番外編 ホワイトデーもやらかしました
【リンシア視点】
第3節の14日。
前世だとバレンタインと対になった行事、『ホワイトデー』がある月だ。
日本のバレンタインはお菓子メーカーが売上を伸ばそうと、女性が男性にチョコを渡す習慣を作り出したのが始まり。
そこから派生して『お返しをする日』という形になったとか何とか……。それがホワイトデーだ。
この世界にもバレンタインはあるがどうも意味が違っていた。
チョコレートを渡すという事は共通していたがそれは夫婦間で行われるものであったのだ。
つまり若い人はあんまり関係ない。
もし未婚の男女間でそれをやったならそれは『身体の関係を誘っている』というコンプライアンス的にアウトまった無しの事案。
それを知らなかった私はあろう事か12歳の少年、タイガ君にチョコをあげてしまった。
客観的に見ると……もはやただの痴女だ。
同じ轍はもう踏まない。
つまりホワイトデーがいかなるものであろうと私には関係ないということだ。
気楽に行けばいい。
そんな事を考え14日を過ぎ23日。
「あっ、リンシアさん。その……」
タイガ君が緊張した様子で小さなポットに入ったミモザの花を差し出してきた。
「あの、いつもありがとうございます」
お、おう……いいのかなこれ?
だってチョコレートが夫婦間でのやりとりなわけでしょ?
それならこれも何か意味が……
「あの、本当に深い意味とか無いです。23日は日頃お世話になっている女性に花を贈る習慣があるんです。母親とか、家族とか……」
「そ、そうなんだ。それじゃあ」
それなら安心して受け取れるね。
「綺麗な花だね。ありがとう」
私の言葉にタイガ君は頬をかいて照れる。
うんうん、お礼が出来るっていい子だね。お姉さんの中でポイント上がっちゃうよ。
その時、またもやどこからか長男君が声を飛ばしてきた。
『いい事を教えてやろう。その『ナダミモザ』は食用でな。花を貰ったら感謝して食べるのがナダ流だぞ』
そうなんだ。
やっぱり文化が違うと色々違うもんだね。
私はおもむろに花を口に入れるとむしゃむしゃ食べ始めた。
「えっ!?」
「うん、美味しいね」
タイガ君の顔があっという間に耳まで真っ赤に染まる。
え?あれ?
一方、時を同じくしてキッチンに来てその光景を目撃していたユズカちゃん、ベルちゃん、マリィちゃんの姉妹達もその光景にまたもや顔を真っ赤にしていた。
え?何これ?
「リンシアさんが大人すぎるっ!!」
「ど、どうしよう、私こういう時どんな顔したらいいの!?」
「マリィ、ダメだよ。あれはマジでダメなり!!!」
マズイ、またしても何かやらかした感がある。
するとそれを遠くで見ていた長男君が『声』を飛ばしてきた。
『あっ、悪ぃ。色々とド忘れして勘違いしてたわ』
え?勘違い!?
『その花って一応食べられるんだけどさ、何ていうのかね。貰った花を食べる行為は『あなたの事も食べたい』って意味なんだよ。ああ、もちろんアレな意味で』
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁl!!?
『後さ、血縁者以外で年上の女性がそれをやると『お姉さんが色々と手とり足取り教えて、あ・げ・る』って隠喩でさ。あれだなぁ、弟の事を『美味しくいただくね』って……うわっ、エロッ……』
待って!
ダメだよそれ!完全に痴女の所業じゃん!!
確かに当方元ミドサーなのでそういう時はリードする側になるけど……ってだから違う!!!
このままじゃ私、バディの弟に発情して誘惑している痴女一直線じゃない!!
タイガ君が鼻血を出しながらきゅぅっと倒れ気絶する。
「いやぁぁ、タイガ君。ごめんっ、今回も例によって知らなくてえぇぇぇ」
というかあのクソ長男ッッ!何てことしてくれるんだぁぁぁぁぁっ!!
パニックの中、ナギさんとフリーダさんがボコボコにされた長男君の足を引っ張って連れてきたことで事態は収束した。
これ、本当に文化の違いに気をつけないと油断してたらその内後ろに手が回っちゃうかも。




