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第77装 ユズカ、大いにパニくる

【ユズカ視点】


 冒険者ギルドの傍にある青銅の像。

 あたしはそこを待ち合わせ場所にしてある人を待っていた。


「か、髪型おかしくないかな?」


 そわそわと落ち着かない様子で、何度も自分の髪を気にする。

 普段はポニーテールでひとつにまとめているから、今日は下ろしてみた。

 うん、こうしてみるとあたしってやっぱりお母様によく似てるんだなぁ。


「大丈夫よね? 変じゃないわよね?」


 不安になって、つい鏡を見てしまう。

 こんな格好をするのは本当に久しぶりなので、なんだか緊張してしまう。

 いやいや落ち着こう。別にデートをするわけじゃ無い。

 昔からの知り合いの男性とお祭りを回るだけだ。

 そう。それだけ………あれ、それって世間一般ではデートって言うんじゃ……。


「ち、違う! そんなんじゃない!」


 ぶんぶんと頭を振って、おかしな考えを吹き飛ばす。

 これはただのお出かけだ。だから何もやましいことなんてない。

 小さい頃から知っている年上のお兄さん。それだけ!!


「ごめんね、ユズカちゃん。待ったかい?」


 その時、待ち合わせをしていた人がやって来た。

 お兄様の親友であるオージェ君はいつも通り女の子の様に長い髪をツインテールにしている。

 ただ着ている服は女の子のものでなくきっちりしたナダジャケットだった。

 嘘っ!とんでもなくカッコいいんだけど!?

 この人、こんなイケメンだったっけ!!? 


「だ、大丈夫。あたしも今来たところだから」


 ドキドキする胸を押さえながら、なるべく平静を装って答える。

 いや待て!何でドキドキしてるの!!だってオージェ君は昔からよく遊んでくれた人だよ!?

 お兄様の親友だよ!!?


「それなら良かったよ。それにしても……」


 そこで言葉を切って、じっとあたしを見つめるオージェ君。

 な、何?あたしの顔になんかついてる?


「その格好、凄く可愛いね」


 そう言ってにこりと笑うオージェ君。

 瞬間、あたしの体温が一気に上がった気がした。

 え、ちょっと待って。待って待って待って!

 いつの間にかあたしシバリングした!?熱発生させたの!!?


「あ、あの、ど、どうも…ごっつぁんです!!」


 待てぇぇぇ!何だ今の変な挨拶はぁ!!!

 自分でも意味分かんないこと言ってる自覚はあるけど、それでも意味不明すぎるぅ!!

 そもそもこの思考がもう意味不明だよぉォ!!!


「あはは、何それ。面白いなぁ」


 だがそんなあたしに嫌な顔一つせず、笑顔で返してくれるオージェ君。

 うぅ……優しい………これが年上の余裕!?


「それじゃあ行こうか、ユズカちゃん」

 

 言うとオージェ君が手を差し出してきた。

 えぇぇぇぇぇぇっっ!!?

 そ、それはつまり手を繋ごうって事ですかい!?

 いきなりぐっと詰めて来たぁぁぁ!!!


 いや待てあたし。何を驚いているの?だって小さい頃なんかよく手を繋いでもらってたじゃん。

 そう!これは至って普通の事なのよ。ふ・つ・う!!

 彼は女性をエスコートしている紳士なだけで……待って。つまりあたし女の子として見られてるって事だよね!?

 あーいや、女の子ではあるんだけどさ……


「う、うん。行こうか!」


 差し出された手に自分の手を重ねる。

 あ、あれ……?何だかすっごく恥ずかしいぞ?これぇ……いやいや、きっと気のせいよ。

 ていうかオージェ君、さり気なく手が大きいし温かい。それに何だろう?ちょっとゴツゴツしてる? 男の人の手って感じで、何かちょっとカッコいいかも。

 ……ってだからあたしはさっきから何を考えているんだぁぁっっ!!!あぁもう!さっきから思考がぐちゃぐちゃでまとまらないよぉぉっ!!

 結局あたしはその後、まともに喋ることもできずに、オージェ君に手を引かれて俯きながらタンゴーノセークのお祭り会場へと入って行ったのだった。

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