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世界でも注目されている元プロゲーマーは、隣の幼馴染のせいでVTuberになる  作者: 白崎奏
4章 二度目の夢を追いかけて

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第138話 latent kingdomⅢ

『なんですかあれ!?』


ーやっば

ー前と後ろからはえぐい

ーあれ回避方法とかあるの

ーあんのかあれ

ー無さそう

ーでも耐えるのもきつくね?

ー技も使ったし


「流石にやばいっすね。」


なんやかんや神威戦は理論上避けれるものが多かった。

だが今回は違った。


まず避けれる?という質問に素直に頷けないのだ。

ほぼ確定でダメージが当たると認識した方が早いかもしれない。


『どうする?やる?』


「時間もいいとこだしな…あと1回やるかぁ」


正直あそこを対処できるというよりは、あそこまでたどり着けたらいいだろう。

ただ、1つだけ面白い案があった。


「次のみなの加護の時、俺もその中に入ります」


ーそうか入れるのか

ーお~

ーあり

ー確かにこれなら回避使わず行ける


正直、これが対処法になる気はしない。

どちらかと言えばその場しのぎで、また攻略するなら考えないとな。





『洗礼の加護!!』


みなが出したフィールド内に俺も入る。

これで何とか俺も耐えられた。


「よし、こっから頑張るか」


まずは高速戦。

レセルスは地上戦に持ち込み片手に持つ剣をふるう。

これに俺は素早く反応する。


ダメージを与えるというよりはここを耐えれるかが鬼門になってきそうだ。



『こっからです…』



いよいよ俺らにとって高い壁が現れた。

レセルスの周りに浮く幾千の剣が俺らの方向へ向く。


自機狙いのその剣で、みなはあっさり死ぬ。

これはまだ計算通り。


「さて…」


俺が避けつつ走ったその先には、1人の少女。


レセルスが立っている。


《始めよう。断罪を》


彼女は今までにないほどの高速で俺に詰めてくる。

彼女が剣を振るうまでの一瞬の間に


「回避!」


回避盾最強の技を発動する。



俺の作戦は見事に的中し、フェーズを乗り越えた。

俺の後ろに付けていた剣が、レセルスの前でピタリと止まり消えていった。


「こっから初見か…」


正直みなが死んでいるのは仕方ない。

正直この先乗り越える気はなく、ただ先が見たい。


《ほう。流石に生きるか。だがここからはどうだ?》


レセルスはジャンプした。

その拍子に彼女の背からは翼が生え、上の方へ飛んで行った。


《陸が無理なら空からやってやろう。》


正直、上からならせいぜい剣を降らせるくらいなんじゃないかと思った。

けれど想像の斜め上だった。



「は?」


俺は危機感を感じ、急いで目の前に片手剣を用意した。

すると瞬きする間に彼女は俺の方へ詰めてきたのだ。

俺が気合いで振り払うとそのまま上に戻っていく。


「きちい」


当然回避盾に翼が生えるわけがなく、下で待機するしかなかった。


『やばいですね…』


レセルスが急速に詰めてくるので俺は急いでカバーをしないといけない。

けれど視認するスピードを越えているので、勘でカバーしないといけない場面が多々あった。


「やべえ」


ちょっとでも反応が遅れるだけで、HPが丸ごと持ってかれそうだった。


だが、どんどん攻撃は速くなっていき、次第に追い付くか怪しいようになった。

移動することで、相手の移動時間で時間を稼いでなんとかしのいでいると、レセルスは動きを止めた。







《幾千の光が剣をともす》


彼女は剣を持った。


《これは未知に在る輝きとともに》


剣の先は輝きだし、今までに広がっていた赤は徐々に見えなくなる。


《光もまた、裏では闇が広がる》


その剣の奥では少しずつブラックホールのようなものが作られる。


《輝きもまた、裏で暗黒が広がる》


そしてそのブラックホールの前にレセルスは立った。


《絶望は希望に反し、ただ暗闇をさまようのみ》


ただ一本の剣、それが彼女の手から離れ、


《その絶望へ案内してやろう》


矛先が向く。



『やばくないっすか…?』


「やばいかもしれない。」


輝きだした光で俺は彼女の姿が見えない。

ただ、シルエットが黒く染まっているのだが、剣が俺の方へ向いているのだけ分かる。



《散れ》




この声一言で、俺は耳鳴りを感じる。

今までにない危機感だった。

ゲーム内の出来事が現実世界にも影響するのかと思うくらい。



俺が片手剣を構えた時、すでに剣に身体を抜かれていた。



------------------------------------------------------------------

「いや無理だろあれ」


ー早すぎる

ー何も見えんかった

ーバケモン

ー早すぎて視認できん

ー気が付いたらやられてる


『でも結構進んだんじゃないですか?』


ー一応一番進んではいる

ーただこっからどんだけあるかなんだよな

ーHPゲージも全然減らないし

ー詰める余地ありそう


「これはもっと人を集めて、作戦を考えないとな」


ラスカさんも呼んでやろうと思っていると、


『latent kingdom…流石にやばいですね。舐めてました』


正直それは俺もだった。

ゲームという箱の中で出来ることというのは限られている。


だが今回、一応クリア可能ということは、何か裏があるんだろう。



『これはまたやりたいですね』


「そうだな…また呼ぶわ」


今度はもっと大人数でやりたい。

今回のミッションはソロ限定ではない。

最大4人で行けるので結構作戦の幅は広がりそうだ。



「というわけで終わるか~。なんか告知ある?」


『あ!一つ良いですか?』


どうぞと言わんばかりに俺は黙った。


『えっと、シングル曲が明後日リリースされます!配信するのでぜひ来てね!』


「シングル曲!?」


ーうおおおお

ーシングルありがた

ーすげええ

ー次元が違う

ーネスイも歌えばいいのにー


『実はもうすぐ3周年なんです!だから記念に出そうと思いました!』


もう3年もやってるなんて…大先輩だなとか思いつつ、


「俺も歌ってみたみたいなの出そうかな」


とポロリと言ってしまった。


ーきたあああ

ーありがとうございます

ーやったぜ

ーこれは確定きた

ーktkr


「あ、まずい」


『頑張ってください!もしもの時はまた相談乗りますよ!』


『あ、今度Arkenの人いっぱい集まる配信があるんですけどゲストで来ません?』


「はい?」


ー????????

ー意味分からんくて草

ー流石に謎


「それ大丈夫なんですか…?」


流石にこんなとこで気軽にはいとは言えない。

これでも別企業なのだ。


『あ、大丈夫っすよ。社長が呼びたいらしいので』


「社長さんなにしてんすか」


ー草

ー草

ーがち草

ー意味分からん


「まあArkenとは関わってみたいけどその配信は行けないかなー」


それこそ炎上ラインギリギリだ。

流石に燃えるようなことに進んでいくほど馬鹿じゃない。


『ざんねーん。私の後輩をよろしくね』


「あ、はい」


『というわけで配信終わり!お疲れ~』


「おつねす~」


ーおつ

ーおつねす~

ーこれは確定頂いたわ

ーありがてええ

ーおつねす!

ー次も楽しみ

ーネスイ推そうかな

ー↑ありがとう


なんとか緊張した別企業の方との配信が終わった。

latent kingdomをクリアできないのは若干心残りではある。

だからもう少ししたらちゃんとクリアするために頑張ろうかな。



でもその前に復帰しないと…。



色々課題が積もってきたな…そう感じた。


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