた手を止め顔を上げると、本日最初にして、恐らく最後の利用者であろう青年が、出て行ったところだった。

館内はメメアが働き始めてから変わらず穏やかな時間が流れていた、メメアはこの時間を愛していた、静かな空気、本の息づきの中、雑念を払い仕事に没頭する、仕事の最後には決まって、書架をめぐり、一冊の本を借りて帰路に着く。そんな日々を過ごしていた。

しかし、そんなメメアも最近は少しばかり不満を覚えていた。これほどの蔵書があり、毎日新たに出版される書物寄贈されて、日々増え続けているというのに、最近は特に利用者の減少傾向にある、理由は明白で昨今この王国では急激に娯楽文化が発達し始め、多くの遊興施設やコンテンツが増えてきているからだ。

はあ・・・。

その日は結局先ほどの利用者が最後となり、時刻は既に閉館の19時となっていた。メメアは少しばかりのやるせなさを感じながら、閉館作業を一人で行う。最近では館長も他の職員もやる気を見せず、さっさと帰ってしまうか、そもそも来ないことが多い。カーテンを閉め、鍵の施錠を確認し、万が一残っている利用者が居ないか確認を終え、最後に返却ボックスを確認する。

古びた木のボックスの中にはいくつかの本が重なっていて、それらを一つずつ取り出し、汚れや忘れ物が挟まって無いかチェックする、数冊の本の確認を終え、返却ボックスを覗くと底の方に明らかに雰囲気のおかしい怪しい本を発見する。

タイトルも著者名も一切無い。装丁は分厚い皮革で覆われ、艶のある漆黒と血のように赤い深紅の皮革が斜めに分かれたツートンカラーになっていて、境目にはパッチワークのような焼き模様で意匠が施されていた。当然の事だが、メメアが知るどの蔵書登録にも、こんな書物は存在しない。

(誰かのいたずらか?)

メメアはそんな風に考えていたが、しかしそれと同時にこの異様な雰囲気を放つ書物に知的好奇心が深くざわめくのを感じていた。

「これは……」

気づいたときにはその本に手を伸ばしていた、手が触れた瞬間、静電気が走り、指先が痺れた。

本を取り上げ、手に取った瞬間、周囲の空気が変わり、突然、深い闇の中に飲み込まれていた。


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