第68装 次女とのティータイム
うーん、短いィィ。
【リンシア視点】
リビングでコーヒーを飲みながら一休み。
最初はこの世界にもコーヒーってあるんだぁと思っていたらちょっと違う。
色とかはおおむねコーヒーなんだけど香りが強く体が温まる。
私が居た世界と違いこちらのコーヒー豆は寒冷地で栽培するものらしい。
「やぁ、いいかな?」
そう言って返事も聞かず向かいに腰を下ろしたのは次女のカノンちゃん。
「返事は聞いてないけど断られる事は無いと思ってね。だから効率よくさせてもらったよ」
ははっ、効率かぁ。カノンちゃんらしい。
彼女はレモンスライスを浮かべた紅茶を皿に置き何やら赤い物体を摘まんでいた。
「あのさ、カノンちゃん。その、摘んでるのって……」
「チリチキンだよ。食べる?」
「いや、いい……」
この娘も肉をおやつ代わりに摘むんだよなぁ。
レモンティーとチキンの組み合わせって………
「本当にお肉好きだよね」
「肉には疲労回復を促す成分が豊富に含まれているからね。健康な肉体を作るには必要な食べ物さ」
「野菜も食べなきゃダメだよ」
「無論、理解はしているさ。だが肉の方が好き、ただそれだけだよ」
ガチの意味で肉食女子なんだよな、この家の娘。
「ふふっ、何だか『姉さん』って感じがするよ」
「カノンちゃんはさ、私が急にお姉さんになって困惑とかしないの?」
「ストレートに聞くね。ナダ人というのは血の繋がりでなく『家族』という繋がりを重視する民族だからね。だから別に困惑はしないよ」
だから割と一夫多妻が成立しているんだよね……
だって、母親達って元は他人だもんね。よく考えたらすごいことだよ。
「あなたみたいな姉が欲しかったしね」
「ユズカちゃんは?」
「ユズ姉は勿論姉だよ。ただ、二人並ぶと私の方が姉に見られることも少なくないんだ。それにどこか子どもっぽいからさ。まあ、あれがユズ姉の良い所だけど」
確かになぁ。ユズカちゃん自由だからなぁ。
「落ち着いた年上な姉というのもいいね」
まあ、5年以内に誕生した人格とはいえベースになっているのが元ミドサーだからなぁ。
人格統合により凛香の経験とかも入って来てるしますます本来17歳のリンシアから離れてる気がするなぁ。
というか結局リンシアとの情報リンクが中途半端なままなんで相変わらずこの世界の事で驚かされてばかりだよ。
「ところでリン姉は……いつタイガと交尾するんだい」
「ぶっっ!!!」
思わずコーヒーを噴き出した。
この娘は涼しい顔でなんてことを!!!
「あ、あのね。彼はまだ12歳だよ!?」
「だがあなたは17歳だ。子孫繁栄という観点からすると今頃から始めても早すぎることはないと思うが」
「あのねぇ、だからタイガ君に手を出すとそれは法に触れるの!!」
「なるほど、つまり法に触れなくなったら即座というわけか」
「……カノンちゃん、女の子がそんなこと言わないの!慎みを持ちなさいってお母さんに教わっていないの?」
「…………言われた気がする」
良かった!ナギさんきちんと教育してたよ!!
ごめんなさい、一瞬教えてないかもって疑いました。
「だいたいね、そういうのは特定の年齢になったからはいしましょう!じゃないの。こうそこまでにいろいろなステップがあるものなんだよ?」
偉そうなことを言っているが実は恋愛経験ないんだよねぇ。
主人格だった凛香の経験なんかは記憶にあるけどさ……
「カノンちゃんはどうなの?そういう恋愛的な経験は」
「うーん、時折男子に告白はされるね」
おおっ、やっぱりモテるんだ。
「ダサいのと面倒なのとで毎回断っているけどね」
ああ、そうか。
この国じゃ男性からの告白はNGな価値観だったっけ。
一応、ダサい男は嫌とかそういう理想はあるんだ。
「カノンちゃんの理想ってどんな人なのかな?」
「そうだね……私より強くて頭がいい人とか、かな?」
うーん……それっている?
何か聞いたところによるとこの子、魔導学院を飛び級で卒業した上で今の学校に通ってるんだよね?
あと、華奢に見えて怪力な辺りやっぱりレム系女子なんだよなぁ。
この前、体力測定の結果をチラッと見せてもらったけどさ。
何だよ握力77kgって!!リンゴが潰せるじゃん!!
かと思ったらユズカちゃんが89kg、ベルちゃんが110kg、マリィちゃんでも60kgあって目を剥いたよ!
とりあえずカノンちゃんの理想に届く男性って存在しないんじゃないかな。
「後はそうだね……パパみたいな人、とか」
急に顔を赤くしてぽそぽそと呟くカノンちゃん。
あれ、もしかしてカノンちゃんって………ファザコン??
結構、恋愛で苦労するかもしれないなぁ。そんな風に思ったのであった。




