表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第6章 結成、ユニークなレギオン?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/609

第88話 フレデリックの結論


 ひとしきり泣いた後、落ち着いたルーシーが春風に話しかける。


 「あ、あの、ハルさん。ハルさんの、気持ちは、嬉しいですが、わ、私は、フィオナと、みんなと離れたくありません。ですから、その提案には、乗れません」


 ルーシーの答えを聞いて、春風は穏やかな笑みを浮かべて言う。


 「うん、そうみたいですね」


 「ご、ごめんなさい」


 「いえ、俺の方こそ、君の友達に酷い質問をして、すみません」


 と、お互い謝ったところで、フレデリックが口を開く。


 「ふむ。では、話がまとまったところで、ハルさん」


 「はい」


 「あなたの提案は却下されましたが、彼らに生きて罪を償ってほしいという意志は、今も変わりありませんか?」


 「はい、そこは俺も譲るつもりはありません」


 「そうですか。では、私からの結論を言います」


 その言葉を聞いた瞬間、春風を除いた全員が、ゴクリと固唾を飲んだ。


 「私には、というより、この都市では、彼らをどうにかする事は出来ません」


 フレデリックの結論に、春風は落ち着いた表情をしているが、リアナは「そ、そんな」とショックを受け、アデル達は「やっぱりか」とがくりと肩を落とした。


 春風は真っ直ぐフレデリックを見て、


 「理由を聞いてもよろしいでしょうか?」


 と尋ねると、フレデリックも春風を真っ直ぐ見て答える。


 「事情がどうであれ、彼らは本来『異端者』として裁かれる側の人間です。ましてや、そちらにいるアリシアさんは、その裁く側である断罪官を裏切った人間です。その様な存在を生かしている事が知られれば、この都市に住む人々に余計な不安と恐怖を与えかねません。私は、この都市をまとめる人間として、彼らの平穏と生活を守る義務があるのです」


 その答えを聞いて、アデル達はますます表情を暗くした。特にアリシアは、フレデリックが言うように「裏切り者」でもある為、表情の暗さはアデル達以上だった。


 リアナや幼いイアン、ニコラ、マークが、心配そうにアデル達を見ている中、フレデリックはさらに話を続ける。


 「そして、ハルさん」


 「はい」


 「あなたは、そんな彼らを守る為に断罪官、それも「鉄鬼」と恐れられたウォーレン・アークライト大隊長に立ち向かい、これを退けた。この事実は、あなたが想像する以上に大きく、そして重いものです」


 「……」


 「今のところは教会の方から何も言ってはきませんが、今回の一件で、あなたは教会にとって()()()()()()()となってしまったでしょう」


 「……そう、ですね」


 そのやり取りの後、春風は顔を下に向けた。そしてその瞬間、総本部長室内は重苦しい雰囲気に包まれた。


 暫くの間全員が沈黙していると、先に口を開いたのは、


 「ですが、1つだけ、この状況に対抗する手段があります」


 フレデリックだった。


 彼の言葉に、春風は


 「え、本当ですか?」


 と顔を上げると、フレデリックはにこりと笑って、


 「ええ。ただし、ハルさんには今まで以上に頑張ってもらわねばなりませんが」


 と、そう付け加えると、春風は再びフレデリックを真っ直ぐ見て、


 「構いません、俺に出来る事があるなら、やります」


 と答えた。その表情を見て、リアナは顔を赤くしてうっとりしていた。


 フレデリックは春風の決意を聞いて「ふふ」と笑うと、


 「わかりました。では、ハルさん……いえ、()()()()さん」


 「「!?」」


 いきなり本名を呼ばれて驚いた春風とリアナ。因みにアデル達はというと、皆一斉に「?」を浮かべていた。


 だが、そんな春風達を前にフレデリックは言う。


 「あなたには、『レギオン』を作ってもらいます」



 


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