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第18装 見守り対象が増えました

【リンシア視点】


 戦いの後、中庭に戻ると結構な大騒ぎになっていた。

 ユズカちゃん達のお父さん、お母さん達が全員揃っていた。

 災禍魔人に対抗する為に駆けつけたんだろうけど教師たちは戦々恐々としていたる様子だった。


 そりゃそうだろうなぁ。

 マリィちゃんのいじめ問題で揉めてたからその家の人が血相変えて乗り込んで来たらもう生きた心地がしないだろうな。


 さて、この騒ぎをどうするのだろうと見守っているとお父さんがおもむろに学園長に対しある言葉を放った。


「あれ、『授業参観』って今日では無かったですかな?」


 ええっ、誤魔化し方が雑ッッ!!?


「いえ、こんな時期に授業参観は常識的に考えて無いかと。何か我々を抜き打ちで監視しに来たとかでは……」


「それってあなたの感想ですよね?何か根拠あるんですか?監視をしているというデータとかあるんですか?」

 

 何かさ、前世で聞いたことあるような文言出てきたよ。絶対このお父さん転生者だよ!


「あっ、いや……あははは………」


 恐ろしい事に皆が唖然とする中、ガチでこれで通してしまった。

 ちなみに奥さん達もこれには唖然として開いた口が塞がらなかった。

 いや、ナギさんだけは『あははは』って笑ってたっけ。

 何はともあれ、災禍魔人は討伐されベルちゃんとマリィちゃんの姉妹仲も元に戻る事が出来た。

 

 仲良く手を握る姉妹を見ながら私はその近くに立ち二人を見守りながら微笑む女性の姿を見つけた。

 それはマリィちゃんのお母さん、バレッタさんの霊だった。

 彼女は私の方を見て小さくうなずくとゆっくりと消えていった。


 この異世界にやって来てから本当に幽霊をよく見るなぁ。

 だけど不思議と怖くはない。


「あの、リンシアさん。何かちょっと泣いてません?」


 弟君が不思議そうに私を見る。


「どうかな。そうかもしれないね」

 

□□

【タイガ視点】

 

 今日は凄まじく濃い1日だった。

 だけどリンシアさんのおかげでベル姉さんは助かったしマリィとの仲も改善して大万歳だ。

 もしあの人が居なかったら今頃どうなってたか。感謝ばかりだ。


 それに正直、あの後リンシアさんから言われた言葉が俺にはたまらなく嬉しかった。


『弟君ってやる時はやるんだね。カッコ良かったよ』


 聞きましたか?

 あのリンシアさんから『カッコ良かった』ってお言葉頂きましたよ!?

 彼女の中で俺の株が上昇中って事でいいんだよね?


「お兄ちゃん、リビングで何をひとりにやけてるの?不審者だよ?」


「え!?」

 

 見れば風呂上がりのマリィが牛乳を手にこちらを見ていた。


「あ、いや……」


「リンシアさんて凄いよね。おかげで私、またお姉ちゃんと前みたいに話が出来る様になっちゃった」


「ああ。凄いよな。もう我が家に降臨した救世主っていうか女神様って言うか……」


 椅子に腰かけた妹がじっとこちらを見ている。

 何となく気まずくなり視線を泳がせまくりながらコップの水を飲む。


「あのさ、お兄ちゃん」


「ん、どうしたんだ?」


「お兄ちゃんてさ。リンシアさんの事、好きだよね?」


「バフォファッッ!?」


「ちょっと、水ブレス止めてよ。汚いなぁ!!」


「す、すまない」


 何でだ!?何でバレた!?


