表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様を撃ち堕としたいけれど!  作者: 砂原翠
あなたの偶像を壊したい
16/28

友情2

 昼時を少し過ぎたファミレスに入ると、まばらに入った客がめいめいに談笑している。日当たりのいい窓際の通路の突き当りに、紫亜が座るテーブルがあった。

「ごめん、待った?」

 紫亜の向かいのシートに腰を下ろすと、彼女が軽く首を振った。私たちはドリンクバーを注文し、私はメロンソーダを、紫亜はアセロラジュースを注いだグラスを手に再び向かい合った。

 グラスに浮いた水滴を指先でなぞりながら、紫亜は口を開いた。

「澪はあたしじゃ駄目なんでしょ」

 私は焦って身をのりだした。

「駄目なんかじゃないよ。私には紫亜も慶も必要なだけ。それだけだよ」

 紫亜の爪は大粒の水滴をのせ、透明に光った。

「だって、あたしには澪のこと、本当には分かってあげられなかった」

 私はグラスを握っていた手を離し、湿った手を握り込んだ。

「違う。私が紫亜との間に線を引いてたの。紫亜は私と違うから、きっと分かりっこないって最初から諦めてた。私が紫亜から逃げてたの」

 私は紫亜の方へ手を伸ばした。濡れた肌の温度が混じり合う。

「……あたし、澪のこと本当に好きで、同じクラスになれて、友達になれて、本当に嬉しくて……」

「うん。ありがとう」

「澪、何も分かってないでしょ」

 紫亜が大きな瞳を瞬かせた。白目の縁が薄紅に染まり、下睫毛に光がわだかまる。私は紫亜と指を絡め、二人の手のひらを合わせた。

「そんなことないよ。私も紫亜のこと好き」

「嘘。絶対伝わってない」

 頑なな彼女の心をほぐすように、私は繋いだ手をゆったりと揺らした。

「私ね、紫亜のこと羨ましかったの。わざとじゃないのに、私いつも自分を偽ってるような気分でさ。紫亜は自分に嘘を吐かないでしょ」

 盛り上がった光の膜が決壊し、紫亜の頬に透明の筋を引く。

「それは……あたしのこと好きってこと?」

「だからそう言ってるじゃん」

 思わず私が笑うと、つられて紫亜も相好を崩した。笑っているのに、水晶玉のような紫亜の双眸からは光の粒が次々に零れ落ちる。私たちは注文したスイーツで腹を満たすと、カラオケに入って滅茶苦茶に歌った。呼び出した侑真と暁人も合流して、笑い疲れて涙が出るほど歌い明かした。

拙作をお読みくださり、ありがとうございます。

続きが気になる方は、ぜひブックマークをお願いします。

また、少しでも心に残りましたら、ページ下部にある評価欄を

☆☆☆☆☆→★★★★★のように色を変えて評価していただけると、とても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