第85装 ナダ流恋愛流儀
【リンシア視点】
災禍の出現を察知した私とユズカちゃんは現場へ直行することに。
「ああもうっ、せっかくリンシアさんに『ふろくっせぇ』教えてもらうとこだったのぃ」
「ユズカちゃん、『フリカッセ』だからね?食べ物に『くっせぇ』はダメだよ?」
転生時に貰ってチートで喋れるし話せるけど万能じゃないんだよなぁ。
何かナギさんも言ってたけど確かに発音とかが微妙に違う。
だからこういう変な聞き間違いも発生しちゃうんだよねぇ。
「ところでユズカちゃんは、どうするつもりなの?オージェ君からの告白」
「うえぇっ!?うえぇぇぇぇ!!?」
ユズカちゃんはわかりやすいくらい動揺して小石に躓いたり木箱に激突したりしてしまう。
「えーと、何かごめん……」
この子、結構ウブなんだよねぇ。
「その、あたしは、その……いいのかなぁ……あたしみたいなので。女の子らしくしなさいっていつもお母様に怒られてる様な娘だし」
走りながら何だかしょんぼりしはじめる。
ここ数日、この娘の意外な一面が観察出来て私は大満足です。ありがとうございます!!
「でも、オージェ君はユズカちゃんが好きだからキスしたんじゃないの?」
「キ、キッス……」
ユズカちゃんが顔を真っ赤に染める。
ああもう、かわいいなぁ。むしろ好きじゃないとか本気じゃないとかでこの子泣かせたら私は許さないぞオージェ君。
「あっ、オージェ君……と+α」
ふと、私はゴリラみたいな災禍魔人に追いかけられているオージェ君とその他1名を発見する。
うーん、やっぱ相変わらずインパクト強いなぁ災禍魔人。
何かこの前のネメシスがものすごく普通の悪役に見えるんだよね。
そんな中、ゴリラ型の魔人が鉄球を二人目掛け投げる。
元居た世界のゴリラは好きなメスに糞を投げると聞いた事があるけどこっちのゴリラは鉄球を投げるのかぁ。
「危ないっ!!」
地面を蹴り飛び込んでいったユズカちゃんが鉄球を蹴り飛ばす。
そして『聖女風車落とし』なる技で相手の身体を地面に叩きつける。
「よっし!!」
ユズカちゃんは一度魔人から離れ構えを取る。
だが……
「ユ、ユズカちゃん」
「うぇっ!!!?」
ユズカちゃんは背後からオージェ君に声をかけられ露骨に動揺を始めた。
「オ。オオオオオオオオオオージェ君。えっと……その……あぅ」
顔を真っ赤にしてもじもじとし始めるユズカちゃん。
「あ、あのさこの前の事なんだけど。俺」
「ま、待って!ダメだよ。オージェ君が勇気を出してくれたのにあたしきちんと答えてなくて……これ以上カッコ悪い真似させらんないよ」
ああ、やっぱりユズカちゃんもナダ女だから男からの告白はどっちかというとカッコ悪い部類に入るんだ。
ユズカちゃんは深呼吸をしながら気持ちを落ち着ける。そして改めて向き直り、オージェ君と向き合う。
「あたしにとってオージェ君はお兄様の親友。優しくて楽しいお兄ちゃんみたいな人だったの。でもオージェ君の存在が段々とあたしの中で大きくなっていくのを感じた。それで、その……キ、キッスされてから何ていうかびっくりしたけど嫌じゃなかったし、むしろ嬉しいっていうか……」
顔を真っ赤にしながらモジモジするユズカちゃん。
あと一歩!もう一歩ぉぉぉ!!!
「だ、だからこんなおてんば娘だけどその、あたしもオージェ君の隣に……い、居させてください」
言ったぁぁぁぁぁぁ!!!
ユズカちゃんが遂に言い切ったぁぁぁ!!! やったね!おめでとう!ついに二人の想いが通じたよ!
「……ありがとうユズカちゃん」
駆け寄ったオージェ君はそのままユズカちゃんを抱き寄せると優しくキスをした。
「んむっ!」
一瞬驚いた顔をしたもののすぐにトロンとした表情になるユズカちゃん。
ってえぇぇぇぇぇぇぇl!!?街中だよぉぉぉっ!!?
ふと横でアル君が涙ぐむ姿が目に映った。
「ううっ、オージェのやつ。無茶苦茶カッコいい真似しやがるじゃねぇか」
えーと……何だろう。どうもこれはイケてるムーブらしい。
今日はタイガ君いないからなぁ。仕方ない。
「えーと、解説プリーズ」
「いや、告白されたらキスで返すのがナダ男の流儀ってやつでな。それを災禍フィールド内とは言え街中でやっちまったわけだ。あいつも漢だぜ」
うーん、ナダ人の流儀よくわかんないなぁ。
日本人に近い感性を持っていたりもするけど恋愛観はやっぱ違うんだよねぇ。
「あのユズカが、あのおてんばが遂に……ぐす、よかったなユズカぁ」
それでこの男はシスコンだったの忘れてたわ。
「イケメンが!私のイケメンがぁぁぁ!!!」
うっかり忘れてたけど災禍魔人が居たよね。
ゴリラ型の災禍魔人が起き上がるとユズカちゃん目掛け飛びかかる。
「この人は……あたしの大切な人だよっ!!!」」
飛天フォームにチェンジしたユズカちゃんが魔人を空中へ蹴り上げ追随。
そのまま何度も蹴りを入れ上へ上へと運んでいく。
そして顎に足をかけ体重をかけながら落下してきた。
「スカイフォールフェイスクラッシャーッッッ!!!」
頭から地面に叩きつけた魔人がビクッと体をけいれんさせ崩れ落ちた。
オージェ君が何処からか取り出したゴングを鳴らし、戦闘の終了を告げる。
VS魔人ラブパン〇 (スカイフォールフェイスクラッシャー)




