邂逅、ティス・ギルシア
【サイド:高峰七ノ花】
「…そ、その、大丈夫…?」
まだビックリ困惑継続中の亜麻色少女に、人見知りのフリューがビクビクしながら話し掛ける。
その一言にハッ!となり、ギュンッ!と音がなりそうな勢いでお辞儀してくる亜麻色少女。勢いが強すぎてフリューがさらにビクついている。
「ごめんなさいビックリしてました!助けてくれてありがとうございます!」
「ぇあ、うん、どういたしまして…?」
「いや〜ホントに助かりました〜…!どうすれば良いか全然分かんなくて、泣いちゃうところでした!
あ、あたし、ティス・ギルシアと申します!」
「あ、私は、フリュー・ケルニトス…です」
「フリューさんですね!さっきはホントにありがとうございました、どうぞよろしくお願いします!」
そう言ってフリューの手を握ってくるティス。可愛らしい女の子かと思いきや突風の様な女子だ。勢いが強すぎてフリューが吹き飛んでいきそうになっている。
しかし、この子はフリューが名乗ってからも引いた様子が無い。この子はケルニトス家の噂は聞いていないのだろうか?この調子だと知っていても関係なさそうだけど。
「フリューさんって何年生ですか?あたし一年なんですけど」
「ぁ、私も一年生だから、敬語とかさん付けとか、大丈夫…」
「ほんとですか、嬉しい!というか同い年なのにあのご令嬢様達割って助けてくれたの!?カッコイイ!」
「助けたのは、私じゃないというか、なんというか…」
ギリギリ聞こえない声量でボヤいたフリュー。高峰七ノ花が助けたのに、フリューが褒められるのは抵抗がある、というのは分からないでもない。
しかしフリューの事を最優先している私に選択権があれば、申し訳ないが恐らく見て見ぬふりをしていたところだ。後で沢山褒めてあげよう。
「そういえば、フリューちゃんはなんでここに?ここってあんまり生徒さんは来ないところだと思ってたけど」
「えっと、実は今、植物について調べてるの。実在するかどうかも分からないけど…」
「?何かの物語に出てくるような植物ってこと?あたしお薬を作るために植物の事とかお勉強してるから、ちょっとなら分かる!助けてくれたお礼にバンバン答えるよ!」
「ぁ、いや、そういうわけじゃないんだけど…あれば嬉しいなっていうか…」
これは昨日も見た、隠し事が下手なフリューちゃんだ。関係のない人にどこまで話していいのか分からないのだろう。
『フリュー、魔力が多い場所でしか育たない植物が無いか聞いてもらえる?』
「! えっと、ティス、ちゃん…?魔力が多い場所でしか育たない植物ってある…?」
「う〜ん、多い場所でしか育たない、かぁ…。ダンジョン内でしか確認されてない植物とかかなぁ?そういうところのはあたしまだ勉強仕切れてないけど…
…あ、そうだ、ある、あるよ!その条件でうちで取り扱ってる植物!森の奥地は魔力多いところだもんね」
おぉ、なんとあるらしい。情けは人の為ならず、フリューの優しさが早速話を良い方向に動かしてくれた。
「それ、なんて名前?」
「名前はリカル草だね。あたしのお父さんが研究してる、ポーションの材料だよ!」
この世界にはポーションもあるらしい。元の世界で、ポーション再現してみた!みたいな食べ物を見たことがあるが、まさか実際に味わえる日が来るとは…。