「まさかバレてないとでも?見てたらわかるって。リンシアさんの傍にいる時だけ明らかにそわそわしてるもん。まあ、あっちとユズカ姉さんは気づいていない様な気がするけどね」


「そ、そうか。やっぱり俺ってあの人の中ではまだ『弟君』なのかな?」


「かもね。あの人、結構鈍そうだし。あの人から見ればお兄ちゃんはまだ子どもだもんね。でもさ、私は応援するよ」


「え?」


「私もあの人好きだもん。あんな人がお姉ちゃんだったら素敵だなぁって思ってる。それにちょっと頼りないお兄ちゃんにはちょうどな人だよ。だから応援する」


 マリィ!持つべきものは可愛い妹だなぁ。


「だけど気を付けて。お兄ちゃんが惚れるような人ならライバルは他にも出てくるはず。ウチにはパパを除いても男がまだ二人居るんだからね」


「うっ!!」


 確かに上の兄さん二人はリンシアさんと年も近いし大分大人びている。


「ホクト兄クセがあるからまだいいとしてアル兄は普通にイケメンだし女の子にモテるから気を付けて」


 確かになぁ。アル兄さんって弟の俺から見てもかっこいいからなぁ


「何よりパパと似てるから要注意だよ。『ヒイナちゃん』が居るからある程度は抑えられるだろうけど結婚できる年齢だから気づいたらって事は十分にあるよ」  

 

 ライバルは自分の兄達かぁ。

 考えても見なかったが難易度が上がっちゃったな。


「それでも、俺はリンシアさんの隣に立つ男になってみせる。兄さんには渡さない」


「うん。その意気や良し!私はお兄ちゃん×リンシアさん推しだからね」


□□□


【リンシア視点】

 

 はぁ、疲れた。

 配属前だったけど報告書というものを初めて書かされて遅くなってしまった。

 だけどこれでボーナス出るんだよねぇ。ちょっとホクホクかも。

 

「ベルちゃんとマリィちゃん、仲直りできてよかったなぁ」


 そして嬉しい事に殆ど迷わずたった1時間でユズカちゃん達の家に戻る事が出来た。

 門の前に見知った顔が立っていた。  


 あれは確か長男のアル君だっけ?ユズカちゃんのお兄さん。

 隣には大きなリボンを頭につけた女の子が立っていた。


「ただいま、お兄さん」


「おっ、大活躍の居候さんが帰って来たぞ」


「へぇ、この人が例の?」


「中々面白い能力持ってるらしいじゃん。今度見せてくれよ」


 うわぁ、何かグイグイ来るなぁ。

 お兄さんとはあんまり話をしていなかったけどこういうタイプ苦手かも。


「そんな自慢するものじゃないよ」

 

「そりゃ謙虚な事で。ああ、こいつは俺のガキの頃からの『親友』だ」


「料理も上手だって聞いたよ。女子力高いんだね。はじめまして、オージェっていいます」


 差し出されたオージェちゃんの手を握る。

 あれ?何か思ったよりごつごつしてる?働き者の手かな?


「よろしく、オージェちゃん」


 この子、もしかして彼の事好きなのかも。

 だってちょっと敵意みたいなの感じるもの。うん、可愛いなぁ。


 参ったなぁ、またもや見守り対象が増えちゃったじゃない。

 安心して。私はあなたの恋を影ながら見守るからさ。

 

 知ってる?男女の友情なんてまず成立しないんだよ。

 つまり、君には十分すぎるチャンスがある。


「それじゃあ、オージェ。また明日学校でな」


「うん」


 青春っていいなぁ。見守ってる分にはね。

 実に微笑ましい。頑張れ、オージェちゃん。


「ところで居候。ウチの入口はここだがどこへ行く気だ?」


「はいっ!?」


 気づけば私は家から離れようとしていた。

 いやぁぁぁ、これリンシアの影響じゃなくて私が本来持ってる方向音痴なのよね?

 先が思いやられる!!


