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心を照らす  作者: サニー
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十一 人間の五要素

「魂は微妙にして、微小なる粒子から成り立ち、粒子は水の流性、雲、煙よりもはるかに徴細なり」

ルクレティウス


宇宙霊の一部である霊魂は、人の生命の根源となるエネルギーであり、そこに人格は存在しません。それなのに「心や体は霊魂の道具である」と言われると、違和感を覚えるかもしれません。そこで、もう少し心と体、そして霊魂について考えてみましょう。


あらゆるものを生み出し、動かすエネルギーそのものを「精気」といいます。人間の生命や活動もこの精気によって支えられており、精気がなければ生きることはできません。そして、生物に宿る精気を「霊」といい、それが動くことを「心」と呼ぶのです。

物質的な視点から見ると、心は脳の働きによって生じます。脳は神経を介して体の各部分とつながっています。心で思ったことは神経を通じて体へ伝わり、体で感じたことも神経を通じて脳へ送られます。このように心と体は神経を通じて密接に結びついてています。

一方、精神的な視点から見ると、心は精気の動きによって生じます。そして、この精気と心をつなぐ役割を果たすものが「魂」です。魂が精気を動かすことで、心が働き始めるのです。人間に宿る精気と、それを動かす魂を合わせたものを「霊魂」と呼びます。

馬車に例えると、馬が体、馬を操る御者が心、馬車に乗る客が精気にあたります。そして、御者が馬を操るために使う手綱が神経、客が御者に目的地を伝える声が魂の役割を果たします。客(精気)の声(魂)が御者(心)に行き先を伝え、御者は手綱(神経)を通じて馬(体)に指示を出し、馬車は目的地へと進んでいきます。客が目的地を伝えなければ、馬車はどこにも進めません。


人は困難に直面すると、理性では「進まなければならない」と考え、本能では「逃げたい」と感じます。この相反する感情が心の中でせめぎ合い、心や体にさまざまな不調を引き起こします。このようなときは、自分の本質は霊魂にあることを思い出し、魂を通じて気の流れを整えることで、心と体の暴走を制御しなければなりません。

体は本能的に苦しみから逃れようとし、心は理性的に立ち向かおうとします。これは、足場の悪さに馬が進むのを嫌がり、御者がそれに苛立つことに似ています。しかし、もし御者が馬の制御を放棄すれば、馬は引き返してしまい、馬車は正しい方向へ進めません。かといって、御者が冷静さを失い、無理に馬を走らせようとしても、うまく進めないでしょう。そんなときこそ、客が御者に声をかけ、冷静さを取り戻させる必要があります。困難に直面したとき、霊魂が心を導かなくてはならないのです。


霊魂は、どのような状況においても常に同じ態度を取ります。なぜなら、霊魂には善悪の概念がなく、常に宇宙の法則に従っているからです。そのため、霊魂は決して判断を誤りません。宇宙は常に完全を目指して進んでいます。だからこそ、霊魂は本能や理性が誤った道へ進もうとしたとき、正しい方向を示す道標となるのです。人が求める不変の存在は、実は常に自分の中にあるのです。


人間以外の動物は理性を持たないため、本能に従い、最も安易な道を選びます。しかし、人間は理性を持つがゆえに、あえて困難な道を選ぶことができます。その過程で本能と理性が葛藤することもありますが、霊魂は変わらず進むべき道を示してくれるので、人間は成長していくことができるのです。

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