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第73装 デート開始

ようやくリンシアとタイガの絡みが始まったぁ

【リンシア視点】


「やだー、こんな格好、ボク絶対嫌なり!!」


 何やら騒がしい。

 見ればドレス姿のベルちゃんがへたりこんでいた。


「ベルちゃんどうしたの?」


「ああっ、お姉ちゃん。これ何とかして!!」


 助けを求められるも状況がつかめない。

 するとクリスさんがウキウキした様子でやって来る。

 あっ、これ悪いこと考えてる時の顔だ。

 確信犯で色々やらかすのはナギさんが一番だが次いでクリスさんも色々する。


「えーと、これはどういう事ですか、えーと……『母さん』」


 やっぱりまだ慣れないなぁ。


「ふふっ、この間の戦いで動員した冒険者さんでモンスター討伐ポイントが戦った人との握手会なのよ」


「えーと……」


 どうやら冒険者を動員する際、スコアに応じて色々な特典を付けたらしい。

 大体は受付嬢との握手とか写真撮影とかなんだけど、その中に『母さん』はしれっとベルちゃんとの握手とかも混ぜていた。

 というか何だろう。システム的には凄く悪質な商売っぽいんだけど……


「お母さん、ボクこんな格好で男の人と握手とか嫌だよぉ」


「だってそうでもしなきゃ男性との接点も無いでしょ?それに、握手会に参加するのは髑髏魔獣を最低15体は討伐した猛者。ベルと相性はいい気がするの」


「そんなの知らないよぉ。男の人は苦手!!」


 意外にもベルちゃんは男の人が苦手なのよね。


「お母さんもあなたくらいの歳でとお父さんの奥さんになる事を決意して色々頑張り始めたの。という事で早くない!」


 14歳で決意してたんだ。

 そういや結婚したのって17歳だっけ……思いきりがすごい!!


「嫌―ッ!ボク、お母さんみたいにさっさと結婚とか嫌だもん。程々の所で適当な人見つけたらそれでいいもん!お姉ちゃんからも何か言ってぇぇぇ」


 えぇ……そう言われても何というか……

 うーん、私というか主人格だった凛香の経験から言わせてもらうとさ。


「まあ、男の人に慣れとくくらいはいいんじゃないかな」


「ええーーーっ!!?」


「大丈夫よ。もし相手が握手以上の事をしようとしたら、『投げて』いいから」


 まあ、自衛という点から言えばそうだよね。

 ベルちゃんって合気道みたいな事出来るから何だかんだで大丈夫な気がする。


「リンシア。今日はタイガとアレでしょ?」


「あっ、はい……」


 そう、今日はタイガ君の誕生日という事でデートをすることになったのだ。

 何か美味しい料理でもとかも考えたが女性陣からの強い勧めでこうなった。


「舌を絡めるまでは大丈夫だと思うの。頑張ってね」


「しませんっ!!」


 13歳の少年とはダメでしょ!!

 それはもう、世間は許しちゃくれ……あー、いやこの国って何だかんだで緩いとこあるから大丈夫そうではある。

 でもしません!節度ある清く正しいお付き合いです!!


「ああっ、そうだ。ボク、お姉ちゃんを見守るという重大な任務が」


「はいはい、行きますよー」


 クリスさんはベルちゃんの首根っこを掴み引きずっていく。

 何て強い……流石はレム家の嫁……


「握手会かぁ。楽しそうだなぁ」


 横でビーフジャーキーっぽい何かを摘まみながらユズカちゃんが呟く。


「ユズカちゃんってそういうの好きなの?」


「だって髑髏魔獣をたくさん倒した人と力比べでしょ?」


 うん。違う。

 多分ユズカちゃんのイメージは腕相撲大会的な何かかな。


「それじゃあ、あたしも出かけてくるね」


「ユズカちゃん、何処か行くの?」


「あ、うん。ちょっとね」


 何やらはぐらかす様な感じ。

 ちょっぴり気になるけど今はとりあえず目の前の試練、正式にリンシアとなった私初の偉業に集中しないと。


「お姉ちゃん、お兄ちゃんから聞き出してきた好みっぽい服、幾つかピックアップしてきたよ」


 マリィちゃんが目を輝かせながらやってくる。

 後ろでナギさんが微笑んでいるのが微妙に怖いんだけど…… 


「うん、これは……無いかな」


 マリィちゃんが持ってきた服のひとつはいわゆる『体操服』というやつだった。

 いや、ちょっと常識的に考えてこれでデートはねぇ。

 ふと、視界を動かすとタイガ君が真っ赤な顔でこちらをじっと見つめていた。


「タイガ君、何処見てるのかな?」


 タイガ君の視線は私の太もも辺りに注がれている。


「え、いや、その……」


「ちょっとお母さんを交えて話しようか」


「それだけは勘弁してください」


 慌てて引っ込んでいくタイガ君。

 まあ、当然の如くこれは没だね。


 そんな中、ホマレさんが通りかかり私を見る。


「リンシア、その格好は……」


「あっ、えーとこれは……」


「あのさ、ナギ。後でこういうの久々に着てるとこみたいなぁ、とか……」


 鼻の辺りを押さえ何やら提案している。


「うーん。流石に歳がねー」


 似たもの親子だぁ!!

 タイガ君の性癖は絶対お父さんから受け継がれているよ!!

 ナギさん、若い頃こういうの着てたの!?


□□


 結局すったもんだの末、いつもと同じような服で行く事に。


「髪型良し、服の着こなし良し、お財布良し」


 ひとつひとつ指さし確認を

 そして最後に隣にいるタイガ君を確認。


「タイガ君良し」 


「いや、俺と出かけるんだから俺を忘れることは流石に無いで……とは言い切れないか……」


 そういう事だよね。

 思い込みは足元をすくわれる。

 タイガ君を忘れて出かけて道に迷うくらいの事、私ならやりかねないから。


 というわけで私とタイガ君の初デートが始まるのだった。

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