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第93装 裸エプロンは男のロマン?

【リンシア視点】


 ティアモのオムツを替えていると誰か来た様で玄関のドアノッカーで扉が叩かれる。

 直後、ガチャリと鍵が開けられてユズカちゃんが元気よく入って来た。


「やっほー、ただいまー!!」

「ドアノッカーの意味は?」


 ティアモより先に生まれたフーカちゃんを抱いて入って来るユズカちゃんは相変わらずだ。

 物凄く明るく活発。だけど最近はお母さんになったからかちょっと大人らしい落ち着きが見えてくるようになった……と思いたい。


「ほら、ティア。おばさんとフーカちゃん来たよ~」

 

 ティアモを抱き上げ二人を見せると嬉しそうに手を伸ばす。

 この歳でもちゃんと親戚ってことを認識しているのかな。

 流石我が娘!!と少し親バカになってみる。


「お母様は?」

「セシルさんならお仕事で出てるよ。お昼ごろには帰って来るって。後は皆、仕事とかかな?」


 居間でお茶を飲みながら二人で近況を伝え合う。


「タイガ君がさ、やっぱり家を出て親子3人で暮らしたいって言ってるんだよねぇ」

「リンシアさんはしたくないの?いつまでもみんなと一緒って」

「まあ、いずれはって思うけどまだちょっと早いよ。私は産休だし、タイガ君は警備隊に入ったばかりだし」


 現代日本じゃないけどやっぱり収入の面では不安も残る。

 私が思うに、生活費、特に食費は結構かかると思う。

 まあ、生まれついてのお坊ちゃんの割には家事を手伝うのが当たり前って意識がある人だからそこまで心配をする必要もないけどね。


「後さ、何か最近……その……『裸エプロンが見たいです』って目を輝かせるんだよね」

 

 彼から提案された時は冗談かと思ったんだけど、どうやら本気らしい。

 所々でスケベな顔を見せるんだよねぇ……そこが可愛いんだけどさ。

 まさか異世界にも裸エプロン文化があるとは思わなかったよ。

 一応結婚指南書を確認してみたけどそういう記載はなかったから伝統文化とかじゃなさそうだけどさ。

 いやほら、伝統文化だったらなんか拒否するのも悪いし。


「何でああいうの好きなんだろうね。させられる方の身にもなってよ。想像しただけで恥ずかしいんだから」

「そ、そうだよね。うん。あれは恥ずかしかった」


 あれ?今何かひっかかったんだけど……

 恥ずかし『かった』?過去形だよね?


「ユズカちゃん。まさか……」

 

 じっと顔を見るとユズカちゃんは顔を赤くして視線を逸らした。


「いや、その……あたしはお料理する必要とか無いんだけどさ。やっぱりたまにはオージェ君に手料理をって思うんだよね。それで厨房に立たせてもらうんだけどそしたらオージェ君が……その………『見たいなぁ』って言うから………最初は恥ずかしいって断ったんだけどね。そうしたら『ユズカちゃん、裸エプロンは全世界の男にとってロマンなんだよ』って資料まで用意して説明されたんで何か断れなくて」


 オージェ君が意外とドスケベだったぁぁぁぁ!!?

 え?全世界の男にとってロマンなの!?

 というか裸エプロンに関する資料って何?

 オージェ君はそんなものクソ真面目に用意したの!?

 ある意味で凄い事だと思うよそれ!!

 というかその資料ちょっと見たいかも!!


「ていうかユズカちゃん。割とオージェ君の言いなりになっちゃうよね?」

「うーん……言いなりっていうか……ほら、彼が希望することはしてあげたいっていうか……まあ、でも確かに結構流されちゃうかな……」


 段々とぼしゅぼしゅ声が小さくなっていく。

 普段は元気いっぱいに周囲を振り回すユズカちゃんだけどオージェ君が相手だと一転して尽くして振り回される側になるんだよねぇ。


「何かアル君の親友なのが解る気がしたわ」

「うん。お兄様の親友だからねぇ」


 ティアの方を見て私は呟く。


「ティア。ママぴっぴもパパぴっぴに裸エプロンしてあげた方がいいのかなぁ」


 ティアモに言ったってわかんないよね。


「ぴっぴー」


 ティアモが最初に覚えた言葉を口にしながら手を上げる。

 何だろう。そこはかとなく『やっちゃえー』って言ってる気が……

 というか最初の言葉が『ママ』でも『パパ』でもなく『ぴっぴ』ってなぁ。

 でも昔私が書いたメモにはぴっぴ教育をしっかりするように書いてあるからなぁ。

 とりあえず何か理由があると思いたい。

 

 それにしても裸エプロンかぁ。

 男のロマン、なのかなぁ………

 何となくこれって異世界転生者が広めた文化っぽいよねぇ。

 もうちょっとマシなもの広めてほしい。

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