□□□□

【オージェ視点】


 鏡の前で服を脱いでいく。


「あのリンシアさんって人、キレイな人だったな。胸も結構あるっぽいし……またライバルが増えちゃった」


 下着の中に入れるあてモノを取り出す。

 どんなに盛ってみてもやっぱり天然ものには叶わないんだよなぁ。

 リボンを外し、下まで全て脱ぎ去った。

 鏡の中の自分。その下半身を見てため息が出る。

 忌々しい『証』がそこにあった。


「あーあ、何で『俺』、男なんかに生まれちゃったんだろうなぁ。アル、あんな女にコロッと行ったら嫌だよ?」


□□□□□

【ホマレ視点】※ユズカ達の父親


 仕事を終え帰宅すると子ども達は部屋で休んでいた。

 遅めの夕食を済ませた後、棚に置いてある写真立てをテーブルに置き向かい合う様に座る。

 

 2個のグラスに水を注ぎ片方を写真立ての前に。


「情けない話だよ。ずっとそばにいたのにベルの異変に気づけなかった。危うく大切な子どもを失う所だったよ。ちゃんと守るって約束したのにマリィにも辛い思いをさせてしまったよ。ごめんな、バレッタ」


 写真の中で微笑む今は亡き5人目の妻に謝罪の言葉を紡ぐ。


「こらこら、ひとりだけでしんみりするなって」


 声に振り向くと湯気が立つ6つのティーカップをトレイに乗せたフリーダが立っていた。

 彼女がテーブルのトレイを置くと何処からともなく他の妻達もやってきてそれぞれティーカップを手に取り席に着く。


「いい匂い、アップルティーだね」


 ナギが微笑む。


「こういう時はお酒じゃないんですか?まあ、ウチはジェス君が飲まないのもあって基本お酒置いてませんけどね」


 だってさ、セシル。酒は悪魔の飲み物だぞ?

 若い頃に潰れて大変だったの忘れたのかよ。


「バレッタはアップルティーが好きだったし丁度いいじゃないですか」


 クリスがバレッタの分を写真立ての前に置く。

 そうなんだよな。一緒に働いている時から俺を含め他の隊員たちがコーヒーを愛飲する中、彼女はアップルティーだったよな。


「おい、フリーダ。ちょっとバレッタの紅茶に砂糖入れ過ぎじゃないのか?」


「何言ってんだよ。あいつは結構な甘党だったんだぞ?妊娠中は子どもに影響与えない様にって控えてただけだ」


 マジかよ。付き合いで言えば俺が一番長いはずだったのに知らんかった。


「まあ、ベルもマリィも無事でよかったよねー。あのリンシアって子、なかなかいい子だね」


「でもさナギ、わたしはホクトが戻って来た時に手を出さないか心配でならないよ」


「ふふっ、そっちよりもっと気をつけないといけない相手が居るんだけどねー」


 ナギが笑うとフリーダ達が一斉にこっちを見た。

 何でだよ。ウチで預かっている女の子に手を出すような真似は…………あっ、したわ。

 フリーダが完全にそれだった。前科があるんだよなぁ、俺。


「いや、それでも流石にやらかさんて。風評被害がすごいぞ?」


「わかってるって。ホマの事じゃないからねー」


「えっ、もしかしてアルが狙ってたりするのか?流石にタイガはガキだから無いと思うけど……」


 いや、俺はタイガが一番危ない気がするんだけどな……まあ、未来に何が起きるかなんてわかりゃしない。

 かつては姉や妹と結婚するんだって本気で豪語していた俺が今やこれだからな。

 

「そうなるとやっぱジェス君に貞操帯でも付けときます?」


「そう言えばそういう新商品開発してましたね」


 待って。風評被害で俺とんでもないことされそうになってない?

 大丈夫だから!流石に娘と同じくらいの年齢の子に欲情しないよ?

 そして新商品でそんなもの開発してんの!?

 皆で笑い合う中、俺はバレッタの写真に目をやる。

 こんな風に君とも過ごしたかったな。これからも俺達を見守っててくれよ。


「それじゃあ、家族に乾杯」


 俺が言う中、セシルが『あっ、すいません。先飲んでました』と舌を出しフリーダにでこチョップされていた。

 やれやれ、きちんと締まらない辺りウチらしいな。 

あまり第2世代キャラを前面に出さない様にしていますが今回は流石に必要かなと思いましてラストで登場させました。


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