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プロローグ
「よし、こんなものかな」
調理用の火属性スフィアを起動して鍋を加熱し、野菜スープを煮込み始める。
「次は……」
まな板の上で肉を叩き繊維をほぐすと酒と各種香料を揉みこむ。
そしてフライパンで焼き目を付けると、その肉を一旦皿に取り出して別の皿へ。
「この肉のソースも作っておこうかな」
取り出した肉は赤みの残る状態で再びフライパンに戻し、今度はバターを加えて塩コショウで味付けをする。
「よし、こんなもんかな」
「お鍋!スープ!!」
「あっ、はいはい」
愛娘に言われ苦笑しながら火を消す。
「よく教えてくれたね。偉いよー」
「えへへ~」
頭を撫でてやると嬉しそうに笑う娘。
うん、可愛いなぁ……。
この世界に転生し、育んだ絆。
私は今、とても幸せだ。
そしてここに至る事が出来たのはあの素晴らしい出会いがあったから。
過去に想いを馳せる。
あの、ドタバタで楽しい日々を……