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世界でも注目されている元プロゲーマーは、隣の幼馴染のせいでVTuberになる  作者: 白崎奏
1章 新参VTuber誕生

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第22話 クラッチ(?)

『あの建物の上にいます』


 endmが見つけた敵は、一階建ての建物の中にいるようだ。

 全面コンクリートで武器では壊せないようになっている。

 そして建物の屋上は安全地帯内で一番高いところなので、相手側が有利だろう。


 「どうする?」


 いくらエイムが良くても立場が不利では負けてしまう可能性があった。

 だから二人で敵の注意をひきつけながら戦いたい。

 相手は自分たちを見つけていないのでそれを活かしたい。


 『そうですね、blancさんのクラッチで頑張りましょう』


 ん?


 「どういうこと?」

 

 いまいち言葉の理解ができない。

 

 『一人で二人を倒してきてください』


 聞き間違いではなかったようだ。

 相手が立場有利を取った上での発案なんだろうが、ちょっときつい気がする。


 『えっとですね、

 blancさんなら弾を避けながら突撃すれば行けるんじゃないかと。

 屋上の敵の意識は私に向けておくので難しくはないと思います。』


 つまりはendmが時間を稼いで、その間に俺は一人倒す。

 そして倒されたことに気がついたもう一人が突撃するので

 それを倒すというわけだ。


 「ミスるかもしれないぞ?」


 『頑張ってください』

 

 endmには謎の自信があるようだ。

 白い流星は全員オーダーができるので、狂いはないと思うが心配にはなる。

 だが、彼女は頭がよくすべて計算しているのかと思ったので、


 「わかった。頼んだぞ」


 −きちゃー

 −来るぞ…

 −クリップ班準備しろ

 −すごい作戦だな

 −相手のスキンどこかで…

 −言われて見れば

 −まさか…



 まず自分がバレないように建物に近づく。

 そして、endmの銃声とともにスタートだ。




 endmのスナイパー音とともに動き出す。

 音が小さいとはいえ、わざと壁に当てたので音で相手は気がつくだろう。

 その後に響くemdmのアサルトライフルの銃声で足音を隠しながら進む。


 「いた!」


 建物が小さいのですぐに敵が見つかる。

 俺はサブマシンガンで戦う。

 すぐにもう一人が来てしまうので早く倒したい。

 何発か当たったのでショットガンに切り替えて打つ。

 自分が今持っているショットガンは

 一発ごとのクールタイ ムが短いかわりにダメージ量が少し少ない。


ただごり押しにはうってつけだ。


「やば!」


自分のエイムが悪く、あまり当たらなかった。

当然そのタイミングで相手は気が付いてしまった。


『銃声鳴らすので頑張って』


彼女がこんなオーダーするとは思わず、気が引けるが1人でやってみたい気持ちが大きかったのでもう少し頑張る。


「どうしようか」


相手の方が断然有利だ。

この状況で逆転勝ちするためにどうしたらいいのか。

そんな考え事をしている暇はなかった。


「危な!」


ギリギリダメージは入ってない。

けれどいくら避けられても数的には勝てない。

ならば一気にドカンとダメージを入れたい!


「行け、グレネード」


放射状に飛んだ爆弾は綺麗に建物の屋上へと上がった。

その間に自分は建物の中に入る。

もし、グレネードを落とされても食らわないようにするためだ。


『流石ですね』


どうやらほぼ、というよりグレネードだけでクラッチしてしまった。


ーうおおおおお

ーつよ

ーすげぇ

ー久々の無双だ

ー配信が久々だから仕方ない


どうやらコメントも盛り上がっているようだ。

だいたいクラッチは銃で決めるんだけどなぁとは思った。


『お疲れ様です』


endmはキル数でマウントというのを取らず、そして1キル毎に褒めてくれるので本当にやさしすぎる。

だから毎度高校生なのか疑ってしまう。


「ありがとう。そろそろ終わるか」


時間も時間なので終わった方がいい。


『そうですね。』


「というわけで終わります。見てくれてありがとー」


ー次はいつなのか

ー来週期待

ーおつー

ーまたやってね



配信を切り終えたのを確認して、ボイチャ内も切ろうとしていた。

「今日はありがと。またやろうな」


『あの、もうすぐ大会があるんですけど…その…』


珍しくendmが言葉を必死に繋いでいる。


『待ってますから』


その言葉と同時に声が切れた。



「大会、か…」




「…ごめん」


昔蓋をしたはずの記憶が蘇るような気がして、急いで立ち上がった。


もうあれから1年半前だ。

あの頃から何も変わってないな…


何とも言えない、


作り上げたはずの性格がまた壊される。

そんな気がした。

 


「さっさと寝よ…」


寝れば忘れると信じた。

それだけだ。

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