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心を照らす  作者: サニー
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七 人間の本質

「自分は体はもちろん、心よりも超越した存在であることを自覚せよ。体も心も道具にすぎないのだ」

中村天風


私たち人間の本質、すなわち「これがなければ人間ではない」と言えるものは何でしょうか。まず思い浮かぶのは、ものを考えたり、喜びや悲しみを感じたりする「心」です。しかし、心は脳の働きによって生まれるため、脳がなくなれば心もなくなります。脳が体の一部であることを考えると、心が人間の本質とは言えないかもしれません。

人類がこれほど文明を発展させたのは、他の動物に比べて脳が発達したからです。そのおかげで、人間は比類のない知能を手に入れ、複雑な思考ができるようになりました。


では、心が人間の本質ではないとしたら、体が本質なのでしょうか。もしそうなら、人間は物体を維持するためだけに生きていることになります。しかし、それならば、なぜ人間は進化の過程で理性を身につけたのでしょうか。

理性があるからこそ、人間は善悪の判断ができます。もし人間がただの物体であれば、本能のままに遺伝子を残そうとする存在であるはずです。しかし、理性が持つ人間は、他人の悲しみに共感し、損をしてでも正義のために行動することができます。このようや人間の本質が、単なる物体とは思えません。

もし人間の本質がただの物体にすぎないのなら、人生の目的はただ生き続けることになり、そこに意味や救いを見出すことはできなくなります。人間が生きる意味は、単に長く生き延びることではないはずです。


人間がどのように誕生するのかを考えてみましょう。人間の体を作る材料は、その人が生まれる前から地球上に存在していたものです。新しい人間が生まれるとき、特別に新しい材料が生み出されるわけではなく、宇宙全体のエネルギーの総量は常に一定で変わりません。

宇宙の視点で見ると、人間の生死は、地球の細胞が入れ替わるようなものにすぎません。一人の人間の生死が地球全体に大きな影響を与えることはなく、地球の長い歴史からすれば、それはほんの一瞬の出来事です。

人間の一生の背後には、地球の長い歴史があり、さらにその背後には宇宙の長い歴史があります。同じように、一つの細胞の誕生と死には、その人の人生という背景があります。

もし一人の人間の生死が宇宙のエネルギーに何の影響も与えないのだとしたら、人間の本質は心や体を超えた、さらに大きな何かかもしれません。人間の細胞は、その人の人生がなければ成り立たないように、人間も、地球や宇宙の存在なしには、成り立たないのです。地球には、人類が誕生する以前にも多くの生物の歴史があり、生物が進化と絶滅を繰り返してきた結果として、人類が誕生したのです。


人間は宇宙から生まれ、やがて宇宙へと消えていきます。初期の宇宙は膨大なエネルギーで満たされていたため、その宇宙から生まれた人間の本質は、エネルギーであると言えるのではないでしょうか。この宇宙に存在するすべてのものは、無から生まれたエネルギーが形を変えたものにほかなりません。

宇宙と人間を同じ視点で考えるのは難しいかもしれませんが、地球上で人間の生死が繰り返されるように、人間の体内でも細胞の誕生と死が繰り返されています。同じように、宇宙では星の誕生と死が繰り返されています。規模は違いますが、根本的には同じ現象が起こっているのです。

地球上のあらゆる存在は、地球という大きな生命体を構成する細胞のようなものです。同じように、宇宙に存在するすべてのものも、宇宙という生命体を形作る細胞のようなものだと言えます。人間の体と細胞を切り離せないように、地球と人間、そして宇宙もまた、本質的には分けることができないのです。


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