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第96装 仕事に復帰しました

「制服よし、手帳よし、バッジよし。小型サーベルよし」

 

 私は仕事に復帰するための準備をひとつひとつ確認しながら家の中を歩き回る。


「あのさ、やっぱり無理に警備隊の仕事に復帰しないでもいいんじゃないかな」


 松葉づえをつきながら来た我が旦那、タイガ君のおでこに軽くチョップ。


「い、痛い」

「血気盛んな旦那君が骨折して仕事出れないんだよ?私が仕事しないとお金入ってこないでしょ」


 タイガ君は逃走するスリを追いかけたはいいけどその際にちょっとミスっちゃって4階くらいの高さから落ちて大ケガをしてしまった。

 レム家の子ならそれくらい問題ない高さだと思ってたけどあれはユズカちゃんとか一部のフィジカルお化けな子が大丈夫なだけらしい。

 悲報、ウチの旦那意外と常識的だった。 


「そ、それくらい内勤すればいいし」

「あのさ、脚だけでなく利き腕も怪我してるんだけど、それ分かって言ってる?お医者様からも働くのダメって言われてるよね?」

「そ、それは……でも無理に働かなくてもウチは貯えが」


 私はため息をつく。


「それは『私たち夫婦の稼ぎ』じゃなくて『ご両親達の稼いだお金』だよ?普段は実家を出て独立したいって言ってて都合のいいときだけそこに頼るのはどうかな?」

「う……」

 

 タイガ君が黙ってしまう。

 こういう所がまだ子どもなんだよねぇ。


「タイガ、あんたの負けだな」


 義母であるフリーダさんが笑いながら居間にやってきた。


「でも頼ってくれてもいいんだぞ?わたし達は家族なわけだし」

「ありがとうございます。でも、彼を甘やかしてはいけないと思って」


 実際、私も色んな事で甘えさせてもらっている。

 だからこそタイガ君にはきちんと意識してもらいたい。

 でないと家を出て3人で暮らそうなんて思えないもの。 


「はは、息子には勿体ない嫁だな。まあ、あんたが働いている間このバカ息子とティアモの事は任せておきな」

「ありがとうございます」

 

 フリーダさんに礼を言うと私はベビーベッドのティアモにキスをする。


「それじゃあママぴっぴはお仕事行ってくるからねー。パパぴっぴを頼んだよー」


 愛娘は『ぴっぴ!!』と両手を広げてベビーベッドできゃっきゃっと笑い声をあげる。


「じゃあ行ってくるね」

  

 タイガ君の頬にもキスをして家族に手を振りながら私は職場復帰の為、出かけるのであった。


 警備隊の仕事に戻ったが災禍獣事件も無いので基本は内勤&パトロール。

 対策課所属+長官にとって義理の娘+産後の早期復帰ということもあってか新しい上司はちょっと厄介な奴が来たなぁという顔をしていた。

 まあ、どうでもいいんだけどねぇ。

 何せこっちは旦那と娘を養わないといけないから。細かいことなんか気にしてられない。

 それにティアモを産んでからちょっと運動不足だったしパトロールはちょうどよかった。

 地域の人達と交流というのもいいものだしね。

 

「あ、リンシアさんだー、やっほー」


 前からユズカちゃんがフーカちゃんを抱っこしながらやって来た。


「ユズカちゃん」

「聞いたよ。バカ弟がケガしちゃったから仕事復帰でしょ?何かごめんね」

「仕方ないよ。フーカちゃんは元気そうだね」

「うん、毎日壁や天井を這いまわってるよ。ウチで働くメイドさん達、大慌てしてる」

「……だろうね」


 天井を這いまわったりというムーブはレム家だからこそ受け入れられていたもので一般家庭からすると大ごとだ。

 しかもメイドさん達からすると主の娘がとんでもない行動をとっているのだから気が気じゃないだろう。

 ティアモはそんな事しないようにきちんとしつけよう。


「でも気をつけてね。警備隊の仕事は危険もあるから。お父様も昔、夜勤中にトラブルに巻き込まれて大変だったことあるから」

「ありがとう。今のところ日勤だけだし、担当は比較的治安の良い地域だから葬送事件に巻き込まれたりは無いと……」

 

 そう言った瞬間、『きゃぁぁぁぁ』と絹を裂く様な女性の悲鳴が聞こえてきた。


「あー、こういうのを私が居た世界では『フラグが立った』って言うんだよね」


 私はそう言うと悲鳴の聞こえた家へと駆け出した。

 家の中で中年くらいの女性が机に置かれた箱の前で顔を真っ青にして震えていた。


「警備隊ですけど、どうかしました?」

「に、荷物……何か届いたから開けたら……」


 中々要領を得ない。

 私は箱の中を覗き込み『あぁ……』と声を漏らす。


「リンシアさん、大丈夫?」


 後から入って来たユズカちゃんを手で制止させる。


「フーカちゃんには見せない方がいいものかな」

「え?」


 箱の中で布にくるまれている太い肉の塊。

 恐らくはかつては誰かの身体についていたであろう『腕』を眺め私はため息をつく。


「最高に悪趣味なサプライズだね」

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