守護精霊統括 蒼き麗人
ウルたちが北の魔法石へ向かったころ
南の門でとある事件が起こっていた。
ガチャッと勢い良く扉が開き
「報告申し上げます!!」
「どうしたの?」
と、青い髪をなびかせながら振り返る1人の精霊がいた。
「セレス様、プレリュードの結界領域のギリギリの所に微弱ながら精霊の反応を感知しました!」
慌てて報告する彼は北、南、東、西の各所に設置されている探知系魔法を得意とする監視官の1人であり、その異常な事態を見過ごせずこうして報告しに来たのである。
「分かりました。あなたは門の憲兵にこの事を話、何があっても大丈夫なように準備するように伝えなさい。現場には私が向かいます。」
そう言い、立てかけてあった槍を手にし向かったのは
ウォーターベル家、現当主兼守護精霊を統括している
セレス・ウォーターベルである。
水と治癒の魔法を得意とし、水の派生である氷魔法をも使いこなす攻撃と支援に特化した精霊だ。
「やめて!やめてください!離して!!」
「大人しくしやがれ!」
「きゃあっ!だ、れか助け、て。」
「おい、さっさと運ぶぞ。」
2人がかりで幼い精霊の子供を精霊の加護領域内から連れ出そうとしていた。
「お待ちなさい!!貴方たち何をしているの!」
「やべっ!守護精霊だ。ずらかるぞ!」
「おい、でもいいのかよ!」
「仕方ねーよ、一旦帰ってあの方に報告するぞ。」
精霊の子を突き飛ばし、一目散に去っていく。
「うっ、うえーん。」
「待ちなさい!!」
そう言いつつ、精霊の子供に駆け寄り
「大丈夫ですの?怪我しているのね、待ってね。癒しよ」
「うっ、うぅ、、。ありがとう、お姉ちゃん。」
「大丈夫そうね、でもどうしてこんな所まで出てきてしまったの?」
「今日、お母さんが誕生日でここに咲いてるお花が綺麗だったからプレゼントしようと思ってお花摘みしてたら急に腕掴まれて、怖かった。」
「そうだったのね、でもここは結界の加護領域の端だから気を付けてね。魔物なんかも出ることあるから、私達もすぐ駆けつけられたり見ていたりするけどね。」
「うん。分かった。」
「じゃあ、街に戻りましょうね。お母さんも心配しているかもですし。」
南の門付近に戻ってきたセレスたちを見て、憲兵が駆け寄り
「大丈夫でしたか!?セレス様。」
「ええ、私は大丈夫ですわ。この子をお願いね。」
「では、私が。」
憲兵の1人が子供を連れ門の中に入っていき、すれ違うように奥から威厳のある男が出てき、セレスに話を聞く。
「セレスよ、何者仕業だったのだ?」
「っ!!お父様。人間でしたわ。あの子を連れていこうとしていました。」
「ふむ、人間がどうして精霊の子供を連れ去ろうとしていたのかは分からんが再びこういうことが起きてはいかん、今以上に彼らの動向に目を向け、警戒せよ。」
「はい。お任せ下さい。お父様」
すると
「っ!!これは。」
「西の街道の方だな。」
「凄い数の魔物の気配が急に。」
「あっちには彼女がおるだろうが一人で対処出来るか分からん。」
「私が向かいます。お父様はこちらの門の警戒をお願いしますわ。」
そう言うと西の門の方へ駆け出して行くセレスの姿があった。
拙い文章ですが読んでいただきありがとうございます。
次回以降の展開もお楽しみいただけるように頑張りますので
これからも応援よろしくお願いします。