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第94装 魔改造はこの世界の特徴

「そう言えばリンシアさんって今、お仕事お休みなんだよね」

「うん。産休だね」


 警備隊は長官であるお義父さんが異世界転生者だからしっかりしてるんだよねぇ。

 まあ、日本より仕事に復帰しやすいしさ。


「いいなぁ、子供とゆっくり出来て。あたし働いてないけどオージェ君がパーティーとかに出たらフーカをメイドに任せてついてかないといけないんだよねぇ。ドレス着て」


 ユズカちゃんはうんざりした顔になっている。

 アルスター家は元貴族の家系。貴族家系の人って政治家とかになりがちらしいけどオージェ君もそんな感じ。

 政治家の卵なので支援者との会食やらによく行っているらしい。

 会食くらいならいいのだがパーティーとなると彼の奥さんであるユズカちゃんも同行してあいさつ回りなんかをしなければいけないのだそうだ。

 うん。物凄く面倒くさそう。

 いやぁ、ウチの旦那はそういう仕事じゃ無くて助かったよ。


「でも、ユズカちゃんってお嬢様だから幼い頃からそういうの慣れてたでしょ?」


 割と庶民的な生活をしてるけどユズカちゃんは生まれついてのお嬢様なんだよね。

 卒業した学校も結構な進学校だったりするし。

 

「確かにお母様の仕事の関係でよく顔出してたよ?でもあの時は怒られたりするけど自由気ままだったもん。今はほら、オージェ君を立てなきゃいけないしねぇ」

 

 小さい頃の想い出話をよく聞くがその中の彼女はお転婆そのものであった。

 そんな彼女だが実は好きな人には意外と尽くすタイプだったりする。

 オージェ君もいい娘をお嫁さんにしたもんだなぁ。

 何か聞いてたら思ったよりもにスケベだけどまあ、男の子ってそんな感じだよね。


「あたしさ、ドレス苦手なの。あのフリフリがどうも似合わない気がするんだよねー」

 

 確かにユズカちゃんはどちらかというと動きやすい服とか好きそう。

 壁を登ったり屋根を走ったりするから超絶機能重視派っぽい。


「あれ?でもフォーマルな場だったらむしろフリフリは着ないでしょ?」

「オージェ君がフリフリ好きなの。あたしは嫌だって言うけどそうしたらものすごく悲しそうな顔するからもう着てあげなきゃってなるんだよねぇ」


 ユズカちゃんは口をへの字に曲げて机に突っ伏した。

 

「それはまた……」


 結構お熱いなぁ。

 タイガ君はそういう趣味は無いかな。

 だって私が何着ても『俺の奥さんマジ天使』とか叫んでるもん。

 仮にふんどし姿になったとしてもきっと同じ反応をしてくれると思う。

 まあ、どういう状況だよって感じだけどね。


「ねぇ、ユズカちゃんはこの先も働かないの?」

「うーん、そうだなぁ。落ち着いたらお母様の仕事手伝おうかなとは思う。親孝行したいし」

 

 やっぱり育ちがいいよこの娘!!


「セシルさん、リーゼ商会の3代目会長だもんね」

「でもあたしお祖母様やお母様と違って商才は無さそうなんだけどなぁ」

「でもユズカちゃん頭いいし、今は芽が出てないだけでとんでもない可能性を秘めてるかもしれないよ」


 私の言葉を聞いた彼女は照れたように笑った。


「そうかなー、じゃあその『とんでもない可能性』を信じて頑張ってみるね!」


 そう言ってユズカちゃんはグッと拳を握るのだった。


「リンシアさんは産休が終わったらやっぱり警備隊に戻るの?」

「うん。少なくなったとはいえ災禍事件は時々あるみたいだしね」


 やっぱりネメシス事件以降、災禍獣や災禍魔人の事件はぐっと少なくなった。

 というか一時的にこの街で増えてたのって私が親玉的なネメシスの宿主だったのもあるんだよね多分。

 とんでもないマッチポンプだったけど結果としてネメシスを倒せたから良しとしよう。

 私もタイガ君っていう人生の伴侶と結ばれたしね。


「とは言え、対策課の規模は縮小になるから通常業務も増えるね。タイガ君がある程度落ち着いたら退職してお義母さんのカフェを手伝ってもいいかもしれないと思ってるよ」

「リンシアさんは料理上手だもんね。教えてもらった『クッサフーロ』、今でも時々旦那達に作ってあげたら喜ぶんだ」

「えーと、『フリカッセ』だよね?もう原型無くて新しい料理になってるよ」


 何か変な広まり方をした様で今や食事処でも時々『クッサフーロ』と名を変えてしまった『フリカッセ』を目にする。

 この異世界怖いよ。何か他所の文化を吸収して別のものに昇華しちゃうの本当に得意なんだから………

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